異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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牧場見学

打ち込み練習

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 驚き焦るタリクさんを少し放置し、クラリーちゃんの背に合わせ、しゃがんで、俺を認知出来るように、近づいてから「クラリーちゃん、ちょっと、状況が知りたいから、俺と打ち込み練習をしようか?」と、問いかけた。

「えーと、ディル様は、火の精霊魔法とか、熱耐性とか持ってるの?」

 …おっと、様付け?

「う、うん、火の精霊魔法を持っているから、クラリーちゃんの相手が出来るよ。お母さんにも、話を聞いてきたから、大丈夫」

「ホント!父様とうさま、ディル様と、打ち込み練習しても良いですか?」

 クラリーちゃんは、嬉しそうに笑うと、タリクさんに問う。

「あっ、はい、準備してきますね」

 タリクさんは、そう言い、クラリーちゃんを連れて、入り口横にあるドアに入っていく。

 クラリーちゃんの特殊な状態は、十二年前に、突然授かったモンディールの加護の影響だ。
 タリクさんの鑑定でも、原因がわからなかったのだが、代々、炭焼き職人をしているカトリーナさんの実家で、モンディールに聞いてみると、自分の加護の影響で、魔力量が増え、それをコントロール出来なくなっているのだと、教えてくれたそうだ。
 対策を聞くと、感性を磨くための瞑想と、魔力操作を得るための技能や魔術の鍛練が、早道と教えられた。それをしなくても、成長するにしたがい安定するから、心配しなくても良いと言われたそうだ。
 それを聞いた大人達は、安心した。そして、どうせ必要な事だからと、瞑想と鍛練をさせるようにしたのだか、最近、クラリーちゃんの様子がおかしいのだという。
 クラリーちゃんの鍛練には火炎魔法と精霊魔法(火、闇、風)の使い手であるカトリーナさんが、行っているそうなのだが…

『最近、クラリーの魔力に引っ張られる感じがするんです。それに、スピードも、私ではついていけなくなっているのです。このままだと、また、回りに被害を出してしまうのではないかと、心配で…』

 と、カトリーナさんが言って『もし、ディルさんの、指導で魔力操作が身に付くのであれば、是非、指導してください。お願いします』と、頭を下げられてしまった。

 まったく、あのおっさん(モンディール)は何をやっているんだよ。年取って、ボケたか?

「お待たせしました」

 俺が、おっさん(モンディール)の愚痴を考えだしたところで、タリクさんがドアから出てきた。

「え?兜まで、ですか?」

 タリクさんに抱っこされてきたクラリーちゃんの姿に驚いてしまった。
 サラマンダーや火鼠、デザトフロークの皮を使った皮鎧に、兜まで着けている。

「ええ、最近ではこの装備でないと、カトリーナですら、火傷をしてしまうことがあるのです」

「ん?クラリーちゃんの炎は人に害はないのでは?」

「そう思っていたのですが、三年程前に、火炎魔法を取得して以来、普通の炎が混ざるようになって、更に、不安定な状態になってしまったんです」

「それについて、おっさ…いや、モンディールは、何と?」

「……それが、分からないそうです。何かが、作用して、魔力が変質してしまったらしく、モンディール様でも、抑えられないらしいのです。ですから、対策として、この鎧兜を用意して下さいました」

「しかし、この装備は、本人に負担になるのでは?」

「僕達も、始めそう思っていたのですが、クラリーは、思いっきり身体を動かせるので、かなり気に入っているのですよ」

 目の前の兜が、コクコクと上下に動く…まぁ、本人が、気に入っているなら良いのかと思うことにする。

「では、状態を見ますね」

 そう言うと、クラリーちゃんを、タリクさんから受け取り、修行場の中央に行く。
 クラリーちゃんの持っているのは、短剣というには長いけど、長剣にも少し足りないような、なんとも中途半端な長さの練習用の剣だった。
 身体に合う剣が無かったのだろうか?

「じゃぁ、始めようか」

 クラリーちゃんを下ろし、俺も練習用の刃のない剣を構える。

 タンっと、軽い音で飛び出してきた、クラリーちゃんは、切ると言うより、刺すと言う感じに、剣を突きだしてきた。それを、右下から、弾くと、こちらの力に逆らわず、そのまま、左後方に下がり、直ぐに、また飛び込んでくる。そんな感じに、左右に振り分けながら、数十合打ち込みを受けていたが、徐々に、スピードが上がってきて、剣先の鋭さも増してきた。
 
 おいおい、練習用とはいえ、これで突かれれば、命を落としかねないぞっと…

 更に…十数合、変化は突然だった。

 既に、視力だけでは、追えない早さになっていて、身体的には、考えられないような、重い剣を受け止めた瞬間、クラリーちゃんの持っていた剣が弾け飛んだ。

 俺は、慌ててクラリーちゃんと、修行場の中に被害がでないように防壁を張る。

「一体、何が?」

 防壁の向こうで、タリクさんが目を丸くして、呟いている。

「クラリーちゃんの持っていた剣が、壊れたみたい」

 それに答えるリョウ。

「え?リョウ君、今の動きを追えたのですか?」
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