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冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 61
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「一部の神が勝手に言ってるだけですが、災害時に空の精霊達が気になっている箇所を修正するために、規模の大きさを変える事があるんですよ。で、今回は、この河の周辺が飽和状態で育ち憎くなっていたのと、毒性のモノが増え過ぎていたので、氾濫させたみたいですね」
「え?そんなことしてるんですか?」
「そうなんです。地上の動植物は、放っておくと、何故かどんどん弱くなるんですよね。それでいて、協力し合うかと思えば、足の引っ張りあいで、更に衰退していくことが多くてね。それを防ぐためのものだと思えばいいよ」
「…本当ですか?」
「本当ですよ。空の観察記録にも載っているので、機会があったら見てみて下さい」
「はい…」
「それより、モンディールに会いに行った方が良いのでは?」
アガトー様は、そう言って海の一角に目を向ける。
そちらを見れば、黒い煙が勢いよく空に上っていくのが見える。
「今、近づいても大丈夫でしょうか?」
「噴火事態は落ち着きましたよ。ちょっと面白いことになっているようです」
アガトー様は、そう言って微笑んでいる。
何か、引っ掛かるものがあるが、気になってはいるので、別れを告げハバー大陸に向かうことにする。
トガレーで、リョウ達と合流してから見に来ようと思っていたが、先に見ておこう。
「うわっ、これは…」
近づくと明らかに今までとは違う大陸の様子が見えてくる。
「…確か、この近海には、パルー族の集落があったハズですが…」
「え?そうなのか?」
ハバー大陸の南東に位置するモンディール山、内陸側の斜面にモン族の集落がある。
だから、反対斜面、海側に土石流なんかが流れるようにしたとは聞いていたが…それが、海に流れ込み大陸の面積を広げていた。
そして、更にバレンから、爆弾発言が…
以前、メリロットに分布図を見せてもらったときに、もっと良く見ておけばよかった。
「あっ、大丈夫だったよう…ですが…ん?」
熱が冷めず海水を蒸発させているので視界が悪く、熱気もスゴいので、上空から観察していると、俺より目の良いバレンが、何か見つけたようだ。
近づくと、海上にモンディールの後ろ姿が見え、その前には数人の人魚族かな?海から顔をだしおっさんと何か話している。
ちょっと、行儀が悪いが、精霊に言葉を運んでもらう…
「海流が変わりこの近海では暮らせるような場所が見当たりません」
「それは、困ったのう。上手く反らしたと思ったのだが…」
「急な水温の上昇で、パール貝達にも大打撃が…半数は、近い内に死んでしまいます」
「むむ、真珠が手に入りにくくなってしまうのか…これから、移住し増やすとなると、また、時間がかかるな」
「そうですね。はぁ…」
…という、会話が聞こえてきた。
ううう、耳が痛いです。
「バ、バレン、どうしようか…」
「どうしようと言われましても、私達に出来ることは無いように思います。それよりも、人魚族の代表者のすぐ後ろの居る方を見てください」
「それよりって…」
バレンさん、ちょっとひどくないかい?
と、思いつつ、視線を向けると…
「え?タリクさん?あっ、でも、髪と肌の色が違う」
「え?そんなことしてるんですか?」
「そうなんです。地上の動植物は、放っておくと、何故かどんどん弱くなるんですよね。それでいて、協力し合うかと思えば、足の引っ張りあいで、更に衰退していくことが多くてね。それを防ぐためのものだと思えばいいよ」
「…本当ですか?」
「本当ですよ。空の観察記録にも載っているので、機会があったら見てみて下さい」
「はい…」
「それより、モンディールに会いに行った方が良いのでは?」
アガトー様は、そう言って海の一角に目を向ける。
そちらを見れば、黒い煙が勢いよく空に上っていくのが見える。
「今、近づいても大丈夫でしょうか?」
「噴火事態は落ち着きましたよ。ちょっと面白いことになっているようです」
アガトー様は、そう言って微笑んでいる。
何か、引っ掛かるものがあるが、気になってはいるので、別れを告げハバー大陸に向かうことにする。
トガレーで、リョウ達と合流してから見に来ようと思っていたが、先に見ておこう。
「うわっ、これは…」
近づくと明らかに今までとは違う大陸の様子が見えてくる。
「…確か、この近海には、パルー族の集落があったハズですが…」
「え?そうなのか?」
ハバー大陸の南東に位置するモンディール山、内陸側の斜面にモン族の集落がある。
だから、反対斜面、海側に土石流なんかが流れるようにしたとは聞いていたが…それが、海に流れ込み大陸の面積を広げていた。
そして、更にバレンから、爆弾発言が…
以前、メリロットに分布図を見せてもらったときに、もっと良く見ておけばよかった。
「あっ、大丈夫だったよう…ですが…ん?」
熱が冷めず海水を蒸発させているので視界が悪く、熱気もスゴいので、上空から観察していると、俺より目の良いバレンが、何か見つけたようだ。
近づくと、海上にモンディールの後ろ姿が見え、その前には数人の人魚族かな?海から顔をだしおっさんと何か話している。
ちょっと、行儀が悪いが、精霊に言葉を運んでもらう…
「海流が変わりこの近海では暮らせるような場所が見当たりません」
「それは、困ったのう。上手く反らしたと思ったのだが…」
「急な水温の上昇で、パール貝達にも大打撃が…半数は、近い内に死んでしまいます」
「むむ、真珠が手に入りにくくなってしまうのか…これから、移住し増やすとなると、また、時間がかかるな」
「そうですね。はぁ…」
…という、会話が聞こえてきた。
ううう、耳が痛いです。
「バ、バレン、どうしようか…」
「どうしようと言われましても、私達に出来ることは無いように思います。それよりも、人魚族の代表者のすぐ後ろの居る方を見てください」
「それよりって…」
バレンさん、ちょっとひどくないかい?
と、思いつつ、視線を向けると…
「え?タリクさん?あっ、でも、髪と肌の色が違う」
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