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10話 PK(プレイヤーキル)
しおりを挟むルルン街にログインしたアルマ達は狩場へと向かうことにした。
ルルン街にいるGK(ゲートキーパー)によりテレポートさせてもらう、GKを利用するにしてもゲームマネーが必要であった。
基本的に狩場へのテレポートはそれほど高くないのだが、次の街や村だととてつもない高額になる。
アルマ達は群衆で溢れている広場から【デスタウン】という狩場にテレポートした。
ルルン街から遥かに遠いいこの場所、GKを使わずに向かうとしたら数十分はかかるであろう場所だ。
デスタウンは死霊系のモンスターが沢山いる。レベル帯も38レベルとなっている。
今の自分達にはとても向いている狩場となっている。
ボロボロになった建物が無数に建てられ、骸骨みたいなモンスターが大勢いる。
その骸骨みたいなモンスターを倒して成長していくのが課金者である。
無課金者がここまで来るにはとてつもない努力が必要とされる。
ボロボロの建物が突如崩れ落ちたりする。
すると崩れ落ちた建物が復活したりする。
本当に死の街だと思った。
この狩場は死に向かって崩壊していきながらも再生していくようだ。
遥か前方には巨大な骸骨がのっそりと動いている。
あれがフィールドボスと呼ばれるレイドボスだ。
どうやら攻撃を仕掛けないうちは攻撃してこないようだ。
名前は(ガシャドクロ)というボスモンスターで、大きさはビル10階建くらいする。
「とても美味しそうなモンスターばかりですぞぞいぞい」
「いや、タツゴローあれは骨だけどしゃぶっちゃダメだよ」
「なぜなのだ主人、骨はしゃぶりがいがあるのですぞぞいぞい」
「タツゴロー骨ならリアルでやるから」
「だがあれはリアルでいいぞい」
タツゴローは芝犬であり、芝犬の本能が骨をしゃぶりたいと思わせるようだ。
普通のモンスターならいざ知らず、レイドボスの骨をしゃぶったらデカすぎて洒落にならないと思うし、犬の本能として、土の中に埋めたら埋めきれないと思う。
心の中でそう突っ込んでおくと、突如悲鳴が沸き起こった。
無数のプレイヤー達がルルン街に戻るGKに向かってくるため、こちらに向かってゾンビの行進よろしく向かってくる。その光景はもはや恐怖しかない。
「と、とりあえず、避けるぞ」
「はいぞい、主人」
「全くどうしたものかね、みんなが逃げると言う事はわし等は逃げなくていいんかのう」
「それはもっともな意見だぜ、ジキン、だけど、様子見にあの朽ちた建物に隠れるぞ」
「わたしは隠れるのも得意なのよん」
「キャティ先導してくれ」
「もちろんよん」
ゾンビのような行進こちらに向かってくるプレイヤー達から左に逸れて、黒猫の獣人であるキャティが先導してくれる。一応アルマパーティーは走り出した。
朽ちた灰色の建物に隠れたアルマ達は、次に起こった光景に絶句してしまった。
まるでそれは通り魔のような存在、ジャック・ザ・リッパーがいたらこんな感じで女性を殺していくのだろうか。
1人の青年でエルフ族の人物、名前はデンドロで名前は赤い、つまりレッドプレイヤーであり、生のPK(プレイヤーキル)を見る事となった。
沢山の課金者と少数の無課金者が無差別テロのように片端から両断される。
デンドロが握りしめている刀は赤く染まっているし、赤いオーラが半端ではない。
確かレッドプレイヤーを倒すと高確率で装備を落とすらしい。
だから誰もレッドプレイヤーになりたがらないし、懸賞金をかけられる事だってある。
デンドロは殺人快楽者のようにうひひと笑いながら次から次へとバッサバッサと両断していく。
おそらくレベルは50台くらいはあるだろう、この狩場にいるのはレベルが38台くらいのプレイヤーだし。
アルマはヒア汗をかいていた。
その場からプレイヤーがいなくなると、レッドプレイヤーは突如ラジオ体操を始めた。
「うひひちょっと疲れたぜ、そこにいるんだろ、覗き屋さん」
「なんとばれていましたか」
アルマは腹を括って、3匹のペット達と灰色の朽ちた建物から出て行った。
デンドロはこちらを見てニヤリと笑った。
「名前が、アルマか、なるほどね、無課金者で爆滅の飼育係という異名を持っている。切り裂き魔の異名を持っているこのデンドロさんが相手をしてやる。さぁ剣をぬけぇい」
「全く、しょうがないやつですな、タツゴローとジキンとキャティは死んでいる人で帰還していない人を復活させてあげてください、とはいえお花畑ギルドの人ばかりですが」
そう先ほどから至る所で死体となってこちらを伺っている人物たち、その全てがお花畑ギルドのメンバーであった。
彼等はどうやらアルマがどのような行動に出るか伺っているようだ。
アルマとしては少し動きにくいが、3匹のペット達は従順に指示に従ってくれた
アルマの職業は司令塔である。
基本的に戦闘は得意とされているのか、得意とされていないのかそこんところは不明だ。
スキルもあまり覚えてないし、一般的なスキルばかりだ。
それでもこのスキルが自分に適していると信じている。
「俺様はな、IT会社に就職して色々な事を経験させてもらった。最先端の技術にも触れた。だけどなぁ、一番許せないのは、俺様の手柄を横取りする上司と同僚だ。それでいつまでもいつまでも底辺の会社員だ。わかるかその気持ち、他の奴らは俺様を通り越していく、だからこのゲームで鬱憤を晴らす、殺して、殺して、殺しまくるんだよ」
アルマは戸惑いつつも、なぜこの人物が心の扉を開いてくれたのかわからない、というか意味不明だ。
アルマはとりあえず頷く。
「そうか、大変だったな」
「てめーに何がわかる」
「わからねーよ、俺様は天才で苦しんだんだよ、平凡が一番いいんだよ」
「てめー俺様をみくびってるなああ、殺してやるぜえええええ」
レッドプレイヤー、真っ赤なエルフは走り出す。
そのスピードは風のように空気を斬るようだ。
赤く濁った刀が鞘から抜かれる瞬間に空間そのものが両断される。
「次元斬りでも喰らって反省しな」
2本の斬撃がこちらに飛んでくる。
それでも奴は走るのをやめない。
アルマはクリスタルシールドを目の前に向けて地面に立てかける。
クリスタルシールドに2本の斬撃が直撃した。左手で必死で衝撃を抑えるが、手の平からジンジンと振動が響き渡る。
デンドロは立てかけているクリスタルシールドの上部に着地すると思いっきりジャンプしてみせた。
そのままこちらに落下してくる。
アルマはクリスタルソードを鞘から抜きざま、デンドロの赤い刀に直撃させた
2人の剣と刀はぶつかり合って、鍔迫り合いが始まった。
デンドロの方は空中から落下しているので重力をうまく利用している。
一方でアルマはデンドロの重さと刀の重さと斬撃の重さを3つ受けている。
それでもアルマは平気な顔をして、ニヤリと笑う。
「今だ」
その声とともに動いたもの達がいた。
それがタツゴローとジキンとキャティであった。
「んだとおおおお」
そして周りには復活を遂げたお花畑ギルドのメンバーがいた。なぜかファナレイの姿は見当たらない。
「ヒ、卑怯だぞ」
「だーれが高プレイヤーに真正面からぶつかる馬鹿なプレイヤーがいますかよ、こちとらあんたより弱いんだよ、弱いなりにせこい事を考えて何が悪いんだよ」
司令塔スキルである【司令】これは任意のプレイヤーに秘密裏に司令を出すことができる。
先ほど死体となっている人々を復活させてくれとタツゴロー達にお願いした時、別な内容もお願いしていた。
それはテレパシーのようなものであり、それは【司令】と言うスキルである。
デンドロはアルマとタツゴローとジキンとキャティに囲まれた状況である。
彼はどうやらアルマと同じくらい獣人達が強いことを悟ったようだ。
デンドロに死は許されないものなのだろう、それはプライドのものもあるだろう、しかし彼を動かしているのはおそらく、死んだ時のデスペナルティであるドロップだ。
装備がドロップすると言う事はまた強い装備を作る必要がる。
それに対しての課金の量だろう。
きっと数十万は使っていると思われる赤い刀は不気味にギラギラと光っている。
「覚えてろよ、アルマ、いつかこの仕返しは」
そう言いながら地面にボールを投げると、爆発して、煙がふわりと浮かび上がった。
きつい匂いと目に染みる煙がなくなると、そこにはデンドロがいなくなっていた。
アルマ達は深呼吸をしながら、ホッとした。
そしてお花畑のもの達がこちらにやってきた。
アルマは何か嫌な予感を感じていた。
お花畑のギルドメンバー達である4人の男女達はこちらを囲んで逃さないようにした。
アルマは別な意味で冷や汗をかいた。
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