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kaoru

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第五章 貯め活開始…

九十九話

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 ベランダで鉢植えの世話をしていた瑞樹とダリル君に、パセリとオカヒジキを頼み、天ぷらの用意をしていたところに、正兄が、電話を終えてやって来た。

「ふー、兄さん、墓参りに来るってさ、で、今年は、ここにも寄って精霊や妖精達とも会いたいそうだ。ついでに、お前達の料理も食べたいって言ってたぞ」

「えっ、お盆に来るってこと?いつも、仕事で、お盆は忙しいから、お彼岸頃だったけど…」

「今年は、お盆だってさ、珍しく、お前達と話したいそうだ」

「うわっ、俺達、直也伯父さんと話したこと、あんまりないよ…」

「ああ、情がうつって判断を間違えない様に、距離を取っていたんだってさ、これからは、精霊達と、どう付き合っているか、度々、見に来るって言ってたぞ」

  そっ、そうだったんだ…

「ふふ、そんなに、緊張しなくても、大丈夫よ。私達、兄弟の中で一番優しくて、子供の面倒見が良いのが兄さんだもの、今みたいに、イクメンという言葉が流行る前から、子煩悩で、幸恵さんから、よくノロけられてたもの」

「ああ、確かに…俺なんて、年が離れているから、親父が二人いる感じだったよなぁ」

「え?そうなの?」

「17歳、違いだからな、あっ、今のお前達の歳で、弟が生まれたわけだ。ちぇっ、敵わないわけか…」

「そんなこと言って、お兄ちゃん子で、甘えん坊だったくせに」

「いっ、今はそんなこと関係ないだろ。それに、姉さんが、ずっと、反抗期で、親父達が手を焼いていたからだろ」

「あっ…、そっ、それは、まぁ、反面教師ということで、ね?」

「何が、ね?だよ。身内にとっては、迷惑だよ」

 えっ、そうか、そういえば、母さんと、正兄って、十五離れているんだった。そんなには離れいれば、喧嘩にもならないか…俺は、生まれたときから、瑞樹と一緒だから、なんか、想像つかないな…

「あれ?フライじゃないんだ」

「え?」

 ベランダから、戻ってきた瑞樹にそう言われ、ちょっと、混乱…何故に?フライ?

「ん?だって、名古屋だから」

「ああ、あんなにデカイ海老フライは、できないぞ。それに。バイトでみた天ぷらを再現したかったから、今日は天ぷら!」

「じゃぁ、パセリとオカヒジキも天ぷら?」

「そうだよ。ちょっと、盛り付けも、まねてみようと思ってさ」

「おっ、天ざるの天ぷらか?楽しみだな。他には?」

 そう言って、正兄が、手を洗う。手伝ってくれるらしい、それを見て、瑞樹も、パセリとオカヒジキを洗ってくれる。
 そうやって、皆で夕飯を完成させた。

 
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