異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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冒険の始まり

ハバー大陸一周の旅 10

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 昨夜よりは小さくなったが、キングサイズのベッドの上で目が覚めた。
 重みを感じ布団を持ち上げれば、ミンテが腹の上で気持ち良さそうに寝ていて、頭にはどうやらバレンがもたれ掛かっているようだ…広いハズなのに、窮屈さを感じる…

「はい、朝だよ。起きろぉー」

『おはようございます』

 バレンは寝起きが良さそうだ。フワリと舞い上がると、サイドテーブルに降り挨拶してくれた。ミンテは、前足で目を擦りながら、むにゃむにゃと何やら言っている。
 俺は、ミンテをベッドの上に残し、続き部屋を除くと、想像通りバスルームだったので、湯を浴びてから、身支度をする。
 部屋に戻ると、二度寝してしまったらしいミンテを、バレンがつつき起こそうとしていた。

『ディルぅ…痛いですぅ。はう!ど、どなたですか?』

 バレンを見たミンテが、目を丸くして毛を逆撫でて、飛び起きた。

『昨夜より、ディル様に付くことになった。バレンです。よろしくお願いします』

『あ、あう、ミンテです。よろしくお願いしますです…』

 丁寧に挨拶されたので、ミンテも取り敢えず挨拶したようだが、メチャクチャ戸惑っているのがわかる。

「シスが、空も飛べた方が良いだろうって、付けてくれたんだ。仲よくしてくれ」

『はう、ディルぅ』

 俺が声をかけると、ミンテが飛び付いてきたので抱えると、バレンは、右肩に止まる。
 ミンテは、上目遣いでバレンを見ているが話しかけたりしない、バレンは、面白そうにミンテを見ている。
 まっ、段々、慣れてくれれば良い。
 二人をつれて、廊下に出て、子供達の名を呼んでみた。

「「ディル(様)~」」

 俺を呼びながら、二人が飛び出してきた。
 俺の部屋は一番奥の角で、その隣がクラリーちゃんとココ、その向こうがリョウだったらしい。

「なな、なんか、昨日と違う!」

「昨日は、もっと広いお屋敷で、いつの間に移動したのでしょうか?」

「はい、二人とも、落ち着いて、ここは昨日と同じ、シスの家だよ。ただ、昨夜の内に、俺たちの体のサイズに合うように、調整してくれたんだ」

「おお、流石、大精霊!スゴいねぇ」

「そうですね。驚きました。昨日の事は、夢かと思いました」

「確かに、あんなに大きい人初めて見たし、テーブルの上で食事も初めてだったしね」

「あら、もう起きたのね。折角、起こしてあげようと思っていたのに、直ぐに朝食で良いかしら?」

「「え?」」

 俺達に合わせ…って。なぜ、俺と同じ身長にするかなぁ?
 エメラルドグリーンの髪を綺麗に結い上げ、緑と黄色で淡く染められた絹のシンプルなドレスを着たシスを見て、子供達が驚きの声をあげる。
 髪に関しては昨日と同じで、服の色が淡くなっただけだが、大きさが違うだけで、全く印象が変わっていた。

「おはよう。昨日、その姿で出迎えて欲しかったよ」

「おはよ。それは、どういう意味かしら?」

「はぅ、シス様、綺麗」

「本当に、ディルの曾祖母ちゃんなの?あっ、神様だから、歳は関係ないのか。メチャ綺麗で、若い!」

「あら、二人とも、おはよう。朝から、嬉しいこと、ホホホ。朝食は何が良いかしら、好きなものを用意するわよ。一緒に食堂に行きましょうね」

「あ、おはようございます」

「おはようございます。驚き過ぎて、挨拶忘れてました…」

 戸惑いながらも、二人とも嬉しそうに、シスに手を引かれ歩き出した。

「ディルには、ガレットを用意してあるわ、グローブを聞かせたミルクティーもね」

「…ありがとう」

 うーん、良く覚えてるなぁ…

 リョウ達は、ベーコンエッグや野菜たっぷりスープ、焼きたてのパンにハーブバターなんかを頼み、ミンテは俺と同じポテトがメインのガレット、ココは、キジ肉をもらった。
 食後に紅茶、リョウ達には、果実水が出されまったり食休み中。

「さて、リョウ達は、そのまま出掛けられるか?」

「へ?」

「あっ!」

 リョウは、キョトンとしたが、クラリーちゃんは、気が付き頭を押さえて真っ赤になった。

「ディル様、ひどいです。なぜ、先に言って下さらなかったのでですか、ちょっと、失礼します」

 クラリーちゃんの様子を見て、リョウも気付いたらしい。

「あっ、顔とか洗ってなかった…もしかして、寝癖も?」

「あら、起き抜けで、可愛い姿よ」

「はぅ、僕も用意してくるよ」

 驚き過ぎて、朝起きてからの身支度をすっかり忘れていたらしい。
 二人を待っている間。

「二人が来たら、このままトガレー地方に行くよ」

「え?観光は?」

「この旅が終わったら、また来るよ。二人には、初めての土地だから、いろいろ、体験させておきたいんだよ」

「そう、じゃぁ、遊びに来るときは連絡しなさい。それから、これを渡しておくわ」

「これは?」

 シスから渡されたのは、ひし形のペンダントトップが五つ。

「風の防壁の付与しておいたわ。バレンに乗っても、自分で魔術操作しなくてもいいようになっているし、暴風でもびくともしないわよ。旅のお守りとして持ってなさい」

「おお、助かるよ。ありがとう」

「…クラリーちゃんの鎧は良いとして、リョウ君の鎧まで、モンディールに頼まなくても良かったんじゃない?ミスリルスパイダーの殻は、風や大気との方が相性良いのに…」

「いや、別におっさんに頼んだ訳じゃなくて、バーンさんに頼んだんだよ。一応、耐火耐熱関係は付けてもらうけど、後は、シスに頼もうかと思っていたよ」

「本当に?ちょっと、怪しいけど。まぁ、いいわ。鎧が出来たらちゃんと連絡するのよ」

「分かってるよ」

 うーん、素材からいって、ミスリルスパイダーでは、神器にはならないと思っていたけど、シスまで手を加えたら…

「お待たせー、今日はどうするの?」

 リョウ達が、用意を済ませ、元気に戻って来たので、シスの家をあとにする。
 玄関で見送ってくれたシスが、最後に―

「トガレー地方には、ガランが遊びに来てるわよ。リョウ君達の為に、何か良いもの貰いなさいね。じゃぁ、また、遊びにくるのよ」

 一応、笑顔で手を振り、別れを告げてから、内心ため息をはく。

 しばらく歩いてから、リョウが「ガランさん?って、誰?」と、クラリーちゃんに聞いている。

「ガラン様は、始まりの物語で、小人族と巨人族を追い込んだ穴を掘って下さった。地の大精霊ですよ。モンディール様や、シス様と同じく、神格化していて、普段は天上に居られます」

「えーと、そのガラン様も、ディルの知り合いなんだよね?」

「おそらく、そうですよね?」

 リョウは戸惑い気味に、クラリーちゃんは、何故か良い笑顔で、首をかしげこちらを見上げてきた。

「まぁ、知り合ってはいるな…」

「「やっぱり…」」


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