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第四章 節約生活?

七十七話

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「あれ?瑞樹は?今日も、畑に行かないんだっけ?」

 今日は仕事だから、正兄のご飯と味噌汁をよそり手渡すと、瑞樹の事を聞かれた。

「うん、今日は、本屋と、ホームセンターに買い物に行くって言ってたよ。正兄、先食べて」

「はいよ。いただきます」

『……呑気だのう。何やら、大変なことになってるっていうのに』

 ハンモックが気に入って、ユラユラ、ゴロゴロしていたルフナさんが、呆れたような声を出した。

「しっ、ルフナ、まだです」

「なに?、キルさんどうしたの?」

  キルさんが、ルフナさんに注意したので、不思議に思い聞いてみたら、キルさんが視線をダリルくんに向ける。

「ん?」

「アルフとファラムが帰ってきてます。今、瑞樹様と話し合ってます」

「あっ、そうなんだ。話し合いって、寝る場所について?」

「その事も含みます」

「なんか、気になる言い方だねぇ。どういう事?」

「…もう少し、時間がかかる様なので、我々は先にいただきましょうか?今日も、美味しそうですねぇ」

 なんで?そんな風に言われたら、メチャクチャ気になるじゃないか、瑞樹、なにやってるんだろう?

「うーん」

「下手に考えず、流れに任せよう。ご飯、おかわり」

「そうだった。うん、先にいただこう」

 瑞樹と、アルフさん、ファラムを待たずに、皆で朝食をとる。

「あっ、納豆と糠漬けのレタス巻き、美味しいね」

『そうですか?』

『ココのアイディアですぅ』

 何て事を言いながら、ルルと茶々が、ココを肘でつついてる。
 ココは『エヘヘ』と嬉しそうにしてる。

 「糠漬けのピンチョスもヤバイな。食べやすいから、ついつい手が伸びる…塩分控えないといけないのに…」

 正兄は、そう言いながら、ピンチョスを手に取りポリポリ食べてる。空の皿を見れば、五本も串が置かれてる。

「いいんじゃない?夏なんだし、汗で流れるでしょ?」

「精霊達の力を借りるなってことか…」

「あっ、そうか…今まで、夏バテしなくて、元気だと思っていたけど、精霊達のおかげだったんだ」

「まぁね。まぁ、頼り過ぎてもいけないか、今日は、汗を流すか…ポリポリ」

「って、また、食べるー」

『正也が、そんなに漬物食べるなんて珍しいわね。あらっ、母さんのものより、美味しくなってるわ、光輝、やるわねー』
 
 突然聞こえた声に驚いて、声の方を見ると、そこに……

「えっ?ねっ、姉さん?」

『久しぶり、元気そうね』

 正兄の隣に、体長五十センチ程の、母さんが現れて、ピンチョス食べながら、手を降っている。
 えーと、サイズもだけど、身体も透けてるから、幽霊ってこと?朝だけど…

「なっ、なんで?どういう事?」

 俺は、驚き過ぎて、声も出せないけど、正兄が何とか声に出して聞いている。

『ん?ああ、姿が見えるようになったこと?』

「そう」

『昨夜、瑞樹と光輝のお嫁さんが来て、竜神さまに掛け合って、私に力を貸してくれる事になったのよ。光輝のーファラムちゃんが、やってくれたのよ。もう少し慣れてくれば、ハッキリとした姿になるらしいわ』

「「はぁ?お嫁さん?」」
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