異世界人拾っちゃいました…

牧場見学

モンディール

「ううん、見えなくなっちゃったから、ナビに文字解説頼んだら、実況解説してくれたの、で、最後は、クラリーちゃんの剣が破裂、ディルの防壁により、被害ゼロだって」

「はぁ？」

　リョウの説明に、タリクさんは、更に、混乱してしまったようだ。
　しかし、鑑定魔法で、実況解説って、よくそんなこと思い付くな…リョウの発想力に呆れながら、クラリーちゃんの様子をうかがう。
　自分でも、何が起こったのか分からないらしく、呆然としている。俺は、剣を持っていた右手を取り怪我をしていないか確認する。
　瞬時に張った防壁、怪我がなくて良かった。
大体の問題点は分かったが、少し気になることがある。
　クラリーちゃんを抱っこして、タリクさん達のもとに戻る。

「ディルさん、だっ、大丈夫ですか？」

　タリクさんが、我に返り駆け寄ってきた。

「大丈夫です。それより、ちょっと、気になることがあるので、クラリーちゃんを、リョウに鑑定してもらっても良いですか？」

「え？は、はい…」

「あっ、誤解しないでください、タリクさんの鑑定を疑っているわけではなく、リョウの魔法に、ちょっかい出しているユピロー様の力が借りれると思ったんですよ」

「あっ、そうか、ユピロー様が手を貸してくださるのなら、何か、分かるかもしれませんね。是非、お願いします」

「え？」

　戸惑う、リョウに、タリクさんから、他人に対する鑑定の仕方を教えてもらい、クラリーちゃんを鑑定すると…

　クラリー・ハバー・モン・ルード　二十七歳　ダークエルフ族

　魔力　　光　少量
　　　　　闇　多量

　スキル　身体強化
　　　　　気配察知
　　　　　熱変動耐性
　　　　　魔力感知

　技能　　俊敏
　　　　　直感
　　　　　幸運（確率五十％）

　職種　　狂戦士（仮）『秘匿』
　　　　　（モンディールの魔力の暴走による
　　　　　　もので、魔力操作により、暴走が
　　　　　　なくなれば、失う可能性あり。
　　　　 　　今は、秘匿になっています）

…接種可能食材…
　モンディール山で、栽培及び育った食材はOK
　他所で作られた食材に関しては、毒出しすればOKに…やり方は、都度説明。

…毒性食材…
　青魚は、生食禁止。脳性麻痺になる可能性大。
　その他の魚も注意が必要。

…ポーションレシピ…
　麻痺解毒液薬　胡瓜 　　　一本
　　　　　　　　丸茄子 　　一個
　　　　　　　　赤ペパ 　　三本
　　　　　　　　黄ペパ 　　三本
　　　　　　　　マグワート 一掴み

　　　　　 　　　精霊魔法で、精製された水
　　　　　　　　 三百CCに、みじん切りした
　　　 　　　　　材料を入れ、精霊魔法で、
　　　　　　　　 一時間程煮込む。
　　　 　　　　    アラ熱がとれたら、精霊魔法
　　　　　　　     で、攪拌し、液状になったら
　　　　　　　　 完成。

　　　 ティースプーン一杯で効果有り。
　　　
　　　注意…脳性麻痺には効き目なし！

　取得魔術

　精霊魔法（火、闇、風、光）
　火炎魔法（攻撃特化（モンディールの魔力の暴走によるもので『秘匿』になっています））
　鑑定魔法（自身の食材限定）

　加護

　モンディール

　

指導者（予定）のディルへ

　クラリーの父、タリクの影響により、ワシの魔力が変質してしまったらしい、お主の力で何とかしてくれ。
　追伸…おっさん言うな！ワシは、ボケとらんぞ！

「はぁ？」

　思わず変な声を出してしまった。

「ディルさん、どうしました？何が書かれてますか？」

　タリクさんは、心配そうに、聞いてきたが…リョウは「二十七歳？ええ？」と驚いている。

「あっ、いえ、ちょっと…」

　俺は、言葉を濁しながら『おっさん何やってんだよ。何故、リョウの鑑定に出てきてるんだ？タルティーヌやユピロー様だけじゃないのかよ』と、愚痴ると…

　『おっさん言うなと、言っとるではないか！』とリョウの鑑定書に明記される。

『一体どうなっているんだよ。おかしいだろ？』

『おかしかないわ！リュート家の末っ子あまえんぼうが、異世界の子供を拾って、どう育てるか、天上ではその話題で持ちきりだぞ』

「はぁ？いやいや、おかし過ぎるだろ？そんな事で、おっさんが出てくる理由になるか？しかも、俺の心を読むんじゃねーよ！」

『……あっ、まぁ、まぁ…取り敢えず、今回は、クラリーの件をお前に頼みたくてのう、ユピロー様にお願いしたのだ。そうしたら、リョウの鑑定魔法に割り込めるようにしてくださったのだ。勿論、本人には気づかれぬようにな』

「アホか、こんなんやってたら、バレるだろ！」

『ん？そうか？まぁ良い。とにかく、クラリーの事、頼んだぞ。魔力操作が身に付くように指導してやってくれ。じゃぁな』

「あっ、こら、待てよ。モンディールおっさん！」

　くっ、リョウの魔法を強制終了させやがった。

「あっ、あのう、ディルさん？一体、どなたと話しているんです？」