異世界人拾っちゃいました…

kaoru

文字の大きさ
25 / 149
牧場見学

カトリーナ軽食店

しおりを挟む
「はい、今朝の鑑定で気になっていたことが、あるんだけど」

 昼食をどこにするかと、皆の意見を聞こうとしたら、リョウが手を上げた。

「何か、朝食買った店以外で、気になる店があったか?」

「そうじゃなくて、タリクさんの朝食を作った人の事」

「ん?タリクさんのって、確か、カトリーナ軽食店って、出てたよな」

「そうだけど…」

「あっ、もしかして、フルネームが出てましたか?」

「うん。で、カトリーナ・ハバー・モン・ルードさんって…」

「あれ?ルードって、もしかして…」

 タリクさんは「参ったなぁ~」と、赤い顔をして、額を掻きはじめた。

「ふふふ、カトリーナちゃんは、タリクの奥さんよ」

「結婚してたんですね?」

「ええ、まぁー」

「タリクの一目惚れで、猛アタックの末にねー」

「メ、メリロット!そっ、その話は…」

 タリクさんは、ワタワタとメリロットの口をふさぐ。

「へー、極上のサンドイッチを作れる奥さんがいるんですね?」

「いいなぁ、極上のサンドイッチ食べたいなぁ」

 俺とリョウが、ニッコリ笑顔でそう言うと、メリロットも賛成とタリクさんを投げ飛ばし……

 皆で、カトリーナさんのお店へ。



「あっ、アナタ、メリロットさん、いらっしゃい」

 カトリーナさんのお店は、市場の入り口から左側の手前にあった。だから、今朝、タリクさんは、俺達を見つけられたのだと納得しつつ、タリクさんの案内で、テイクアウト用に開けた窓口の右横にあるドアを潜る。
 細長く奥に延びた通路があり、左側に、ショーケースがあり、サンドイッチや揚げ物、サラダ、菓子類が並んでいる。ショーケースの続きで、三席程のカウンター席と、その奥に、四人掛けのテーブル席が二つという小さい店だ。
 カトリーナさんは、火の能力が優れている人の特徴である赤い目をしていて、髪の色は黒に近い茶色、その髪を綺麗に編み込んで束ねている。
 火の精霊は我が強く、キツイ印象があり、その能力持ちの人もそういう感じの人が多いと思っていたけれど、カトリーナさんは、少し丸みのある可愛らしい顔立ちのせいか、温かみのある印象をうけた。

 タリクさんが、俺達を紹介すると、話に聞いていたらしく、リョウに困ったことがあれば、力になるからと言ってくれた。

 その後、皆で、リョウの鑑定(タルティーヌ)のお墨付きであるカトリーナさんのサンドイッチとポテトフライ、デザートも堪能した。

 因みに飲み物は…

「カフェオレは、飲んでもいいんじゃないの?」と、言い張るリョウに、カトリーナさんが、コフィアとミルクを半々で入れた普通のカフェオレを作ってくれたけど…

『まだまだ早いです。
 何より、栄養吸収を阻害するので、食前、食事中の飲料は不可。
 妥協案として、コフィア1/9、ミルク8/9に、蜂蜜ティースプーン一杯のカフェオレを食後に、一日一杯だけならOK』

 と、出て、撃沈していた。

 リョウの鑑定を受け、皆も、食事中は果実水か白湯にして、食後にコフィアをいただいた。
 リョウが飲んでも良いとされたカフェオレは…コフィアを入れずに「普通のミルクだけで良いよね」という話で落ち着いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

魔法属性が遺伝する異世界で、人間なのに、何故か魔族のみ保有する闇属性だったので魔王サイドに付きたいと思います

町島航太
ファンタジー
 異常なお人好しである高校生雨宮良太は、見ず知らずの少女を通り魔から守り、死んでしまう。  善行と幸運がまるで釣り合っていない事を哀れんだ転生の女神ダネスは、彼を丁度平和な魔法の世界へと転生させる。  しかし、転生したと同時に魔王軍が復活。更に、良太自身も転生した家系的にも、人間的にもあり得ない闇の魔法属性を持って生まれてしまうのだった。  存在を疎んだ父に地下牢に入れられ、虐げられる毎日。そんな日常を壊してくれたのは、まさかの新魔王の幹部だった。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...