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新たな旅立ち
ダンジョン創り 18
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続いて、おっさんの目がバレンに向いた。
『!、ワ、ワタシは、使徒としての仕事しか!してませんでしたよ』
パタパタと羽根を動かし言うバレンを、ガッシと掴み「しかし、自分の身を守るぐらいの戦力は与えられてるであろう?」と、顔を近づけるおっさんに、脂汗?を流しながら『逃げ足…いや、羽根の早さだけです』と、バレンは目を潤ませながら訴える。
「バレンは、風の精霊なんだから、火の精霊との相性は最悪でしょう?」
そう言うと『ディル様~』と、おっさんから逃れたバレンが肩に避難してきた。
「チッチッチッ、甘いな。普通はそう考えられておるが、戦い方で、勝てるようになるのだぞ」
「そうなのか?じゃぁ、おっさんより、ひい…シスの方が強いの?」
「ゴフッ、そ、そうは言っとらん!ワ、ワシぐらいになれば、シスの攻撃を相殺するぐらいの技量はある」
「あら、そうなのかしら?」
ゾクッと悪寒が走ったと思ったら、シスが、腕を組んで、隣に立っていた。
「聞き耳を立ててるとは、行儀が悪いぞ!」
「「他神の事、言えないでしょ(だろ)!」」
おっと、突っ込みがシスと被ってしまった。
「まぁ、いいわ。丁度良い機会だから、バレン、殺っておしまい!」
シスが、ビシッと、右手の人差し指をおっさんに向け、バレンに指示を出す。
『い?ええ?ワタシですか?』
「地上で、神同士が争うことなんて出来るわけないでしょ!さっ、準備なさい!」
『ディ、ディル様~』
と、泣きつかれるが…
「まぁ、俺もちょっと興味あるから、どんな感じか見せてもらえるか?」
『なっ!死ねと仰られますか?うう、こんなところで、死地に追いやられるとは思っていなかったです…』
よよと泣きながら、飛んでいくバレンを見て、大袈裟だなぁと思いながら、本当のところどうなのか、シスに聞いてみる。
「あそこまで成長するのに、二百年掛かったのよ。生まれたての火の精霊が敵うものですか」
と、軽い調子で答えられた。
「お前だって、一番相性の良いのが風の精霊なのだから、良く見ておけよ」
おっさんにも、そんなことを言われ、観ていたが…
「はぁ?今の何?」
サラマンダーが出現して「シャー」と威嚇音を発したと思ったら、パンっと言う音がして消えてしまった。
『久々の戦闘は疲れますね』
そう言って肩に戻ってきたバレンは、毛繕いをして『ちょっと、休ませてもらいます』と、寝息をたててる。
えーと、あれを、戦闘と言っていいの?
「あのう、今のは、どういうことなのでしょう?」
クラリーちゃんも、戸惑っている。
「はい、ディル、説明してあげなさい」
「え?俺?」
「まさか、分からないとは言わないわよね?」
言いたいけど…言ったら、俺が、殺られる?
ん?それは、どうなるんだろう?と、変な考えが浮かんできたが、シスの笑顔が段々近づいてきたので、さっきの現象を考える。
「お、おそらく、かまいたちを大きくしたような…真空地帯を作り出した?」
「そういうことね。サラマンダーの熱を利用し上昇気流に合わせ、空気の精霊を飛ばしてしまえば、あの通りモンディールの魔力でも、留めることは出来ないわね」
「ふふふ、良く出来ました」と、頭を撫でられるが…
「ちょ、止めてよ」
「恥ずかしがって、可愛いわね」
と、更に、くしゃくしゃと髪を乱された。
「はぁ、バレン様も、凄くお強いのですね。負けていられませんね」
え?クラリーちゃん?
「さて、残るは、お前だけだぞ」
と、クラリーの発言に驚いている俺の肩をおっさんが叩く。
反対の肩で寝ているバレンを、そっとシスが手で包み込み、自分で抱き抱え「行ってらっしゃい」と手をふる。
「え、ココは?」
「ココは、今のところ救護班だ。自衛力はつけるが、積極的に戦闘に加わる必要はないだろう。まぁ、サラマンダーであれば、ユキと同じく一刀両断だがな」
おっさんの言うことを聞き、近くの岩の上で、俺達を観ていたココが、長い尻尾をゆらりと揺らす。
『ディル様、ユキと同じ出力の水の刃を出すことが出来ますよ。お見せしましょうか?』
マジか…
「保護者のお前が戦えないと困るであろう?」
そうは言っても、今の状況だと、ダンジョンと同じになりそうなんだよなぁ…
「でもね。精霊が相手だと戦えないかも、今回の事で、すでに肉体を持った魔獣か普通の獣じゃないとダメみたい」
「ん?神の力の一部が解放されたことか?」
「そう、だから、ダンジョンでも戦闘にならないんだ」
「ほー、それはそれで、面白いな。見せてみろ」
と、おっさんに襟首持たれて、ぶん投げられた。
「え?ディルさま?」
クラリーちゃんの心配そうな声が聞こえた気がするが…小さい頃からこんな扱いされてる俺、もうちょっとグレても良かったかな?そんな感じで、修行場に落とされ、着地と同時に、おっさんの魔力の塊に精霊達が引き寄せられて、サラマンダーの姿をとるが…
俺の姿をとらえると、その場で伏せて、目をつむってすり寄ってくる。いや、この巨体ですり寄られること事態、攻撃では?と思ったら、それを察した様に十センチ程の手の平サイズになってしまった。
どうすればいいかと、おっさん達を見上げれば、おっさんがクラリーちゃんを、シスが、バレンとユキを抱っこして、飛んできた。
「創り出したその場で、懐くのか…」
「じゃぁ、私も…」
シスがそう言い、魔力を使い精霊を集めると、体長五メートルありそうな、鷲が現れた。クラリーちゃんとユキが反応したが、その鷲も、俺を見ると目を細めクククと喉をならしてすり寄ってきた。いや、だから…と、思ったら、こちらも、小鳥サイズに…猛禽類に見えない可愛さだ。
「「……」」
おっさんもシスも黙りこんでしまった。
『!、ワ、ワタシは、使徒としての仕事しか!してませんでしたよ』
パタパタと羽根を動かし言うバレンを、ガッシと掴み「しかし、自分の身を守るぐらいの戦力は与えられてるであろう?」と、顔を近づけるおっさんに、脂汗?を流しながら『逃げ足…いや、羽根の早さだけです』と、バレンは目を潤ませながら訴える。
「バレンは、風の精霊なんだから、火の精霊との相性は最悪でしょう?」
そう言うと『ディル様~』と、おっさんから逃れたバレンが肩に避難してきた。
「チッチッチッ、甘いな。普通はそう考えられておるが、戦い方で、勝てるようになるのだぞ」
「そうなのか?じゃぁ、おっさんより、ひい…シスの方が強いの?」
「ゴフッ、そ、そうは言っとらん!ワ、ワシぐらいになれば、シスの攻撃を相殺するぐらいの技量はある」
「あら、そうなのかしら?」
ゾクッと悪寒が走ったと思ったら、シスが、腕を組んで、隣に立っていた。
「聞き耳を立ててるとは、行儀が悪いぞ!」
「「他神の事、言えないでしょ(だろ)!」」
おっと、突っ込みがシスと被ってしまった。
「まぁ、いいわ。丁度良い機会だから、バレン、殺っておしまい!」
シスが、ビシッと、右手の人差し指をおっさんに向け、バレンに指示を出す。
『い?ええ?ワタシですか?』
「地上で、神同士が争うことなんて出来るわけないでしょ!さっ、準備なさい!」
『ディ、ディル様~』
と、泣きつかれるが…
「まぁ、俺もちょっと興味あるから、どんな感じか見せてもらえるか?」
『なっ!死ねと仰られますか?うう、こんなところで、死地に追いやられるとは思っていなかったです…』
よよと泣きながら、飛んでいくバレンを見て、大袈裟だなぁと思いながら、本当のところどうなのか、シスに聞いてみる。
「あそこまで成長するのに、二百年掛かったのよ。生まれたての火の精霊が敵うものですか」
と、軽い調子で答えられた。
「お前だって、一番相性の良いのが風の精霊なのだから、良く見ておけよ」
おっさんにも、そんなことを言われ、観ていたが…
「はぁ?今の何?」
サラマンダーが出現して「シャー」と威嚇音を発したと思ったら、パンっと言う音がして消えてしまった。
『久々の戦闘は疲れますね』
そう言って肩に戻ってきたバレンは、毛繕いをして『ちょっと、休ませてもらいます』と、寝息をたててる。
えーと、あれを、戦闘と言っていいの?
「あのう、今のは、どういうことなのでしょう?」
クラリーちゃんも、戸惑っている。
「はい、ディル、説明してあげなさい」
「え?俺?」
「まさか、分からないとは言わないわよね?」
言いたいけど…言ったら、俺が、殺られる?
ん?それは、どうなるんだろう?と、変な考えが浮かんできたが、シスの笑顔が段々近づいてきたので、さっきの現象を考える。
「お、おそらく、かまいたちを大きくしたような…真空地帯を作り出した?」
「そういうことね。サラマンダーの熱を利用し上昇気流に合わせ、空気の精霊を飛ばしてしまえば、あの通りモンディールの魔力でも、留めることは出来ないわね」
「ふふふ、良く出来ました」と、頭を撫でられるが…
「ちょ、止めてよ」
「恥ずかしがって、可愛いわね」
と、更に、くしゃくしゃと髪を乱された。
「はぁ、バレン様も、凄くお強いのですね。負けていられませんね」
え?クラリーちゃん?
「さて、残るは、お前だけだぞ」
と、クラリーの発言に驚いている俺の肩をおっさんが叩く。
反対の肩で寝ているバレンを、そっとシスが手で包み込み、自分で抱き抱え「行ってらっしゃい」と手をふる。
「え、ココは?」
「ココは、今のところ救護班だ。自衛力はつけるが、積極的に戦闘に加わる必要はないだろう。まぁ、サラマンダーであれば、ユキと同じく一刀両断だがな」
おっさんの言うことを聞き、近くの岩の上で、俺達を観ていたココが、長い尻尾をゆらりと揺らす。
『ディル様、ユキと同じ出力の水の刃を出すことが出来ますよ。お見せしましょうか?』
マジか…
「保護者のお前が戦えないと困るであろう?」
そうは言っても、今の状況だと、ダンジョンと同じになりそうなんだよなぁ…
「でもね。精霊が相手だと戦えないかも、今回の事で、すでに肉体を持った魔獣か普通の獣じゃないとダメみたい」
「ん?神の力の一部が解放されたことか?」
「そう、だから、ダンジョンでも戦闘にならないんだ」
「ほー、それはそれで、面白いな。見せてみろ」
と、おっさんに襟首持たれて、ぶん投げられた。
「え?ディルさま?」
クラリーちゃんの心配そうな声が聞こえた気がするが…小さい頃からこんな扱いされてる俺、もうちょっとグレても良かったかな?そんな感じで、修行場に落とされ、着地と同時に、おっさんの魔力の塊に精霊達が引き寄せられて、サラマンダーの姿をとるが…
俺の姿をとらえると、その場で伏せて、目をつむってすり寄ってくる。いや、この巨体ですり寄られること事態、攻撃では?と思ったら、それを察した様に十センチ程の手の平サイズになってしまった。
どうすればいいかと、おっさん達を見上げれば、おっさんがクラリーちゃんを、シスが、バレンとユキを抱っこして、飛んできた。
「創り出したその場で、懐くのか…」
「じゃぁ、私も…」
シスがそう言い、魔力を使い精霊を集めると、体長五メートルありそうな、鷲が現れた。クラリーちゃんとユキが反応したが、その鷲も、俺を見ると目を細めクククと喉をならしてすり寄ってきた。いや、だから…と、思ったら、こちらも、小鳥サイズに…猛禽類に見えない可愛さだ。
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