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冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 37
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不死か…
本当の意味では、実感できない。
考えても、どうこう出来る事でもないので、保留にして、今は、子供達の様子を見ることにした。
「ふむ、ユキには…いや、女王の方か、もう少し、魔力を抑えることを学ばせないといけないな。あれでは、冒険者としては、生活は厳しくなるぞ」
リョウ達の方に戻らずに、俺達と一緒にクラリーちゃん達の様子を見ていたおっさんが、渋い顔をした。
まぁ、確かに、ユキが魔力を駄々漏れしているせいで、生き物が近くに居なくなっている。
危険は少ないから良いかと思っていたが、あれでは、確かに、討伐依頼を受けられなくなってしまうか。それに、アレに、反応し、高ランクの魔獣や、戦い好きの神獣なんかを刺激してしまうのも、良いこととはいえなしな…普段は、烈震や俺が居るから良いが、離れた時はヤバイかな…
「なんとかなる?」
「んー、直ぐには、無理だな。この大陸に居る内は良いが、出る時までには何とかせねばなぁ」
「昨日、リョウが持っていた獣人族の魔道具でなんとか出来ないかなぁ?」
「ああ、あれか…あれは、確か、シスがシンシアに授けた呪いだな。魔力操作は、大気の精霊の方が長けとるしな。シスに聞いてみよ」
って、簡単に言うって事は…
『シス、観てるよね?』
『…何かしら?』
『え?説明いる?』
『モンディールじゃないけど…可愛くないわね。でも、何とかしてあげるわよ。可愛い曾孫の頼みですもの!ただし、ちょっと、そっちに呼んでもらえないかしら?』
『えっ?ひい…いや、シスもここに?』
『ダメなの?』
うわっ、なんか圧を感じる!大気が重い!そんなバカな…
「うギャ…」
『私も、ですか…?シス様…ヒドイです』
俺だけじゃなく、頭の上の烈震と肩にいるバレンにも、何かが作用しているらしい…
『ダメじゃないよ。早く来て、力を貸して欲しいです』
そう言ったとたん、圧がなくなり、爽やかな風が吹いたと同時に、緑色の髪をした俺と同じ背の美少女が、現れて抱きしめられた。
「もう、最初から素直に呼べば良いのよ。もう少し、賢くなりなさい」
「相変わらずだのう…で、雪の女王の魔力はなんとかなりそうなのか?」
「ふふ、もちろん!あなたやガランと違って、繊細な魔力操作が私の売りですもの!」
シスが何やら、自信ありげに胸を反らせた後、烈震に何やら耳打ちしている。
「ぎゃぁーぎゃっ、ルルル」
「さすが、烈震ちゃん、素晴らしいわね」
人の頭の上で何をやっているんだ?
「はい、これをユキちゃんにつけてあげてね」
シスが、目の前に垂らしたモノを見ると、半透明の緑色の石で、円錐形を合わせた菱形のモノが揺れている。
「ここを見て、目盛りが付いているでしょ?」
手に取りよく見ると、円錐形の繋ぎ目の下の部分に目盛りがあり、数字も刻まれている。上の部分には逆三角形が刻まれている。
「この上の矢印を、下の目盛りに合わせて、魔力量を調節出来るわ。普段の行動位なら、一ね。お土産を送るために物を氷付けるなら三ね。因みに、今の状態は、八よ」
「え?そんな風に調節出来るの?変に魔力が貯まって暴走しない?」
「大丈夫よ。ユキちゃん個人の力なら、確かに、危ないけど、雪の女王と繋がっているから心配ないわ。それに、その道具を使って、ユキちゃんに必要な魔力量を学ばせられると思うわよ」
えーと、今は、外部からの干渉によって、分身体のようなユキを動かしているのだっけ?
「いや、創るときに干渉しただけで、今は、女王が動かしているが、魔力量が適切ではないのだ。いくら女王とはいえ、あれでは、負担が大きいハズなのだがなぁ」
「ここは、モンディールが居るから、抑制出来ているのよ。他の大陸にこのまま行ったら、更に、過剰になって、動物に避けられるだけじゃなく、植物もダメになってしまうわよ」
普通に考えていた事に、平気で答えないでもらえるかなぁー
「ふふふ、お主がまだまだ、未熟なのだ。成長すれば、ワシらでも、読むことは出来なくなる」
「あら、そんなの、寂しいわ。ディルは、このままで良いのよ」
「分かったから、頭を撫でないでよ。シス」
いつの間にか、烈震を左手に抱き、右手で俺の頭をなでて、というより、ワシャワシャと髪を乱してるシスを止める。
「あのう、シス様まで、集まってどうしたのでしょうか?」
近くで騒ぎすぎた…クラリーちゃん達に気付かれ、声をかけてきたクラリーちゃんが、シスの前に来て、深々頭を下げて挨拶している。
ユキはポカンと口を明けシスを見上げて、ココは、何故かおっさんの足元に隠れるように座っている。
「はう、女王様の母上と同じぐらい、キレーなお人です。だっ、抱っこしてください」
「まぁ、可愛らしいわね」
シスは、そう言うとユキを抱き上げ、俺の時とは違い、優しく頭をなでて、ユキにお土産を持ってきたと言い、俺に合図する。
「シスが用意した雪の女王の魔力量を調整する道具だよ。今のままだと、女王やユキの負担が大きく、周りにも何かしら影響が出てしまうらしい。これからは、これを下げて、必要な魔力を出すようにしようね…」
使用目的を、ハッキリと理解したわけではないが、皆と冒険するために必要なことなんだよと説明すれば、頑張って覚えますと、鼻を膨らましガッツポーズをして見せた。
それが、シスの何かにヒットしたらしい…
「この子、私が貰っちゃダメかしら?」
「これこれ、それでは、折角、女王に芽生えた好奇心を摘み取ることになる。今なら、女王の城に行けば、そやつらが、わちゃわちゃ居るぞ。そちらに、行け」
「えー、この子が良いわ」
「大丈夫だ。シンクロしておる」
本当の意味では、実感できない。
考えても、どうこう出来る事でもないので、保留にして、今は、子供達の様子を見ることにした。
「ふむ、ユキには…いや、女王の方か、もう少し、魔力を抑えることを学ばせないといけないな。あれでは、冒険者としては、生活は厳しくなるぞ」
リョウ達の方に戻らずに、俺達と一緒にクラリーちゃん達の様子を見ていたおっさんが、渋い顔をした。
まぁ、確かに、ユキが魔力を駄々漏れしているせいで、生き物が近くに居なくなっている。
危険は少ないから良いかと思っていたが、あれでは、確かに、討伐依頼を受けられなくなってしまうか。それに、アレに、反応し、高ランクの魔獣や、戦い好きの神獣なんかを刺激してしまうのも、良いこととはいえなしな…普段は、烈震や俺が居るから良いが、離れた時はヤバイかな…
「なんとかなる?」
「んー、直ぐには、無理だな。この大陸に居る内は良いが、出る時までには何とかせねばなぁ」
「昨日、リョウが持っていた獣人族の魔道具でなんとか出来ないかなぁ?」
「ああ、あれか…あれは、確か、シスがシンシアに授けた呪いだな。魔力操作は、大気の精霊の方が長けとるしな。シスに聞いてみよ」
って、簡単に言うって事は…
『シス、観てるよね?』
『…何かしら?』
『え?説明いる?』
『モンディールじゃないけど…可愛くないわね。でも、何とかしてあげるわよ。可愛い曾孫の頼みですもの!ただし、ちょっと、そっちに呼んでもらえないかしら?』
『えっ?ひい…いや、シスもここに?』
『ダメなの?』
うわっ、なんか圧を感じる!大気が重い!そんなバカな…
「うギャ…」
『私も、ですか…?シス様…ヒドイです』
俺だけじゃなく、頭の上の烈震と肩にいるバレンにも、何かが作用しているらしい…
『ダメじゃないよ。早く来て、力を貸して欲しいです』
そう言ったとたん、圧がなくなり、爽やかな風が吹いたと同時に、緑色の髪をした俺と同じ背の美少女が、現れて抱きしめられた。
「もう、最初から素直に呼べば良いのよ。もう少し、賢くなりなさい」
「相変わらずだのう…で、雪の女王の魔力はなんとかなりそうなのか?」
「ふふ、もちろん!あなたやガランと違って、繊細な魔力操作が私の売りですもの!」
シスが何やら、自信ありげに胸を反らせた後、烈震に何やら耳打ちしている。
「ぎゃぁーぎゃっ、ルルル」
「さすが、烈震ちゃん、素晴らしいわね」
人の頭の上で何をやっているんだ?
「はい、これをユキちゃんにつけてあげてね」
シスが、目の前に垂らしたモノを見ると、半透明の緑色の石で、円錐形を合わせた菱形のモノが揺れている。
「ここを見て、目盛りが付いているでしょ?」
手に取りよく見ると、円錐形の繋ぎ目の下の部分に目盛りがあり、数字も刻まれている。上の部分には逆三角形が刻まれている。
「この上の矢印を、下の目盛りに合わせて、魔力量を調節出来るわ。普段の行動位なら、一ね。お土産を送るために物を氷付けるなら三ね。因みに、今の状態は、八よ」
「え?そんな風に調節出来るの?変に魔力が貯まって暴走しない?」
「大丈夫よ。ユキちゃん個人の力なら、確かに、危ないけど、雪の女王と繋がっているから心配ないわ。それに、その道具を使って、ユキちゃんに必要な魔力量を学ばせられると思うわよ」
えーと、今は、外部からの干渉によって、分身体のようなユキを動かしているのだっけ?
「いや、創るときに干渉しただけで、今は、女王が動かしているが、魔力量が適切ではないのだ。いくら女王とはいえ、あれでは、負担が大きいハズなのだがなぁ」
「ここは、モンディールが居るから、抑制出来ているのよ。他の大陸にこのまま行ったら、更に、過剰になって、動物に避けられるだけじゃなく、植物もダメになってしまうわよ」
普通に考えていた事に、平気で答えないでもらえるかなぁー
「ふふふ、お主がまだまだ、未熟なのだ。成長すれば、ワシらでも、読むことは出来なくなる」
「あら、そんなの、寂しいわ。ディルは、このままで良いのよ」
「分かったから、頭を撫でないでよ。シス」
いつの間にか、烈震を左手に抱き、右手で俺の頭をなでて、というより、ワシャワシャと髪を乱してるシスを止める。
「あのう、シス様まで、集まってどうしたのでしょうか?」
近くで騒ぎすぎた…クラリーちゃん達に気付かれ、声をかけてきたクラリーちゃんが、シスの前に来て、深々頭を下げて挨拶している。
ユキはポカンと口を明けシスを見上げて、ココは、何故かおっさんの足元に隠れるように座っている。
「はう、女王様の母上と同じぐらい、キレーなお人です。だっ、抱っこしてください」
「まぁ、可愛らしいわね」
シスは、そう言うとユキを抱き上げ、俺の時とは違い、優しく頭をなでて、ユキにお土産を持ってきたと言い、俺に合図する。
「シスが用意した雪の女王の魔力量を調整する道具だよ。今のままだと、女王やユキの負担が大きく、周りにも何かしら影響が出てしまうらしい。これからは、これを下げて、必要な魔力を出すようにしようね…」
使用目的を、ハッキリと理解したわけではないが、皆と冒険するために必要なことなんだよと説明すれば、頑張って覚えますと、鼻を膨らましガッツポーズをして見せた。
それが、シスの何かにヒットしたらしい…
「この子、私が貰っちゃダメかしら?」
「これこれ、それでは、折角、女王に芽生えた好奇心を摘み取ることになる。今なら、女王の城に行けば、そやつらが、わちゃわちゃ居るぞ。そちらに、行け」
「えー、この子が良いわ」
「大丈夫だ。シンクロしておる」
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