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冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 45
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巨大カエルを麻で編んだ網に入れ、ユキに冷やしてもらい、動きが鈍くなっている一匹を精霊達と俺が持ち、もう一匹を、烈震に少し手伝ってもらいつつ、リョウが持ち、小さいカエル達は駕籠に入れ、ココとミンテが支えつつクラリーちゃんが持って集落に戻る。
「あれ?ディルさ…ええ?コートンフローグ、一メートル越えが二匹?」
守衛が俺達を見て、驚いている。
「お、おい、皆、大変だぁー」
その守衛が、詰所の集落側の窓から中に声をかけ、集まった人達が、何やら叫んで俺達の所に来て、カエルを運ぶのを手伝ってくれる。
「はぁ、加護持ちというのは、こういうことなんですね…」
「一メートル越えなんて、二、三年に一匹捕まえられるかどうかなのに…半日で二匹…」
「こっちにも、六十センチのモノと、ダークフローグが五匹もいるぞ」
「はぁ?それだけでも、半年分じゃないか、そんな狩り場どこにあったんですか?」
うう、耳が痛い…
「まぁ、運が良かったんですよ…ハハハ」
皆、ため息をつき「そういうことにしておきましょう」と言ってくれた。
カエルを運搬するための冷却効果ある網にそれぞれ入れられて、大きな木箱の一つに入れられた。
「更に、オオモグラの毛皮が十匹分ですか…」
アランさんが、そう言って眉間のシワを右手の指で揉んでいる。
「ここで支払いできる報酬金額を越えてしまっているので、残りは…えーと、所属ギルドはシーズでしたね。シーズのギルドで受け取るようにしてもらってもいいですか?どうしても必要なら五日程待ってもらうようになるんですが?」
「あっ、いえ、全額、シーズで受け取りでいいですよ」
「はぁ…、そうしてもらえると助かります…」
アランさんは、力なくそう言って、複雑な表情で微笑み。
「なんかもう、凄すぎて、素直に喜んで良いのかどうか…一昨日から夢を見てるような、不思議な感じですよ…。今日の、ディルさん達の成果もですが、まさか、自分が神に会って、聖域暮らしをすることになるなんて…」
「あれ?モンディールに会ったのも初めてですか?」
「幼いときに、里に来たことがあって、一度は見ましたがね。まさか、話をする日がくるとは思ってなかったですよ」
「モンディール山から離れていると、そんな感じなんですね。この辺だと、ガランやシスの方が会いますか?」
「いやいやいや、二柱は天上住まいじゃないですか、そもそも、親族に神がいる知り合いがいませんから、会いませんよ。ディルさん達が特殊なんです!」
そ、そうだったのか…
「ハハハ…」
笑って誤魔化すことにする。
「えーと、じゃぁ、また、洞窟に行ってきますね」
「え?まだ、採りますか?」
「あっ、いや、後は、自分達が欲しい素材採取にします」
「あっ、そうですか…」
この場から逃げようと、また、洞窟に行こうとすると、顔をひきつらせ、カエルを入れた箱に視線を向けたので、慌てて訂正する。
あんなに、驚かれたのだから、これ以上は採りませんよと…そしたら、物凄くホッとされた…
冒険者として、ちょっと、複雑な気持ちを味わってしまった。
「よし、これで、普通の洞窟探検が出来るんだね!」
仕切り直しということで、再び、皆で洞窟へ。
「さっきのが、異常だったのは分かるけど…素材になるようなものいないね」
『…ですね。土の中にも見当たらないし、烈震さん、あんなに大きいの何処から引っ張ってきたんですか?』
リョウとミンテが先頭で、探索しつつ烈震に質問してる。
「ぐーるる、ぐる。ギャギャゥ」
「あっ、確かに!半径三十キロまで広げれば、まだ、五匹ほど居るッスよ」
「三十…、やっぱり、地竜親子には、敵わないね…」
『ですね…』
リョウ達は、肩を落としてた。
「でも、こんなに広いのですから、もう少し何か居てもよさそうですよね」
『本当、魔力を持たないモノ達だけというのも変ね』
真ん中では、クラリーちゃんとココが、弱めの火と光魔法で、生き物をあまり刺激しないような優しい照明を担当しながら呟いている。
そうなのだ。再挑戦したのはいいが、今度は、特に採取するモノがない昆虫や蝙蝠、ヘビやトカゲばかり出てくる。しかも、大きい生き物で有名なトガレーには珍しく、魔力を持たない小型種ばかり。
意味のない狩りはしたくないので、精霊やミンテの闇魔法で、足止めし通りすぎるようにしているのだが、本当に獲物がいない…
「ルルル、ルールル。ガフ、るる」
『そうなのですか?』
「ルルルー!」
「へー、リョウ、ミンテ、探索に使う魔力が多すぎるらしいッス。ディル程度に抑えるようにしないと、魔力持ちは姿を現さないそうですよ」
「え?探索魔法の魔力を抑える?どういうこと?」
『範囲を狭めれば良いですか?』
「チッチッチッ、るる、くーくる」
「違うみたいッス。今の状態だと、回りに存在を知らせてるから、意味がないみたいッスよ。ちゃんと、隠密で調べる癖をつけないダメらしいッス。ディルを見習って」
「ぎゃーくく」
「座禅だな。だそうッス」
…俺は、別に魔力を抑えている訳ではないんだが…
ここは、黙って地竜親子に任せてみようか…
「あれ?ディルさ…ええ?コートンフローグ、一メートル越えが二匹?」
守衛が俺達を見て、驚いている。
「お、おい、皆、大変だぁー」
その守衛が、詰所の集落側の窓から中に声をかけ、集まった人達が、何やら叫んで俺達の所に来て、カエルを運ぶのを手伝ってくれる。
「はぁ、加護持ちというのは、こういうことなんですね…」
「一メートル越えなんて、二、三年に一匹捕まえられるかどうかなのに…半日で二匹…」
「こっちにも、六十センチのモノと、ダークフローグが五匹もいるぞ」
「はぁ?それだけでも、半年分じゃないか、そんな狩り場どこにあったんですか?」
うう、耳が痛い…
「まぁ、運が良かったんですよ…ハハハ」
皆、ため息をつき「そういうことにしておきましょう」と言ってくれた。
カエルを運搬するための冷却効果ある網にそれぞれ入れられて、大きな木箱の一つに入れられた。
「更に、オオモグラの毛皮が十匹分ですか…」
アランさんが、そう言って眉間のシワを右手の指で揉んでいる。
「ここで支払いできる報酬金額を越えてしまっているので、残りは…えーと、所属ギルドはシーズでしたね。シーズのギルドで受け取るようにしてもらってもいいですか?どうしても必要なら五日程待ってもらうようになるんですが?」
「あっ、いえ、全額、シーズで受け取りでいいですよ」
「はぁ…、そうしてもらえると助かります…」
アランさんは、力なくそう言って、複雑な表情で微笑み。
「なんかもう、凄すぎて、素直に喜んで良いのかどうか…一昨日から夢を見てるような、不思議な感じですよ…。今日の、ディルさん達の成果もですが、まさか、自分が神に会って、聖域暮らしをすることになるなんて…」
「あれ?モンディールに会ったのも初めてですか?」
「幼いときに、里に来たことがあって、一度は見ましたがね。まさか、話をする日がくるとは思ってなかったですよ」
「モンディール山から離れていると、そんな感じなんですね。この辺だと、ガランやシスの方が会いますか?」
「いやいやいや、二柱は天上住まいじゃないですか、そもそも、親族に神がいる知り合いがいませんから、会いませんよ。ディルさん達が特殊なんです!」
そ、そうだったのか…
「ハハハ…」
笑って誤魔化すことにする。
「えーと、じゃぁ、また、洞窟に行ってきますね」
「え?まだ、採りますか?」
「あっ、いや、後は、自分達が欲しい素材採取にします」
「あっ、そうですか…」
この場から逃げようと、また、洞窟に行こうとすると、顔をひきつらせ、カエルを入れた箱に視線を向けたので、慌てて訂正する。
あんなに、驚かれたのだから、これ以上は採りませんよと…そしたら、物凄くホッとされた…
冒険者として、ちょっと、複雑な気持ちを味わってしまった。
「よし、これで、普通の洞窟探検が出来るんだね!」
仕切り直しということで、再び、皆で洞窟へ。
「さっきのが、異常だったのは分かるけど…素材になるようなものいないね」
『…ですね。土の中にも見当たらないし、烈震さん、あんなに大きいの何処から引っ張ってきたんですか?』
リョウとミンテが先頭で、探索しつつ烈震に質問してる。
「ぐーるる、ぐる。ギャギャゥ」
「あっ、確かに!半径三十キロまで広げれば、まだ、五匹ほど居るッスよ」
「三十…、やっぱり、地竜親子には、敵わないね…」
『ですね…』
リョウ達は、肩を落としてた。
「でも、こんなに広いのですから、もう少し何か居てもよさそうですよね」
『本当、魔力を持たないモノ達だけというのも変ね』
真ん中では、クラリーちゃんとココが、弱めの火と光魔法で、生き物をあまり刺激しないような優しい照明を担当しながら呟いている。
そうなのだ。再挑戦したのはいいが、今度は、特に採取するモノがない昆虫や蝙蝠、ヘビやトカゲばかり出てくる。しかも、大きい生き物で有名なトガレーには珍しく、魔力を持たない小型種ばかり。
意味のない狩りはしたくないので、精霊やミンテの闇魔法で、足止めし通りすぎるようにしているのだが、本当に獲物がいない…
「ルルル、ルールル。ガフ、るる」
『そうなのですか?』
「ルルルー!」
「へー、リョウ、ミンテ、探索に使う魔力が多すぎるらしいッス。ディル程度に抑えるようにしないと、魔力持ちは姿を現さないそうですよ」
「え?探索魔法の魔力を抑える?どういうこと?」
『範囲を狭めれば良いですか?』
「チッチッチッ、るる、くーくる」
「違うみたいッス。今の状態だと、回りに存在を知らせてるから、意味がないみたいッスよ。ちゃんと、隠密で調べる癖をつけないダメらしいッス。ディルを見習って」
「ぎゃーくく」
「座禅だな。だそうッス」
…俺は、別に魔力を抑えている訳ではないんだが…
ここは、黙って地竜親子に任せてみようか…
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