異世界人拾っちゃいました…

kaoru

文字の大きさ
93 / 149
冒険の始まり

ハバー大陸一周の旅 38

しおりを挟む
「ディル、昨日のを作って欲しいです。イッパイ作って欲しいです」

 ユキが、シスに抱っこされながら、大きく手を広げ、俺に訴えてくる。
 用事が終われば、帰ると思っていたが、ユキを気に入り、暫く居るというシスと一緒に、クラリーちゃん達に、今日の成果を聞くと、収納庫に詰められた沢山の植物を見せて、昨夜作ったタッジーマッジーを作って欲しいとお願いされた。

「じゃぁ、お昼を食べた後、皆で作って、女王様に送ろうか?」

「ユキも作れるですか?」

「コツさえ掴めばすぐ出来るよ」

「はい、ユキもやります」

 そんな感じで、午後は、タッジーマッジー作りの講習会を行うことに―
 因みに、モンディールは、お昼前に、リョウ達の所に戻っていった。

「少し大きめの花を中心にして、その回りにいろいろな植物をおいていこう、そして、最後に大きな葉の植物で縁を固めたら出来上がりだよ。始は、色のコントラストで好きなのを作って見ようか」

 俺が説明をしながら、同じものを作らせると、二人とも、綺麗に作ることができたので、次は、好きな様に作らせる。

「色の組み合わせ以外で、選ぶ基準があるのですか?」

「薬としての働きがあるんだよ。組み合わせによって、空気清浄したり、虫除けになったり、臭い消しや、安眠作用を目的としてもね。あとは、プレゼントとして、感謝や愛情を表すものとして使ったりね」

「花言葉を使って、メッセージを送るのですね。素敵ですねぇ」

「まぁね。だから、女王のお土産に良いと思ったんだ」

「モンディール様が、あの時、健康と幸運と言っていたのは、その事だったのですね」

「そういう事だね。でも、それは、いろいろ勉強してからで、今日のところは、好きな色でやってみようか」

「はい」

 クラリーちゃんと、ユキに、飾りに使えそうな素材を足した後、シスに任せて、リョウ達の様子を見に行くことにした。

 リョウは、集落の中の修練場にいるのでそちらに向かうと、ココも後をついてきた。

「クラリーちゃんに、付いてなくて良いのかい」

『シス様がいますから』

「モンディールに隠れてたけど、シスは苦手?」

『あっ、いえ、そんなことありませんが…初対面が…』

「ああ、インパクトありすぎたね。まぁ、直に慣れるよ」

『そういう、ディル…様も、苦手ですよね?』

「ハハ…まぁね。って、様?」

 今まで、呼びすてだったのに…

『あ、いえ、いろいろ、聞いてみると、スゴい方なのだと思って…』

「参ったなぁ…仲間なんだし、今まで通りで良いよ」

『はぁ、しかし、これから先も、いろいろありそうなんですが…』

「ハハ…否定は出来ないかな?」

『やっぱり…』

「ココは、心配性だな。本当に、おっさんが創ったのか?…そう言えば、バレンもか、本当にシスに創られたのか?」

『え?こちらに飛び火が…』

 いきなりふったせいか、少し慌てたバレンだが。一拍おいた後…

『『だからですよ』』

 ココとバレンの声が重なった。

「ぎゃっぎゃっぎゃっ」

 烈震が笑い出す。

 ココは、バレンの声が聞こえないせいか、キョトンと烈震を見て、バレンは、何かを悟った様な目で遠くを見ている。
 俺は、訳が分からず一人オロオロしてしまった。

「え?反面教師ってこと?」

『いえ、そうではありません。初めの頃は、性格や能力面も自分に似た感じのモノを創っていたようです。しかし、それでは、バランスが悪いことに気がついたんです』

『モンディール様もです。特に、私は弱視のクラリーの補助に付くために創られましたから…』

「ああ、自分の苦手部分を補わせる様なモノ達を創るようにしたのか…そして、心配性のココやバレンが生まれたのか、ハハハ、そういうことか」

 伊達に、長いこと生きてる訳じゃ無いんだ。自分自身を、よく分かってるって事か?
 
 今思えば、俺は、ちょっとばかし、丈夫に生まれたせいで、本人が直接面倒見てくれたおかげで、かなりヒドイ目に合ったからな…

『失礼ね。私は、可愛がってあげたのよ!』

『ワシは、鍛えるために預かったのだ。あれくらい出来んでどうする』

 …だから、普通に考えてる事に、返事するなよ。

『リョウを見習い、精進せい』

『ダメよ。ディルはこのままで良いのよ』

 …はいはい。

 でも…こんなに、ちょっかい出してくるということは…そうか、ここの集落の事を考えれば、神って、皆、心配性なのか?

『『…』』

 真逆だと思ったけど、天上から、地上人俺達観て、何か、危険に遭遇すると、ココやバレンの様にオロオロしている神々の画が浮かんできた。

『弱いくせに、好奇心がありすぎるのだ』

『本当に、大人しくしてれば良いのに!』

 図星だったらしい…ちょっと、意外だ。





 



 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...