異世界人拾っちゃいました…

kaoru

文字の大きさ
51 / 149
冒険の始まり

ランクアップ

しおりを挟む
 最近、リョウの機嫌がいい、しかも、俺が見ないようにしていた、依頼を受けるようにもなってきた。

「うっ、それ受けるのか?」

 リョウが手にした依頼は『コヌタマムシ五十匹から受付中』とある…

「だって、今日は、ウィル族の森でしょ。ついでに出来るじゃん。球体障壁覚えたから、ちゃんと、ディルやミンテちゃんに見せないようにするよ」

「う、うん…よろしくな。まぁ、タマムシ属は、高級家具の飾りなんかに使われるから、いい値がつくしな…」

「ディル様、これも出来そうです」

「お、オオシースネークかいいな。防水性に優れた皮が取れるから、数がいるようなら、多めに捕って湿地用の防水カバーを作ろうか」

「えー、蛇…捕るの?」

「まぁ、これは、スピード勝負だから、ミンテと一緒にさっと終わらせるから、なっ」

 昆虫、蜘蛛系の依頼は、俺個人としては受けたくないのだが、ま、まぁ、リョウは、平気で解体の方も問題なく出来るから、任せている。俺は、どうにもあの足の動きが駄目なのだ。六本までならなんとか見れるが、団体さんは勘弁してほしい…それ以上となると…想像しただけで、鳥肌が立ってしまう。が、足のないのは、平気で狩れる。

「居たら直ぐに教えてね。離れるから」

 逆にリョウは、足がないのが駄目だった。特に、水中や砂場にいる蛇の動きが気持ち悪いそうだ。
 
 すごいのは、クラリーちゃんとココで、今のところの狩りで苦手なものはないらしい。
 クラリーちゃんは、今まで、見えていなかったせいか、何でもよく観察するのだ。それこそ、ふくろが破れて散る蜘蛛の子だろうが、湿地帯にいるムカデやゲジゲジなんかも平気で…優秀冒険者の少女と従魔としてギルド内でも、評価が高い。

 因みに、技能試験でいけば、リョウはEランク、クラリーちゃんはなんと、Cランクの技術を持っているらしい。なので、後は、依頼をどんどん受けて、冒険者としての経験値を上げれば自動的に冒険者ランクが上がる。技術ランクと冒険者の経験ランクが一緒になったら、昇格試験が必要になってくる。
 …俺?俺は、リョウの保護者になったから、技術試験は、全力でやって、Aランク!
 それに、依頼もかなりこなしたので、後、一週間もあれば、念願のDランクになる。
 資金もいい感じで貯まって…(今までの報酬で一番良かったのが、ミスリルスパイダーって言うのが、ちょっと、引っ掛かってはいるが…)そろそろ、居所を移動しようかと思っている。

 ウィル族の森方面の依頼を受けて、ギルドを出る。

「皆さん、おはようございます。今朝も、早いですね。はい、お弁当です。頑張ってきてください!」

「クラリー迷惑にならないように頑張るのですよ。でも、無理はいけません、自分の限界を知り、無茶や無謀な行動は慎みなさい」

「はい、母様かあさま分かっております。ディル様の力になれるよう日々精進しています」

「……」

 居所を移そうと思う原因の一つがこれだ。何だかんだで、タリクさんが、ほぼ毎日顔を見せるのだ。
 えーと、一人立ちさせたいんじゃなかったでしたっけ…まぁ、未成年を平気で託されて、戸惑いもあったが、ちょっと、ここまでくると過保護でしょうと言いたくなってくる。
 
「おはようございます。いつも、ありがとうございます」

 タリクさんが抱えていたお弁当を受け取り、ミンテに渡し、代金を払う。始め、いらないと言っていたが、それでは、受け取れないと断ったら渋々受けとるように…まぁ、これがなければ、市場に買いに行くのだから、本当に助かっている。
 仰々しい挨拶がなければ、もっといいのだが…

「じゃぁ、行ってきまーす」

 リョウとクラリーちゃんが、元気に手を降り森へ出発する。

 山菜、薬草、毒草、保存食用の木の実、鼠に蛇、昆虫を採取。リョウはまだ血の匂いに慣れずにいるが、少しずつ解体も覚えてきた。

「俺が、Dランクに上がったら、諸点をニーツに移そうと思っているけど、どうかな?」

 今日の報酬を貰い、家に帰って自分達用の下処理作業中に二人と二匹に声をかける。

『居所をですか?』

「直ぐに、別の大陸に行くんじゃないの?」

「いきなりだと、クラリーちゃんの一家に、心配されそうだから、段々距離をとって、慣れてもらおうと思って、後、お前たちが、昆虫とか平気だから、ここのダンジョンに挑戦しても良いかと思って…」

「え?ダンジョンあるの?」



 




 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...