74 / 149
冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 19
しおりを挟む
「どうした?何か、違ったか?」
「ううん。その通りなんだけど…日本にいるときにあまり考えてなかったから…一人で生きてる訳じゃないって、言ってる人とかいたけど、良くわかってなかった…人同士助け合う事はあるけど、結局、一人じゃないの?って、思っていたけど、人だけじゃないんだね。僕一人が生きるのに、毎日、いろいろな命を貰ってるんだなぁって、実感した。なんか、もっとちゃんとしよって思った」
「なんか、漠然とした言い方だけど、悪くない。ここまで成長するのに沢山の命をもらっているわけだから、それを無駄にしないためにも、前に進まないとな」
「うん、頑張る」
『結局、一人じゃないの?』と言う言葉が、少し気になったけど、今は、聞かない方が良いのかなと、なんとなく思った。
こんな子供が、一人で生きてると思うなんて、どんな生活していたのだろう…
それから、また薬草を採りながら山を登っていると、リョウの頭の上で「ギャッ、ギャギャ」と、烈震が鳴いたので、足を止める。
『何者かが、近づいて来てるらしいですけど…私は、まだ、感知できてません』
「ミンテの探索魔法にも、反応ないですよ」
俺の、探索をお願いしている精霊達も、まだ、何も言って来ない…
「烈震くん、ミンテちゃん、どうしたの?」
「烈震が、何かが、こちらに近付いて来てると言っているけど、ミンテもバレンも、俺もまだ感知出来てない」
「「あっ」」
『私のにも、何も引っ掛かってません』
リョウとクラリーちゃんは、また、忘れていたらしい…慌てて、魔法を発動させる。
「うーん、僕もわからないや」
「私もです…かなり離れているのでしょうか?」
「ギャー、ギャギャ、ギャッ」
『…六十キロ先から、真っ直ぐこちらに向かってくるそうです』
六十…
「それは、こちらに向かって来てると言えるのか?途中で、止まる可能性もあるんじゃないか」
「ギャギャ、ぎゃー!」
「イタッ、イタタ…。れ、烈震くん、爪、爪立てないでよ」
『我の言うことを信じないのかと言ってますよ』
「はいはい、落ち着いて。どっちから、来るんです?」
いつもは、リノ牧場で作った中折れ帽を被っているのだが、烈震が乗るには少し安定しなかったので、脱いでいたのがいけなかった。硬度で言ったら、ダイヤモンドと同じアースドラゴンの爪で頭を引っ掛かれたリョウがその場にうずくまる。
リョウの頭から烈震を抱き上げると、ココが、すぐに治療してくれた。
『北西の方から、山を越えて来るそうです』
三千メートルの山をひとっ飛びか、すごいなぁ…
寒さに強い風の精霊に様子を見に行ってもらうと、すぐに戻ってきて『仲間だ』と知らせてきた。
『仲間?精霊ってことか?』
『新しく創られた魔獣です。北の大陸から、雪の女王様からこちらに来るよう言われたそうです』
『「あっ」』
ミンテとリョウが、声をあげた。
二人とも十キロぐらい、探索魔法を使えるのか…ミンテはともかく、リョウは、本当に人族か?魔術のセンスから言ったら、魔族と同じじゃないか?
「なんとなく、良い感じの気配だけど…何?鳥なのかな?」
『いえ、鳥と違う動きのようですけど…敵ではないけど…ミンテは、イヤな感じです』
「え?ミンテちゃん、それどういうこと?」
『ぎゃぎゃ』
『流石だ。と言っていますが、なんの事でしょう?私も、敵対心は感じられませんから…どわっ』
「どわっ」
敵じゃないということで、ちょっと、油断してしまった。
百メートルから、一気に俺の顔面に、それは張り付いてきた。
俺の場合、身体強化もあるし、精霊達の手助けもあるが…一歩間違えれば、即死レベルだろ?
「こんなことして、本当に敵じゃないのか?」
「うわっ、雪ん子だ♪」
顔に張り付いた奴が、服を着ていたので、その襟首を持ちぶら下げると、魔族や獣人族の一部で着られている。着物を着た全体的に白色で、瞳は温かみのある茶色をしている小さな女の子?が、こちらを見て微笑んでる。
「雪ん子?リョウは、この新種の魔獣を知っているのか?」
「ううん。その通りなんだけど…日本にいるときにあまり考えてなかったから…一人で生きてる訳じゃないって、言ってる人とかいたけど、良くわかってなかった…人同士助け合う事はあるけど、結局、一人じゃないの?って、思っていたけど、人だけじゃないんだね。僕一人が生きるのに、毎日、いろいろな命を貰ってるんだなぁって、実感した。なんか、もっとちゃんとしよって思った」
「なんか、漠然とした言い方だけど、悪くない。ここまで成長するのに沢山の命をもらっているわけだから、それを無駄にしないためにも、前に進まないとな」
「うん、頑張る」
『結局、一人じゃないの?』と言う言葉が、少し気になったけど、今は、聞かない方が良いのかなと、なんとなく思った。
こんな子供が、一人で生きてると思うなんて、どんな生活していたのだろう…
それから、また薬草を採りながら山を登っていると、リョウの頭の上で「ギャッ、ギャギャ」と、烈震が鳴いたので、足を止める。
『何者かが、近づいて来てるらしいですけど…私は、まだ、感知できてません』
「ミンテの探索魔法にも、反応ないですよ」
俺の、探索をお願いしている精霊達も、まだ、何も言って来ない…
「烈震くん、ミンテちゃん、どうしたの?」
「烈震が、何かが、こちらに近付いて来てると言っているけど、ミンテもバレンも、俺もまだ感知出来てない」
「「あっ」」
『私のにも、何も引っ掛かってません』
リョウとクラリーちゃんは、また、忘れていたらしい…慌てて、魔法を発動させる。
「うーん、僕もわからないや」
「私もです…かなり離れているのでしょうか?」
「ギャー、ギャギャ、ギャッ」
『…六十キロ先から、真っ直ぐこちらに向かってくるそうです』
六十…
「それは、こちらに向かって来てると言えるのか?途中で、止まる可能性もあるんじゃないか」
「ギャギャ、ぎゃー!」
「イタッ、イタタ…。れ、烈震くん、爪、爪立てないでよ」
『我の言うことを信じないのかと言ってますよ』
「はいはい、落ち着いて。どっちから、来るんです?」
いつもは、リノ牧場で作った中折れ帽を被っているのだが、烈震が乗るには少し安定しなかったので、脱いでいたのがいけなかった。硬度で言ったら、ダイヤモンドと同じアースドラゴンの爪で頭を引っ掛かれたリョウがその場にうずくまる。
リョウの頭から烈震を抱き上げると、ココが、すぐに治療してくれた。
『北西の方から、山を越えて来るそうです』
三千メートルの山をひとっ飛びか、すごいなぁ…
寒さに強い風の精霊に様子を見に行ってもらうと、すぐに戻ってきて『仲間だ』と知らせてきた。
『仲間?精霊ってことか?』
『新しく創られた魔獣です。北の大陸から、雪の女王様からこちらに来るよう言われたそうです』
『「あっ」』
ミンテとリョウが、声をあげた。
二人とも十キロぐらい、探索魔法を使えるのか…ミンテはともかく、リョウは、本当に人族か?魔術のセンスから言ったら、魔族と同じじゃないか?
「なんとなく、良い感じの気配だけど…何?鳥なのかな?」
『いえ、鳥と違う動きのようですけど…敵ではないけど…ミンテは、イヤな感じです』
「え?ミンテちゃん、それどういうこと?」
『ぎゃぎゃ』
『流石だ。と言っていますが、なんの事でしょう?私も、敵対心は感じられませんから…どわっ』
「どわっ」
敵じゃないということで、ちょっと、油断してしまった。
百メートルから、一気に俺の顔面に、それは張り付いてきた。
俺の場合、身体強化もあるし、精霊達の手助けもあるが…一歩間違えれば、即死レベルだろ?
「こんなことして、本当に敵じゃないのか?」
「うわっ、雪ん子だ♪」
顔に張り付いた奴が、服を着ていたので、その襟首を持ちぶら下げると、魔族や獣人族の一部で着られている。着物を着た全体的に白色で、瞳は温かみのある茶色をしている小さな女の子?が、こちらを見て微笑んでる。
「雪ん子?リョウは、この新種の魔獣を知っているのか?」
0
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる