異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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冒険の始まり

ハバー大陸一周の旅 11

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 緩やかな登りになっている樺林を歩いていると、小川が見えた。

「この小川から向こうがトガレー地方になる」

 そう言って、川にかけられた小さな橋を渡る。傾斜も少し急になってきた。

「って、ここまでシーズなの?」

「言ってなかったか?」

「おお、シーズって広いんだね」

「そうですか?ウィル族の森の半分ぐらいですよ?トガレーも同じくらいの大きさですし」

「え?そうなの?」

「大体な。この大陸の五割がウィル族の森だ。で、シーズは、草原がほとんどで、トガレーは山間部、人口は少くなく、動物や魔獣が多いし、資源の宝庫で、ハバー大陸の冒険者の仕事場でもあるな。この地は、闇の精霊と地の精霊の加護を持っている」

「へぇ、ん、なんか木も変わってきた。ここは…カラマツ林?」

「お、モンディール山には、生えてないのに良くわかったな」

「うん、じいちゃんと森とかに入ったりしてたから、少しは分かるよ」

「ニホンにもあるってことか、それなら、これから入る場所も知ってるかな?」

「「入る場所?」」

「そう、ここだ」

 立ち止まりそう言ったが、リョウ達は、訳が分からないと言うようにキョトンとしている。

『ここに、なんかあるです。これなんですか?結界?』

 ミンテは、気がついたようで、前足を上げ目の前をつついている。

『それは、境界線ですよ。そこを通る時に審査されます。審査に受かれば、恵みを得られますが、落ちれば弾かれてしまいます。どういう基準かは、知られていませんよ』

『審査?』

『試しに、顔を入れてみてはどうですか?』

『え?怖いですよぉ、何があるのか、教えてくださいです』

「ミ、ミンテちゃん?誰と話してるのですか?」

 ミンテと俺の肩に居るバレンの会話だが、バレンはリョウ達には見えず、声も聞こえてないらしい。クラリーちゃんが、驚きながらミンテに聞いている。
 へぇ、地上の者には見えないと言っていたけど、仲間にも認識されないんだな。
 何も聞いてこないから、違和感があったけど、そういうことか…

『バレンとですよ?』

「バレン?どなたですか?」

『え?ディル、どういうことですか?』

「バレンは、地上の者に姿を見せることは出来ないのか?」

『いえ、大きくなれば、見れますよ。でなければ、乗せられませんから』

 それもそうか…普段は、亜空間住まいで、今は、仮の姿という感じかな?

「じゃぁ、ちょっと、姿を見せてくれるか?皆に紹介するから」

『いつ、紹介していただけるかと、心配しておりました。良かったです』

 そう言って、フワリと舞い上がると、少し拓けた場所に、大きな姿になった。

「わっ?」

「え?」

 リョウ達は、目と口を大きく開けて、バレンを見上げている。

『昨夜から、ディル様に使えることになったバレンです。お見知りおきを』

 そう言って、右の羽を胸に持っていき、お辞儀をした。
 リョウ達は、それを見て慌てて、自己紹介をしている。

 器用だなぁ。

 俺が、バレンの姿に感心していると、リョウが、バレンを見ながら服を引っ張った。

「どうした?」

「し、白いカラスも、魔獣なの?」

「うーん、魔獣でも、居るのだが…」

 確か、この世界に、二羽いて、二羽ともユピロー様じいさんの使いになってるはずなんだよなぁ…

『私は、まだ肉体を持ってませんよ。魔獣になる前段階です』

「そうなのか?」

『はい、なので能力も定まっていないので、変更可能です。何か、欲しいものがあればシス様に申告して下さい』

「おお、それは、助かるな」

「うーん?僕自信じゃなくて、回りがチートになっていく…そういう話?」

 俺とバレンの間で、リョウが何やら呟いている。
 クラリーちゃんは、バレンに近づき何やらお願いしている。クラリーちゃんの言葉を聞き、足を曲げ低い体勢になったバレンに、クラリーちゃんは抱きつき、笑顔で頬擦りしている。

「あっ、クラリーちゃんズルい、僕も!」

 うちの子達は、本当にモフモフ好きだよなぁ。

「はいはい、自己紹介が済んだから、先に進むよ」

 俺の声に反応して、バレンは小さくなって肩に戻ってきた。

「あれ?」

 リョウ達は、急に見えなくなったバレンに驚き、キョロキョロしている。

「普段は、おれの肩に居るよ」

「えー、ズルい。もう、なんでディルばかりモテるかなぁ?」

 いや、これもモテるっていうのか?

「あっ!転異者は、従魔契約出来ないとかあるの?」

「いや、そういう話は聞かないなぁ、普通に、相性が会えば、契約出来るハズだ」

「そうなんだ。よし、トガレーは魔獣も多いんだよね。気の会う子が居るかもしれない!」

 どうやら、トガレーでのリョウの目標が決まったらしい…

「魔獣探しも良いが、まずは、ここに入ってみよう」

「えーと、私達には、分からないのですが、その先には何があるのですか?」

「出来れば、これを感知出来るようになっておいた方が良いかな。精霊に教えてもらうようにするか、探索魔法でここの魔力を判別出来るようにしておけば、食料に困らない」

 そう言いながら、俺は境界線を跨いだ。
 後ろに続くリョウ達も弾かれずに済んだようで、後ろで歓声の声を上げている。

「モース族の住み処なのですね。凄いです」

「そうモース族の里だよ」

「モース族の里…きのこは山じゃないの?」

「ん?ああ、モース族の森の恵みは、リョウの世界では、きのこ言うのだっけ?でも、なんで山なんだ?山のように沢山採れるのか?」

「あっ、いや、何でもないよ。でも、モース族きのこの里ってことは、ここで狩りをしても良いの?」

「狩り?いや、ここに入れる事の出来た者は、モース族が作る恵みを分けてもらえるんだ」

「んん?きのこが、きのこを作っているの?」

「ん?えーと、そうだなぁ。モース族がきのこを作っていると考えようか」

「違いが分からない…」

「モース族は、普段は姿を現さないから、この場には、モース族の森の恵みきのこしかないぞ」

「あっ、そうなの?なんだ、ビックリしたぁ。なんか、いろんな形や色をしているけど、食べられないのはあるの?」

「食べるのに的さないのもあるが、薬にも使われるから、選ぶ必要はないが、採りすぎには注意が必要だ。乱獲すれば、次は、入らせてもらえないからな。大体、一人辺りこれぐらいの入れ物かな」

 直径十五センチ程の丸底で、高さが二十センチの麻袋を三つ鞄から出して渡す。

「これイッパイに採ればいいの?」

「ああ、いろんな種類を入れてきてくれ」

 それから、一時間ほどかけて里の中を歩き回り、森の恵みを分けてもらった俺達は、礼を言ってから、入って来た時とは違う所から里の外に出た。

「おお、池だ!」

「ちょうど開けているし、ここでお昼にしようか」

 池の畔に、麻布を敷き森の恵みを広げ、風の精霊や光の精霊に乾燥をお願いする。
 わちゃわちゃと精霊達が集まり作業している横に、ラグを敷き、シスが持たせてくれたサンドイッチを広げて、お昼にする。




 







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