異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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冒険の始まり

ハバー大陸一周の旅 54

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 リョウに近付き門の向こうを見ると、緑がかった銀髪を短くし、青みの強いグレーのローブを身に纏った人が片膝ついて頭を下げている。そういう事か…その横で、ユキがローブを引っ張り何か言っている。

 アガトー様かな?

「じいちゃん、じいちゃんも、ちょっと、一緒に来て」

「ん?なんじゃ?何がおる…ああ、アガトー、そんな畏まって出迎えなくていい、皆。恐縮してしまっておる」

「しかし、ユピロー様、娘の暴走を短時間で止めて下さった恩人様方ですので」

 膝はついたまま、顔を少しあげてじいちゃんに答える。
 やはり、アガトー様だった。じいちゃんみたいな若作りではなく、俺達でいうと二百才ぐらいの外見を創っている。

 しかし、あの出迎えって、じいちゃんに対してじゃないのか?

「リョウ、クラリーちゃん、二人が先に入って」

「え、え、なんで?」

「どういうことですか?」

 戸惑う二人の背を少し押しながら、門を潜る。

 アガトー様が、優しい笑顔で二人を視界にいれる。

「リョウ様に、クラリー様ですね。この度の娘の暴走を止めていただきありがとうございました」

「「え?」」

 二人が名を呼ばれ、お礼を言われたが、いきなりの事で戸惑っている。
 俺は、そんな二人の横を通りアガトー様の前に出て、同じ様に片膝をつき、アガトー様に、暴走の原因を作ってしまった事をお詫びする。

「いえ、ディル様が、頭を下げる必要はないですよ。あの子は、時々、こういう事があるのです。まぁ、今回は、広範囲でしたが…いつもの小規模のモノでも、私達では、鎮めるのに丸一日以上かかってしまうのです。それが今回は、五時間程でおさまり、助かりました。ユキを創った時に、こんな効果もあるとは思わなかったので、私共も非常に驚いております」

 とんでもないことを仕出かしたと思っていたが、アッサリと笑顔で許されてしまった…

「ほれほれ、二人とも、座りこんでいないで、さっさっと、仕事をせよ。ここの他にも、手伝ってもらうのだからな、アガトーも、明日、女王が落ち着いのを確認したら、ゲトー大陸に行き、川を落ち着かせるのだぞ」

「はい、勅命承ります」

 アガトー様は、じいちゃんに向かい頭を下げる。じいちゃんは、頷くとそのまま、門を潜り、戻っていった。それを見送ると、アガトー様は、スクッ立ち上がり、俺にも、立つよう促してくれる。
 改めて、自己紹介をしていると、ユキが、アガトー様に両手を伸ばし抱っこをせがむ。

「四日、五日?ぶりぐらいですかね。抱っこしてあげてください」

 俺がそう言うと、アガトー様は、相好を崩し、ユキを抱き上げる。孫娘を可愛がるお祖父さんのようだ。

「元気にしているようだな。早速、送ってくれた土産は、女王も気に入っておった、ありがとよ」

「ハイです。ディルに教えてもらったです。他にも、見つけるので、待ってて下さい」

 えへへ、と笑いながらユキが答えてると、部屋のそこかしこから、ピコピコと白い影があらわれ、それは、皆、ユキのような姿になり、わちゃわちゃと集まってきた。

「やっ、これはイカン、女王を待たせ過ぎたようだ。さっ、こちらに、女王の所に案内しよう」

 集まってきた雪ん子達を見て、少しおどおどしたいたリョウ達も回復し、雪ん子に引っ張られながら、通路を進む。

 その雪ん子達は…ユキの様な外見の者の他にも、ハナの様に獣人族の様な者、長耳の俺達に近いものも、角を持つ魔族っぽい者、ユキより更に小さくて、背中にハンマーやツルハシを背負っている者までいる…ドワーフ族を模したのか?
 どうやら、全種族の雪ん子を創ったようだ。まだ、見えないが、海に面してるところには、人魚っぽい雪ん子もいるような気がする。

「ふわー、もう、何、この可愛い子達?全種族集めたの?」

「そうなんだよ。ユキを創れたことが嬉しかったらしくて、それから、今まで見た種族の雪ん子を創り出してね。多種族パーティーを組ませて、城を探検させるのが、最近のお気に入りなんだよ」

「うわっ、何それ、楽しそう」

「しかも、種族の特色も出てきて、後で、お見せしますが、この子達、ちょっと凄いことまでしてるんですよ」

 ふふふと、自慢気に話をする川の神…

 大勢の雪ん子とアガトー様に案内されて大広間にたどり着く、入り口から正面の所に氷で造られた玉座があり、そこに、アガトー様と同じような青みの強いグレーの着物を着た雪の女王と思われる方が座っているのだが、それよりも目が引くものが、玉座の後ろの壁に…

「うわ、キレー」

「はい、お美しい方ですねー」

 そう、玉座の後ろの氷の壁の中に、長い黒髪に羊の様な角を持つ、魔族の美しい女性がいるのだ。

「妻のアナベルです。あの子が生まれる前に、亡くなったのですが、あの子が、ああして保存しているのです。私でも、近付く事が出来ません」
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