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第一章 黒猫の夢?
八話
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「どうしたの?何で、いきなり血が?」
穂高さんが、駆け寄ってきて、タオル地のハンカチをとりだした。
「あっ、汚れるからいいよ」
と、思わずネズミみたいなモノを、握ったまま、右手で、穂高さんを、止めようとしてしまい、固まった俺を気にせず、ハンカチを押し当てられた。
「ほら、もう汚れちゃったから、気にしないで使って」
そう言って、ハンカチを巻き付けてくれた。
右手のネズミみたいなモノは、見えていないような感じがする。
こいつの事は、一旦、保留だな。
そう思いつつ、変に見られないよう、短い手足をジタバタさせているネズミみたいなモノを、掴んだまま腕を組む感じで、ハンカチを押さえて、少し前に進み、彼女達と向き合う。
「この教室、何か変な感じがするけど、こんな所で、なんの話?瑞樹が、具合いが悪いのと関係あるの?」
右手の中のモノが気になり、早く終わらせてしまいたかった。
「えっと」
穂高さんが、俺の左腕を見ていたが、俺が声をかけると、弾かれたように、自分の半歩後ろにいる仲間達を、振り返った。後ろの子達が、戸惑った顔で視線を交わしつつ、やがて一人の子に、他の五人の視線が集まる。五人並んだ一番右端…確か、同じクラスで、さっ、佐山…佐山さんだと、思う、凄く大人しくて、話してる姿も見てないような…回りに、関心がない俺だからか?
穂高さんのグループにいるのが、少し不思議な感じがした。
その佐山さんに何が?
そう思いつつ俺も、佐山さんに、視線を向ける。すると、一瞬目が合ったが、直ぐに外され、佐山さんは、穂高さんに向かって、小さく頷いた。
何なんだ?
「光輝くん、あのね。私達、昨日ここで、あるおまじないをしたの」
「まじない?」
「そう、ホントにちょっとした…願かけみたいな簡単なもので、その後に…」
そう言って、少し心配そうな顔で、もう一度佐山さんをみてから、大きく深呼吸した。
「その後に、利奈が、瑞樹くんに、告白しに行くはずだったの」
「は?」
ちょっと、思考が停止して、その直ぐ後に、俺が思ったことは、利奈っていうのは、佐山さんの下の名前か?だったけど、いや、今、考えるのはそこじゃなくて…
「はずだった。っていうのは?」
「それが、そのおまじないをしてくれた佐紀ちゃ…いえ、大沢先輩が、おまじないの呪文を唱えた途端、あの雷が落ちたの、そして、先輩が倒れて、そのまま、意識が戻らないの」
そう言って、横一列に、並んでいた子達が少し動いて、彼女達が、隠していたものが見えた。
そこには、毛布が敷かれ、一人の女子が、横になっていた。
大沢 佐紀子先輩。
生徒会の副会長―
俺でも知っている先輩だった。
「倒れたって、そのままにしていたのか?保健の石崎先生には?救急車、呼ぶとかしなかったのか?」
「そうした方が、良いのは、分かっていたんだけど…」
「何?」
「…」
明らかに動揺している子達の一人が、穂高さんに、黒い背表紙の本を渡した。
「私達が、ここでしていた事は…」
そう言って、その本を、俺に見せてきた。
その本は、黒地に、掠れた銀色の字で、黒魔術と、書かれていた。
黒魔術って、アニメやマンガの知識では、あまりいい感じがしないのだが…
「まじないって、言ってなかった?」
穂高さんが、駆け寄ってきて、タオル地のハンカチをとりだした。
「あっ、汚れるからいいよ」
と、思わずネズミみたいなモノを、握ったまま、右手で、穂高さんを、止めようとしてしまい、固まった俺を気にせず、ハンカチを押し当てられた。
「ほら、もう汚れちゃったから、気にしないで使って」
そう言って、ハンカチを巻き付けてくれた。
右手のネズミみたいなモノは、見えていないような感じがする。
こいつの事は、一旦、保留だな。
そう思いつつ、変に見られないよう、短い手足をジタバタさせているネズミみたいなモノを、掴んだまま腕を組む感じで、ハンカチを押さえて、少し前に進み、彼女達と向き合う。
「この教室、何か変な感じがするけど、こんな所で、なんの話?瑞樹が、具合いが悪いのと関係あるの?」
右手の中のモノが気になり、早く終わらせてしまいたかった。
「えっと」
穂高さんが、俺の左腕を見ていたが、俺が声をかけると、弾かれたように、自分の半歩後ろにいる仲間達を、振り返った。後ろの子達が、戸惑った顔で視線を交わしつつ、やがて一人の子に、他の五人の視線が集まる。五人並んだ一番右端…確か、同じクラスで、さっ、佐山…佐山さんだと、思う、凄く大人しくて、話してる姿も見てないような…回りに、関心がない俺だからか?
穂高さんのグループにいるのが、少し不思議な感じがした。
その佐山さんに何が?
そう思いつつ俺も、佐山さんに、視線を向ける。すると、一瞬目が合ったが、直ぐに外され、佐山さんは、穂高さんに向かって、小さく頷いた。
何なんだ?
「光輝くん、あのね。私達、昨日ここで、あるおまじないをしたの」
「まじない?」
「そう、ホントにちょっとした…願かけみたいな簡単なもので、その後に…」
そう言って、少し心配そうな顔で、もう一度佐山さんをみてから、大きく深呼吸した。
「その後に、利奈が、瑞樹くんに、告白しに行くはずだったの」
「は?」
ちょっと、思考が停止して、その直ぐ後に、俺が思ったことは、利奈っていうのは、佐山さんの下の名前か?だったけど、いや、今、考えるのはそこじゃなくて…
「はずだった。っていうのは?」
「それが、そのおまじないをしてくれた佐紀ちゃ…いえ、大沢先輩が、おまじないの呪文を唱えた途端、あの雷が落ちたの、そして、先輩が倒れて、そのまま、意識が戻らないの」
そう言って、横一列に、並んでいた子達が少し動いて、彼女達が、隠していたものが見えた。
そこには、毛布が敷かれ、一人の女子が、横になっていた。
大沢 佐紀子先輩。
生徒会の副会長―
俺でも知っている先輩だった。
「倒れたって、そのままにしていたのか?保健の石崎先生には?救急車、呼ぶとかしなかったのか?」
「そうした方が、良いのは、分かっていたんだけど…」
「何?」
「…」
明らかに動揺している子達の一人が、穂高さんに、黒い背表紙の本を渡した。
「私達が、ここでしていた事は…」
そう言って、その本を、俺に見せてきた。
その本は、黒地に、掠れた銀色の字で、黒魔術と、書かれていた。
黒魔術って、アニメやマンガの知識では、あまりいい感じがしないのだが…
「まじないって、言ってなかった?」
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