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しおりを挟む「…おはようございます」
「おはよう。…もう帰るのか?」
「はい、お世話になりました」
朝、寝ている透を起こさないようにコーヒーを入れてリビングでのんびりしているとカバンを抱えた蓮君と咲夜が降りてくる。
「荷物あるから、タクシー呼んだよ。…もう来てるかな」
手際よく蓮君の世話をやく咲夜と世話焼かれている様子を見るとなんだか微笑ましい。
お似合いだなぁ、なんて。
昔の俺にはなかった。
透にも最初からあれだけ優しく出来たら…。
なんて考えていると見送りを終えた昨夜が戻ってくる。
「咲夜、少しいいか」
「何?」
「透の発情期なんだが…湧は数日だけ母さんに預かるんだが、お前はどうする」
番っているとはいえ、発情期のΩがいる家にαを置くのは宜しくは無い。
「実家に帰るなら毎日運転手を用意するし、学校の近くのホテルに泊まってもいい。…決めといてくれるか」
「わかった。…俺図書館行ってくる」
「送っていこうか」
「いや、朝ごはん買って散歩がてらあるくよ」
荷物を持ってそのまま出ていった咲夜を見送ると物音で起きたのか、湧がリビングへと入ってくる。
透はまだ寝たままだ。昨晩疲れた体に無理をさせたので仕方がない。
「おはよう、よく寝れたか?」
「ぉあよ…」
まだ寝ぼけてるな、と可愛い息子を抱き上げ椅子に上げてやる。
昨日買ったパンと牛乳を出してやるとたべはじめた湧。
ぷくぷく頬っぺがパンでぱんぱんになっていくのが可愛くて。
一人っ子は性格が悪くなるとかいろいろ言われるが、そんな様子はあまりないように思う。実際、自分も一人っ子だった。
1人にたっぷり愛情を注げて、いいのではないか。
「ママは?」
「ママはまだ疲れて寝てるんだ。…静かにしてような」
「今日は何しようか」と尋ねると絵を描くとのことなので汚れてもいいような格好に着替えて、湧が絵を描いている間に洗濯を。
残りの荷物も後日届くが、それでも洗濯物は多い。
それでも夜のうちに透がやってくれていたのでだいぶ楽で、干すだけで済んだ。
細かい掃除をしていると案の定手や顔に絵の具を付けた湧が絵を見せにやった来た、
「上手いな…!先生も褒めてくれるぞ」
「あのね、これはパパにあげるの」
「俺に?…ありがとう、大事に飾るよ」
宝物にしよう…。
デスクに飾ろうか、いや、額縁に入れるか
とりあえず乾かそうと新聞の上に置く。
湧に貰ったものはくちゃくちゃの折り紙だろうが全て保管している。
制作物を見ていると、成長を見ているようで何度も見返してしまう。
「ママにもかいたの」
「ママ喜ぶぞ、起きたら見せような」
「ママよろこぶかなぁ」と楽しそうに笑う湧。可愛い、可愛すぎる。
いますぐ抱き上げてぎゅっと抱きしめたいが、今するとこちらまで絵の具まみれになり、せっかくの絵もくしゃくしゃになってしまうので諦めた。
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