先輩、クリスマス空いてます?〜可愛い後輩に聞かれてこれはフラグかと答えたら〜

金魚屋萌萌@素人作家お嬢様

文字の大きさ
7 / 9
センパイ、クリぼっちなんすか?

7話 君が、好きだ(練習)

しおりを挟む
「はい?」琴音の突飛な提案にぽかんとする。

「練習ですよ練習。本番の時噛んだりしたらまずいじゃないッスか」

「たしかに?」

「だから告白の練習するッスよ。私を好きなひとにみたてて」

「なるほど?」

「とりまやってみましょ。ほら」

「告白……セリフって何言えばいいんだろう? 君の瞳に恋した、とか?」

「それはキモ……いやヤバイっス。告白というか口説きですし、センパイのキャラじゃないッスね」うぇ、という表情をしながら言う。そんなにまずいセリフなのだろうが。

「なら月が綺麗だね、とか?」

「悪くはない……ッスけど、ギザっぽいっス。それに初詣行って夜までいるんです? 昼間そのセリフ言ってたらシュールっすよ」

「普通に、君が好きだってのは」

「うん、いいっすね。 シンプルイズベストが一番かもっス。とりあえずためしてみたらどうっすか? 練習なんで何回かやってもいいですし?」

「わかった」僕は琴音の方に向き合い、一度目を閉じる。

 想い人を、思い浮かべる。ゆっくりと、目を開けた。

「……ぷぷ」何故か琴音は頬を少し膨らませて堪えている。

「え……何……?」

「いや、なんか真面目な表情の先輩見てたら笑いが……ぷぷ……」

 僕は黙って彼女のほっぺを左右に引っ張る。

「いででででで!!」
 
 ゆっくりと上に持ち上げる。

「いだいいだい!! すひません! もふわらわないっふから!! ゆふして!! ごへんなさい!!」僕の腕を掴み涙目を少し流しながら謝る。

 許してあげることにした。ぱっと手を離す。

「んひぁっ」情けない声をあげながら琴音は後ろに倒れ込んだ。

「うぅ、すみません……笑うつもりはなかったんス……」つねられたところを手のひらでさすっている。

 まあ、気持ちはわからないでもない。

「もう絶対笑わないッス。センパイの気持ち、しっかり受け止めますから」起き上がり、正座をして僕の方に向き合う。

「いや練習だけどね?」

「よし、かかってこいッス」ぱんぱん、とほっぺを軽く叩き真面目な表情になる。

 なるほど、笑いそうになる。僕のせいだけれど、ほっぺが少し赤くなってるのも相まって笑いがこみ上げてくる。

「……ぷ」と思わず漏れそうになる。

「え、センパイ? いま笑いかけませ」ゆっくり琴音は僕の頬に両手を持っていく。

「いやいやいや! ふぅーって仕切り直しの溜息ついただけ!」ふに、と軽くつままれながら僕は慌てて言い訳をする。

「ふーん、そうッスか」琴音は手を離しつつも訝しげな表情だった。

「ごめん、笑いそうになった……誤魔化してごめん」と、僕は正直に謝る。そして「いいよ、思い切りつねって」と言う。彼女の両手を自分の頬に持っていく。

「センパイ、もしかしてMッス……?」ちょっと引きかけた表情だった。

「いや、ことねに酷いことしたのに、自分が逃げるのは違うなって」

「酷いことされたのは私が悪いからいいっスけどね……。じゃあ遠慮なく」手のひらで僕の頬を掴みぶにー、と引っ張る。あんまり痛くない。

「ふふっ変な顔ッス。そうだ、センパイ私のスマホで自撮りしてくださいよ」一度手を離しカメラを起動し、スマホを渡す。僕は言われるがままにカシャ、と
とる。

「晒したりしないでよ」

「大丈夫っス。自分用に永久保存しますから。まーこれぐらいで許してやるっス」そう言って手を放した。


 仕切り直す。僕と琴音は立ち上がり向き合った。


「告白いつでもどうぞッスー」

 再度、好きな人を想い浮かべる。

 僕の想い人は氷のように静かな人だった。琴音と対極で雑談はほとんどしなかった。彼女の瞳の奥は、悲しみに佇んでいるように見えた。僕といるのが苦痛というわけではないはず……学校で会う時も同じ瞳だったから。

 そんな氷の瞳を思い浮かべ、目を開ける。まっすぐ相手の瞳だけを見つめる。相手もしっかり見つめ返してきた。

 少しの沈黙。ゆっくりと相手の両手を取り、自分の両手で包み込む。

 ――そして、告げる。

「君が、好きだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

処理中です...