先輩、クリスマス空いてます?〜可愛い後輩に聞かれてこれはフラグかと答えたら〜

金魚屋萌萌@素人作家お嬢様

文字の大きさ
2 / 9
センパイ、クリぼっちなんすか?

2話 クリぼっちは寂しいからバイトする

しおりを挟む
 流石に少しむっとした。
 僕は目的があっての質問かと思ったが、彼女にとっては雑談だったらしい。

「そんな怒らないでくださいよー。冗談ですって」

 彼女は思ったことをすぐ口に出す癖がある。客前では言わないけれど、二人きりだとペラペラと口に出す。

「ほんっとにすみません」両手をあわせて謝ってくる。こういう時も心から謝ってるのがわかるから長所でもあるのだけれど。

「まあいいけど」
 
「いやぁ、私と同じでウケるって思っちゃって」

「え?あ、いらっしゃいませー」僕がそう聞き返した途端お客が来店し、話はそこで中断した。


 休憩時間になり、レジ裏の休憩室に引っ込む。先程の会話を思い出し、シフト表を見つめる。

 どうせ予定もない、クリスマスもバイトしよう。ちょっと手当もらえるとか店長が言ってたし。ペンを取って書き込もうとする。

「あれ」そこで僕はあることに気づいた。とそこで琴音が休憩室に入ってきた。

「おつかれっス。あれ、センパイ何してるんす? シフト変えるんです?」

「そんなとこ。……小崎さんはクリスマスって」

「ことねでいいですって。もちろん予定ありますよー。バイトという名のね!」とちょっとドヤ顔で僕に言う。

「なるほどね」僕の気付きは間違いではなかった。琴音のシフト、クリスマスの日に出勤の印があったのは正しかった。

「つまりプライベートな予定はないっすよ!センパイと一緒でね!」とこれまたドヤ顔で少し大きい胸を張って言い放つ。チャームポイントの八重歯が口からはみ出しキラリと光る。

「彼氏は?」

「いない!」

「彼女も?」

「いない! え?」勢いで答えた琴音は首をかしげる。

「じゃあセンパイの方こそ彼女は?」

 ……気になってる同級生はいる。でもまだ告白はできていない。クリスマスまでに付き合いたかったけれど、フラレるのが怖くてなかなか踏み出せなかった。そして今からでは遅すぎる。

「え、もしかしているんです?」僕が黙り込んでいると彼女は下からのぞき込んできた。ニヤニヤと意地悪な笑顔をしている。可愛いな、って思ってしまう。

「んなわけ……もちろんいないよ」

「なあんだ。まあいたらクリぼっちなわけないっすもんね」軽くため息をつかれる。小憎らしい。

「それで、クリぼっちの寂しさを紛らわすためにシフト入ろうかなって」

「おーいいっすね。センパイいると働きやすいっすから嬉しいっす」

「サボりやすいの間違いじゃない?」

「そうとも言いますね。それにクリスマスのバイトは特典あるんすよ! なんだと思います?」

「ああ、ちょっと手当が出るとか」

「それもあるッスけど、ケーキですよ、ケーキ!! 売れ残りケーキがもらえるんスよ!」目を輝かせて琴音は言う。

「へえ。でも売り切れたら?」そう聞くとえ、という
表情をした。

「……それは考えてなかったッスね……。売り切れそうになったらセンパイに『このケーキまずいっスよね』って話しかけて買わせないように……」

「営業妨害なうえに僕も巻き込むのやめろ」

「ま、まあ絶対売れ残るから大丈夫っス。それよりセンパイもケーキもらえるから働きましょ! どうせボッチっしょ?」

「ボッチっていうな! 甘いもんそこそこ好きだし、わかったよ、シフトはいるよ」

「よっしゃ!」

 ……まあ琴音と働くのはこちらも気が楽だからいいか。店長や他の人だと年齢が結構上だから怖いし緊張する。

 しかも一応、女の子とクリスマス一緒にいる事になるし。心の中で変な言い訳をしながら僕は喜ぶ琴音を見つめていた。

 ……後輩だから意識していなかったけど笑顔、結構可愛いな。そんなことを思ってしまった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

処理中です...