異世界人拾っちゃいました…

kaoru

文字の大きさ
28 / 149
牧場見学

クラリー

しおりを挟む
 昨日、タリクさんから、お願いされた事を受けるかどうか決めるために、指定された場所へと向かう。

 タリクさんの話を聞いてから、リョウは「何とかしてあげて、自分も手伝うから」と、度々、口にしてる。
 お前だって、家族と離れ、異世界に来たばかりなのに…

「おはようございます。今日は、よろしくお願いします」

 指定された建物の入り口で待っていたタリクさんに、挨拶をする。
 シーズの東南の外れにある修行場、モン族で所有しているそうだ。

「おはようございます。こちらこそ、お世話になります」

 タリクさんは、そう言ってから、少し屈み、「娘のクラリーです」と、足にしがみついている女の子を前に押し出した。
 母親譲りの茶色い髪を赤いリボンでポニーテールにし、恥ずかしそうに、自己紹介をしたクラリーちゃんだけど…?少し、視線がおかしい…少し屈んで、こちらも、自己紹介をした。
 クラリーちゃんの瞳は、綺麗な薄紫で、クリクリとした丸い目はとても可愛いが、どうやら焦点があっていないような、おかしな感じがする。

「気がつきましたか、クラリーは、弱視なんです。モノの形がぼんやりとわかる程度です」

「これも、モンディールが原因ですか?」

「いえ、これは生まれつきです。妻の家系で時々いるそうです。モンディール様のお陰で、視界に頼らず生活できるようになったのは、良かったのですが…あっ、ここで、立ち話より、中に入りましょう」

 タリクさんに促され、中に入ると、二十五坪程の広い空間で、床はなく、綺麗に固められた土間になっていた。天井もかなり高い作りになっている。そして、壁や天井に使われているのは、サラマンダーの皮で、それだけで、耐火に優れているのに、更に、熱変動耐性?耐火?…両方かな?そんな印まで、刻まれている。

「さすが、火炎系の魔法や精霊魔法を得意としているモン族の修行場ですね。サラマンダーですか」

 外壁も、燃えにくい鋼の木で、更に、デザトフロークから採れる油を塗り、耐火率を上げているようだった。

「!、ディルさん、分かるのですか?」

「えっ?ええ、親父が皮職人ですから、一通り仕込まれました」

「ああ、しかし、見ただけでなんて、凄いですね。鑑定魔法持ってるんじゃないですか?」

「いえ、ないですよ。あったら、リョウを見つけた時点で、鑑定してますって」

「確かにそうですね。この建物は、この子の為に、里の者が力を合わせて、建ててくれたのです」

「クラリーちゃんのため?」

「はい、先程少し話しましたが、モンディール様の加護を受け、身体強化、気配察知、熱変動耐性、魔力感知を授かり、目が不自由でも、あまり不便を感じない生活が出来るようになったのですが…」

「昨日、話していた魔力操作が不安定で、制御しきれない事で、回りに被害が出るのですね?」

「そうなんです」

 十年前、ここには二十人程が集まれる小屋が建ち、回りは、子供達が遊べるように、遊具や、広場になっていたそうだ。それが、部族で行う祭りの打ち合わせで集まった時に、突然火の手が上がり、建物は燃えてしまったのだという。
 しかも、その火は、人に被害を出さずに、建物を燃やしただけですぐ消えて、皆、唖然としてしまった。
 建物の中にいた人達は訳がわからず。外で遊ばせていた子供達に話を聞き、どうやら、クラリーちゃんのスキルのようだと言う話になり、タリクさん夫婦は、クラリーちゃんに、話を聞いたのだが、本人にも分からないというので、何か手がかりを見つけようとして、外で遊んでいた事を再現したところ…

「どうやら、感情によって、引き起こされるらしいのです。特に、体を動かすことが好きなので、そういった遊びなんかをしていて、楽しいと感じるとクラリーの意思は関係なく火炎が広がってしまうんです」

「はぁ?あのおっさんは、なにやっているんですか?そんなの、加護じゃないでしょ?」

「えっ、ええ?ディ、ディルさん、モンディール様を、おっさん呼びですか?」

 モンディールは、はじまりの物語で、闇の精が生み出された時に、闇を照らすモノとして一緒に生み出された火の精だ。元々、地上に住む者達を気に入っていて、長い年月を経て、神格まで上り詰めたのに、天上には行かず、地上に残り、一応・・、土地神として奉られている。
 モンディール山の名前は、この火の大精霊モンディールの棲みかの山という意味だ。

 この話をした時に、リョウは「火の精霊は、イフリートじゃないの?」と、聞いてきた。
 この世界では、イフリートは、火の精霊が人形ひとがたをとった時の呼び方で、精霊の名前ではないと教えた。
 すると今度は、モンディールは、どんな姿なのか聞いてきたので、膨大な魔力を保有している者に適した形態(本人談)である。ドラゴンの形を模してると教えてやると「神の次は、ドラゴン、来たぁ~」と、喜んだので、今回も取り敢えず、頭を撫でておいた。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

異世界で世界樹の精霊と呼ばれてます

空色蜻蛉
ファンタジー
普通の高校生の樹(いつき)は、勇者召喚された友人達に巻き込まれ、異世界へ。 勇者ではない一般人の樹は元の世界に返してくれと訴えるが。 事態は段々怪しい雲行きとなっていく。 実は、樹には自分自身も知らない秘密があった。 異世界の中心である世界樹、その世界樹を守護する、最高位の八枚の翅を持つ精霊だという秘密が。 【重要なお知らせ】 ※書籍2018/6/25発売。書籍化記念に第三部<過去編>を掲載しました。 ※本編第一部・第二部、2017年10月8日に完結済み。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

処理中です...