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第三章 節約生活
五十四話
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四大精霊が揃い、どんな生活になるのか不安もあったけど、思った以上に快適な生活をおくれている。
部屋の作りのお陰か、裏手に林があるせいなのか、夏でもクーラーを点ける日はあまりない部屋だけど、夏休み近辺はさすがに必要だったのが、キルさんのお陰で、全く必要がない上に、他の三人の協力で、森林浴をしているような気持ちの良い空気が部屋を満たしていた。
妖精達と協力しての掃除も完璧で、気を抜くと散らかり放題だったリビングや瑞樹の部屋が、整理された状態が続いている。
洗濯物も、乾くのが早い上に、アイロンの必要がないほど、ピシッとシワが伸ばされていて、かなり楽になった。
料理に関しては、キルさんが、ハーブ類の使い方に熟知していて、いろいろな組み合わせを教えてくれた。
ダリルくんも、野菜とかの成分を教えてくれて、今までより、使える部分が増えた。ちなみに、ダリルくんに見てもらうと、残留農薬まで分かってしまう上に、ファラムのお陰で、中和どころか、栄養分の増減まで出来てしまうという…精霊凄すぎます。
この時に、手伝ってくれていた妖精さん達は、人間が食べられる植物をハーブとよんでいた。野菜とか果物なんかも、ハーブに入るというので、ちょっと混乱してしまった。
でも、よくよく考えると、食べられる植物全般ハーブっていうのは、楽でいいなぁと、思ってしまった。
そうして、夏休みに突入1日目、瑞樹からアルフさんをかりて、先ずは定番野菜から干していこうと、各種ハーブ類に、トマトや人参、椎茸なんかを乾燥してみた。天日干しより早いといってレンジで作るレシピを見ながら作り出したけど、精霊達にまかせると、更に、それより早く乾燥出来て、面白くてついつい作り過ぎてしまった…
「えっ?なんか、収穫出来る野菜なくなってる?」
夕方になって、保の家の畑の手伝いから帰ってきた瑞樹が、ついでだからと、そのままベランダ菜園の世話をしようと、ベランダに出たとたん疑問を投げかけてきた。
「う、うん。皆に手伝ってもらって、保存食作りをしたら、思った以上に早くできて、面白くなってつい…」
そういって、冷蔵庫の隣、納戸になっているスペースの引き戸を開けて見せる。
「はぁ?何でそんなにギッチリなの?1日で、そんなに作ったの?」
普段は、各種調味料の買い置きやキッチンで使う消耗品、たまに作っていた漬物類で半分程度埋まっていただけのスペースが、今は、一ミリの隙間もないほど、瓶やら保存パックでいっぱいになっていた。
もちろんベランダ菜園の野菜だけでそんなに出来るわけではなく…買った野菜もあるし…俺達の事を見ていたももんぐさんも、面白がって森からいろいろな物を取ってきてくれたのでこんな量になってしまった。
「初めてだから、仕方がないのかもしれないけど…ちょっと、やりすぎじゃない?」
確かに、でも、半分は瑞樹のせいでもあるんだけど…なんせ、アルフさんが、瑞樹についていきたがっているところを無理にお願いして付き合わせたので、出来るだけやってしまおうと、張り切ったのがいけなかった…まぁ、言い訳なんだけど…
「……ああ、明日からは、気を付けるよ」
「えっ、もしかして、まだ、作るの?」
「あっ、いや、乾物はしばらくやらないよ、明日は、漬物系をやろうかなと思ってる」
「えっ?夏に漬物?普段からやってる糠漬けとか浅漬、ピクルスぐらいじゃないの?」
「それもだけど、調味料とか、飲料用の果実系のも作ろうと思って、後は、ジャムとか…」
「ああ、そういうのね。いいねぇ、柑橘系のを多目にお願い」
「分かったよ」
「さて、じゃぁ、シャワー浴びてくるね。出たら夕飯手伝うよ」
「はいよー」
さてと、夕飯は何にしようかなぁと…
「光輝様ぁ、瑞樹様は、柑橘系の果物が好きなんですか?」
今日は、1日猫の姿のまま、手伝ってくれていたアルフさんが、俺達の話を聞いていて質問してきた。
「好きだね。後、酸味のあるもの、なんか、男なのに珍しいとか言われるけど、俺も、別に嫌いじゃないし、正兄とかも好きだからね。男なのにって、言われる方が不思議かな?」
「そうなのですね。でも、この地域では、柑橘系の植物はあまり育たないのでは?」
瑞樹と一緒に畑に行っていたダリルくんは、ベランダのプランターのところで何かやっていたけれど、部屋に入ってきながら、聞いてきた。
「そうなんだよねー、この辺の農家は、林檎や梨、桃に杏、苺のバラ系やあとは、葡萄とかかな、まぁ、どれも、美味しいんだけどね」
「では、明日は、柑橘系を採りにいってきます」
「へ?アルフさん、どういうこと?」
「今日、ももんぐさんが、ノイチゴやヨモギ、アザミなんかを、採ってきていたじゃないですか、ですから、あたしも採りに行ってきます!」
「うーん、でも、天然に生えてる柑橘系って、あるのかな?どれも、所有者がいそうなんだけど…」
「どういうことですか?」
「アルフ、昔みたいに、森に入って自由にとれないんだよ。所有地で栽培されている物が多いから、持ち主のない木を探すのが大変かも」
「うっ、そうなの?それは、その辺に住む精霊とかに、聞けば分からないかしら?」
「大体、分かると思うけど、この国だと難しそうだよ」
「分かったわ。ちょうどいい機会だから、世界っていうのを、見てくるわね。昔とどう変わったのか」
「いきなりかい?心配だなぁ」
「ファラムと一緒に行けないか?」
「キル、どういうこと?」
「ファラムも、石から出ずにいたから、世界を見てないから、見ておいた方がいいと思って、あとは、水の精霊の方が、その場に止まっていることが多いから、人間達の情報も知っていそうだしな」
「なるほどね。じゃぁ、二人で行って、柑橘系の果物、沢山採ってきてよ」
「やったぁ、瑞樹様のために、美味しいの採ってきますね」
椅子の上に立ってダイニングテーブルの上に、置いてある瑞樹が持ち帰った野菜をみていたファラムは、コクコク頷いている。
………えっと、いろいろ、言いたいけれど、精霊達のやることだし…果物の値段もかなりするしな…うん、ありがたい。
部屋の作りのお陰か、裏手に林があるせいなのか、夏でもクーラーを点ける日はあまりない部屋だけど、夏休み近辺はさすがに必要だったのが、キルさんのお陰で、全く必要がない上に、他の三人の協力で、森林浴をしているような気持ちの良い空気が部屋を満たしていた。
妖精達と協力しての掃除も完璧で、気を抜くと散らかり放題だったリビングや瑞樹の部屋が、整理された状態が続いている。
洗濯物も、乾くのが早い上に、アイロンの必要がないほど、ピシッとシワが伸ばされていて、かなり楽になった。
料理に関しては、キルさんが、ハーブ類の使い方に熟知していて、いろいろな組み合わせを教えてくれた。
ダリルくんも、野菜とかの成分を教えてくれて、今までより、使える部分が増えた。ちなみに、ダリルくんに見てもらうと、残留農薬まで分かってしまう上に、ファラムのお陰で、中和どころか、栄養分の増減まで出来てしまうという…精霊凄すぎます。
この時に、手伝ってくれていた妖精さん達は、人間が食べられる植物をハーブとよんでいた。野菜とか果物なんかも、ハーブに入るというので、ちょっと混乱してしまった。
でも、よくよく考えると、食べられる植物全般ハーブっていうのは、楽でいいなぁと、思ってしまった。
そうして、夏休みに突入1日目、瑞樹からアルフさんをかりて、先ずは定番野菜から干していこうと、各種ハーブ類に、トマトや人参、椎茸なんかを乾燥してみた。天日干しより早いといってレンジで作るレシピを見ながら作り出したけど、精霊達にまかせると、更に、それより早く乾燥出来て、面白くてついつい作り過ぎてしまった…
「えっ?なんか、収穫出来る野菜なくなってる?」
夕方になって、保の家の畑の手伝いから帰ってきた瑞樹が、ついでだからと、そのままベランダ菜園の世話をしようと、ベランダに出たとたん疑問を投げかけてきた。
「う、うん。皆に手伝ってもらって、保存食作りをしたら、思った以上に早くできて、面白くなってつい…」
そういって、冷蔵庫の隣、納戸になっているスペースの引き戸を開けて見せる。
「はぁ?何でそんなにギッチリなの?1日で、そんなに作ったの?」
普段は、各種調味料の買い置きやキッチンで使う消耗品、たまに作っていた漬物類で半分程度埋まっていただけのスペースが、今は、一ミリの隙間もないほど、瓶やら保存パックでいっぱいになっていた。
もちろんベランダ菜園の野菜だけでそんなに出来るわけではなく…買った野菜もあるし…俺達の事を見ていたももんぐさんも、面白がって森からいろいろな物を取ってきてくれたのでこんな量になってしまった。
「初めてだから、仕方がないのかもしれないけど…ちょっと、やりすぎじゃない?」
確かに、でも、半分は瑞樹のせいでもあるんだけど…なんせ、アルフさんが、瑞樹についていきたがっているところを無理にお願いして付き合わせたので、出来るだけやってしまおうと、張り切ったのがいけなかった…まぁ、言い訳なんだけど…
「……ああ、明日からは、気を付けるよ」
「えっ、もしかして、まだ、作るの?」
「あっ、いや、乾物はしばらくやらないよ、明日は、漬物系をやろうかなと思ってる」
「えっ?夏に漬物?普段からやってる糠漬けとか浅漬、ピクルスぐらいじゃないの?」
「それもだけど、調味料とか、飲料用の果実系のも作ろうと思って、後は、ジャムとか…」
「ああ、そういうのね。いいねぇ、柑橘系のを多目にお願い」
「分かったよ」
「さて、じゃぁ、シャワー浴びてくるね。出たら夕飯手伝うよ」
「はいよー」
さてと、夕飯は何にしようかなぁと…
「光輝様ぁ、瑞樹様は、柑橘系の果物が好きなんですか?」
今日は、1日猫の姿のまま、手伝ってくれていたアルフさんが、俺達の話を聞いていて質問してきた。
「好きだね。後、酸味のあるもの、なんか、男なのに珍しいとか言われるけど、俺も、別に嫌いじゃないし、正兄とかも好きだからね。男なのにって、言われる方が不思議かな?」
「そうなのですね。でも、この地域では、柑橘系の植物はあまり育たないのでは?」
瑞樹と一緒に畑に行っていたダリルくんは、ベランダのプランターのところで何かやっていたけれど、部屋に入ってきながら、聞いてきた。
「そうなんだよねー、この辺の農家は、林檎や梨、桃に杏、苺のバラ系やあとは、葡萄とかかな、まぁ、どれも、美味しいんだけどね」
「では、明日は、柑橘系を採りにいってきます」
「へ?アルフさん、どういうこと?」
「今日、ももんぐさんが、ノイチゴやヨモギ、アザミなんかを、採ってきていたじゃないですか、ですから、あたしも採りに行ってきます!」
「うーん、でも、天然に生えてる柑橘系って、あるのかな?どれも、所有者がいそうなんだけど…」
「どういうことですか?」
「アルフ、昔みたいに、森に入って自由にとれないんだよ。所有地で栽培されている物が多いから、持ち主のない木を探すのが大変かも」
「うっ、そうなの?それは、その辺に住む精霊とかに、聞けば分からないかしら?」
「大体、分かると思うけど、この国だと難しそうだよ」
「分かったわ。ちょうどいい機会だから、世界っていうのを、見てくるわね。昔とどう変わったのか」
「いきなりかい?心配だなぁ」
「ファラムと一緒に行けないか?」
「キル、どういうこと?」
「ファラムも、石から出ずにいたから、世界を見てないから、見ておいた方がいいと思って、あとは、水の精霊の方が、その場に止まっていることが多いから、人間達の情報も知っていそうだしな」
「なるほどね。じゃぁ、二人で行って、柑橘系の果物、沢山採ってきてよ」
「やったぁ、瑞樹様のために、美味しいの採ってきますね」
椅子の上に立ってダイニングテーブルの上に、置いてある瑞樹が持ち帰った野菜をみていたファラムは、コクコク頷いている。
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