エレメント

kaoru

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第五章 貯め活開始…

九十八話

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 キッチンに入ったところで、キルさんとファラムが大きくなった。今日の、バイトについてきてくれて、ちょっと、手伝ってもらった。
 だから、初バイトにしては、スゴいと、皆に言われ、複雑ではあるけれど、ちょっと嬉しかったんだけどなぁー

 ファラムが姿を現すと、その側に妖精達もよってきた。なので、初野菜の乱切りや、適当な野菜を渡し、茄子の大きさに合わせて切ってもらう。

「今日のバイトで見た事を、自分でも試したかったんだけど…どうしようかな?」

「何か、気になることが?」

 スーパーで買ってきたものを仕舞いつつ、呟くとキルさんが首をかしげながら聞いてきた。

「うん、ほら、準備で冷凍海老の殻剥きしたあと、吉田さんが、天ぷら用に包丁使って処理してたでしょ」

 吉田さんは、主に揚げ物担当の人で、四十歳ぐらいで、ちょっと神経質そうな感じのおじさんだ。

「?、背わた取りや、切込みですよね。光輝様もしていたことですよね?」

「そう、そこまではしてたけど、尻尾の方に包丁入れてなかったし、尻尾の黒いのもそぎおとしてなかったから、それをやってみたくて」

「ああ、あれですか、確かに、揚げた後の形や、色味が綺麗になってましたね」

「そう、そうなんだよ。だから、あれがやってみたくて、尻尾つきの海老を買って来たけど…天むすあるからどうしようかと思ってさ」

『海老の天ぷら好きですよ』

『美味しいですよね』

『食べたいです。作らないですか?』

「いや、そうだね。皆が居るから、大丈夫か、残っても、再利用出来るしね。よし、じゃぁ、海老の天ぷらと、茄子の油味噌と、素焼き…は、ズッキーニや、カラーピーマンも入れて、蒸し焼きにしよう。あとは、折角だから、赤だしも作ろうかな」

『赤だしってなんですか?』

「名古屋の名物の味噌汁だよ。八丁味噌っていう赤いお味噌で作るんだ。田楽味噌を作った時に使った味噌だよ」

『ああ、甘味があって美味しかった味噌ですね』

「まぁ、田楽の時は、砂糖やお酒を入れたからね。味噌だけだったら、塩味が勝ってると思うよ」

『しょっぱいですか?大丈夫なんですか?』

「ハハ、そんな心配しなくても、赤だしっていうぐらいで、出汁がきいてて美味しいんだよ」

『そうですか、楽しみです』

 「後は…トルト王の肉はどうしようか」

「それは、いらないと思うわよ」

 母さんとアルフさんが、カウンターから俺達を見ていたらしく、話に加わってきた。
 えっ、あれ?そういえば、さっきの話では、ルフナさんと二人で行ったと言っていた…

「あれ?トルト王はどこで合流したの?」

「お土産が茄子だけっていうことが気に入らなかったらしくて、荷物を運べる精霊いないか聞かれたから、トルト王の事話したら…えっとね。…呼んだらういろう買ってくれるっていうから…ルフナさんに、頼んだの…」

 「ういろうに釣られてトルト王呼んで、伯父さんに、こんなに買わせたの?」

「うっ、買わせたわけじゃないわよ。兄さんが、皆の好みを聞いてきたから答えたら、こうなったのよ。因みに、トルト王は、手羽先貰って、満足したから、今日は食事はいらないって言っていたわよ」

「え?手羽先も…?」

「まだあるわよ。一応、冷蔵庫に入れておいたから、温めなおしてね」

 さっき冷蔵庫開けたけど、考え事していた所為で見落としてた…食べる時に、キルさんにお願いしよう。

「で、ルフナさんは?」

「ルフナさんは、兄さんお薦めの喫茶店で、小倉トーストが気に入って二枚完食したわ」

 はぁー、今朝、俺達が出かける時に、留守番をお願いしたハズなのに…

『手羽先?』

『小倉トースト?』

 ほら、ちゃんと留守番していた妖精達が、興味津々で、視線を向けてきた。

「それも名古屋名物だよ。手羽先は後でだすよ。トーストは明日の朝食で作ろうか」

『ふー、名古屋というところはスゴいですね。食べ物イッパイです』

 むむ、長野にだって、色々あるよ。まっ、まぁ、確かに、名古屋名物おいしいよ。でも、ちょっと、面白くないと思ってしまった。

「ふふ、そうなのよ。その地方特有の食文化があってね。それを楽しみに旅行したりするのよ。でも、慣れ親しんだ地元のモノが一番だと思っちゃうけどねぇ」

「そうだよ。まだ、皆が食べてない料理もあるから、楽しみにしててよ」

『『『おお…?光輝が、なんだか怒ってます…怖いです』』』

「いや、怒ってないから…長野名物も楽しみにしててよ」

『美味しいものが、まだまだ、あるですね』

『ふふふ、楽しみです』

『沢山、食べるです』


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