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冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 12
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「ほっほっほー、久しいのう。ワシもしょうば!んなぁー!!」
後から聞こえた声に反応し、勝手に身体が動いてしまった…
俺の行動に反応出来たのは、肩に止まっていたバレンだけ。
『ちょ、ディル様?何してらっしゃるんですかぁー』
と、叫びながら、俺が池に向かって投げたモノを追いかけた。
「「なっ、なに?」」
ミンテとココは、毛を逆撫でて、池の方と俺の後ろを気にして右往左往して、リョウ達は、訳もわからずキョトンとしている。
「うーん、気配察知か、魔力感知は常に使えるようにしておいた方がいいと思うのだが…二人とも、注意不足じゃないか?」
「え?あっ!なに、凄い魔力感じるけど…ん?この場合、どっちに気を付けるの?」
リョウが、気づいたが、ミンテ達と同じ状態に…
「初めまして、クラリーと申します。お見知りおきを」
クラリーちゃんは、立ち上がり、俺の背中に向けて丁寧に自己紹介をしている。
『ギャッ!』
クラリーちゃんの挨拶に返ってきた言葉だ…
「え?何、うわっ、かわい…い?」
クラリーちゃんの行動を目で追って後ろを見たリョウが声を上げ、近づきかけたが、動きを止め、戸惑ったようにこちらを見てくる。
「ディル、ディル、か、可愛いけど、なんか凄い魔力を、感じる?」
俺は振り向いて、その子を持ち上げて膝に乗せる。ミンテとココが、ジト目で見てくる。
「こんにちは。どうです?一緒にお昼にしませんか?」
俺の言葉にコクコクと頷いたので、ローストチキンを挟んだサンドイッチを小さく切って口許に運んでやると口を大きくあけてかぶりついてきた。
「ディル?お知り合い?」
リョウが、何やら複雑な表情で聞いてくる。
「名前は『烈震』、四大竜王の一柱のアースドラゴンだよ。ちょうど、転生の時期だったらしい」
「本物のドラゴン、キター。…ホントに?」
瞬間的に笑顔になったが、膝の上の子を見て首を傾げる。それに釣られて烈震もコテンと首を傾げた。
なんか、ほっこりするね。
「ワシを投げ飛ばして、話を進めるでないわー」
ガツン!
折角、和んだ雰囲気だったのに、空から降ってきて、俺の頭を踏みつけたヤツを両手で掴み顔を近付ける。
『うわっ、ガラン様まで何を?』
上空では、ガランを運んで来たらしい、バレンが何やら騒いでいる。
「本当に、お久しぶりですね。ガラン様。今日は、どの様なご用件でしょうか?」
「う、ディル?しばらく見んうちに、凄味が増したのではないかのう?」
ノーム姿のガランは逃れようと、暴れながら、横に来ていたクラリーちゃんに助けを求めるように、目を潤ませて両手を伸ばす。
イラッ
髭図らのおっさんのそんな行動をみて、イラついたので、池に放りこむ。…ポチャン
「うぎゃー」
再び、バレンに救出されたガランは、クラリーちゃんの後ろに回り込み、こちらを気にしてる。
「…えっと、地の大精霊のガラン…さま?なんだよね?」
リョウの言葉に、俺を横目で見ながら、コクりとうなずくガラン、ちょっと、視線を向ければ、クラリーちゃんの背に隠れてしまう。
「えーと、ディル様?どの様なご関係なのか、お聞きしても宜しいでしょうか?」
「蠱毒って知ってる?」
「こどく?」
クラリーちゃんは、首をかしげ、リョウは、何やら考えこんでいる。
「それって、百匹の動物とか虫とか使ってやる呪術?だかってやつ?」
「そう、それだ。昔、獣人族住む大陸の密林で猛毒を精製するために、大陸中の毒虫で行われた事があったんだ」
「流石に、それは、気持ち悪いかな…」
虫は平気なはずのリョウの表情がひきつっている。
「その穴に…モンディールと酒盛りして、酔っ払った大精霊のガラン様が、俺を投げ落としたんだ」
「うそ!」
「本当ですよね。ガラン様?」
クラリーちゃんが無言で、俺の目の前に抱え上げてくれたので、笑顔で問いかける。
「わ、若気の至りじゃ…」
「若気?三十五年前ですよ?確か、神格化したのは千年ほど前でしたっけ?ガラン様は、何億歳でしたかね?」
「うう、悪かった…その後、ユピロー様を筆頭に吊るし上げられたんじゃ、だから、こうして謝りに来たのではないか」
「謝りに?そのわりには、挨拶もそこそこに、サンドイッチに手が延びてましたよねぇ?」
「………」
「………」
「あう、すまなんだ。この通りじゃ」
クラリーちゃんの手を振り払い、地面に降りたガランが、土下座してきた。
半泣き状態で、頭を下げる大精霊…
あれ以来姿を見ないと思っていたら、神々から吊るし上げられてたらしい…
「で、この子は、どうしてここに?本来は、マクー大陸を住み処にしているはずですよね?」
謝罪を受け取り、皆で食事をした後、コケモモの実の果実水を皆で飲みながら、ガランと一緒にきた烈震の事が気になり聞いてみる。
「可愛いじゃろう?」
何故か、誇らしげにそんなことを言い出したガランの頭を持ってもう一度聞いてみる。
「どうしてここに?」
「あぅ…、どうしたと言われても…このおかしな現象の解決策は、そ、そこの、転異者だと言われたのだよ。ユピロー様に…」
後から聞こえた声に反応し、勝手に身体が動いてしまった…
俺の行動に反応出来たのは、肩に止まっていたバレンだけ。
『ちょ、ディル様?何してらっしゃるんですかぁー』
と、叫びながら、俺が池に向かって投げたモノを追いかけた。
「「なっ、なに?」」
ミンテとココは、毛を逆撫でて、池の方と俺の後ろを気にして右往左往して、リョウ達は、訳もわからずキョトンとしている。
「うーん、気配察知か、魔力感知は常に使えるようにしておいた方がいいと思うのだが…二人とも、注意不足じゃないか?」
「え?あっ!なに、凄い魔力感じるけど…ん?この場合、どっちに気を付けるの?」
リョウが、気づいたが、ミンテ達と同じ状態に…
「初めまして、クラリーと申します。お見知りおきを」
クラリーちゃんは、立ち上がり、俺の背中に向けて丁寧に自己紹介をしている。
『ギャッ!』
クラリーちゃんの挨拶に返ってきた言葉だ…
「え?何、うわっ、かわい…い?」
クラリーちゃんの行動を目で追って後ろを見たリョウが声を上げ、近づきかけたが、動きを止め、戸惑ったようにこちらを見てくる。
「ディル、ディル、か、可愛いけど、なんか凄い魔力を、感じる?」
俺は振り向いて、その子を持ち上げて膝に乗せる。ミンテとココが、ジト目で見てくる。
「こんにちは。どうです?一緒にお昼にしませんか?」
俺の言葉にコクコクと頷いたので、ローストチキンを挟んだサンドイッチを小さく切って口許に運んでやると口を大きくあけてかぶりついてきた。
「ディル?お知り合い?」
リョウが、何やら複雑な表情で聞いてくる。
「名前は『烈震』、四大竜王の一柱のアースドラゴンだよ。ちょうど、転生の時期だったらしい」
「本物のドラゴン、キター。…ホントに?」
瞬間的に笑顔になったが、膝の上の子を見て首を傾げる。それに釣られて烈震もコテンと首を傾げた。
なんか、ほっこりするね。
「ワシを投げ飛ばして、話を進めるでないわー」
ガツン!
折角、和んだ雰囲気だったのに、空から降ってきて、俺の頭を踏みつけたヤツを両手で掴み顔を近付ける。
『うわっ、ガラン様まで何を?』
上空では、ガランを運んで来たらしい、バレンが何やら騒いでいる。
「本当に、お久しぶりですね。ガラン様。今日は、どの様なご用件でしょうか?」
「う、ディル?しばらく見んうちに、凄味が増したのではないかのう?」
ノーム姿のガランは逃れようと、暴れながら、横に来ていたクラリーちゃんに助けを求めるように、目を潤ませて両手を伸ばす。
イラッ
髭図らのおっさんのそんな行動をみて、イラついたので、池に放りこむ。…ポチャン
「うぎゃー」
再び、バレンに救出されたガランは、クラリーちゃんの後ろに回り込み、こちらを気にしてる。
「…えっと、地の大精霊のガラン…さま?なんだよね?」
リョウの言葉に、俺を横目で見ながら、コクりとうなずくガラン、ちょっと、視線を向ければ、クラリーちゃんの背に隠れてしまう。
「えーと、ディル様?どの様なご関係なのか、お聞きしても宜しいでしょうか?」
「蠱毒って知ってる?」
「こどく?」
クラリーちゃんは、首をかしげ、リョウは、何やら考えこんでいる。
「それって、百匹の動物とか虫とか使ってやる呪術?だかってやつ?」
「そう、それだ。昔、獣人族住む大陸の密林で猛毒を精製するために、大陸中の毒虫で行われた事があったんだ」
「流石に、それは、気持ち悪いかな…」
虫は平気なはずのリョウの表情がひきつっている。
「その穴に…モンディールと酒盛りして、酔っ払った大精霊のガラン様が、俺を投げ落としたんだ」
「うそ!」
「本当ですよね。ガラン様?」
クラリーちゃんが無言で、俺の目の前に抱え上げてくれたので、笑顔で問いかける。
「わ、若気の至りじゃ…」
「若気?三十五年前ですよ?確か、神格化したのは千年ほど前でしたっけ?ガラン様は、何億歳でしたかね?」
「うう、悪かった…その後、ユピロー様を筆頭に吊るし上げられたんじゃ、だから、こうして謝りに来たのではないか」
「謝りに?そのわりには、挨拶もそこそこに、サンドイッチに手が延びてましたよねぇ?」
「………」
「………」
「あう、すまなんだ。この通りじゃ」
クラリーちゃんの手を振り払い、地面に降りたガランが、土下座してきた。
半泣き状態で、頭を下げる大精霊…
あれ以来姿を見ないと思っていたら、神々から吊るし上げられてたらしい…
「で、この子は、どうしてここに?本来は、マクー大陸を住み処にしているはずですよね?」
謝罪を受け取り、皆で食事をした後、コケモモの実の果実水を皆で飲みながら、ガランと一緒にきた烈震の事が気になり聞いてみる。
「可愛いじゃろう?」
何故か、誇らしげにそんなことを言い出したガランの頭を持ってもう一度聞いてみる。
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