猫を飼いたいと思ったのだけど…

kaoru

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「おい、何で茶太郎抱いてるんだ?」

 なんか変な空気のなか、突然声がしたのでそちらを向くと…『関くん』と呼ばれていた同じアパートの青年が立っていた。

 う、完全に嫌われているっぽくて、なんとなく苦手意識が出来てしまってて、イヤだな…と、思っていると、茶トラがゴロゴロ喉をならして、お腹にスリスリしてきた。

「なっ!」

 青年は、目茶苦茶驚いた顔をして、アワアワと指を指して、井之上さんに目で訴えている。

 ちょっと、意外でかわいい…

「この子、真希ちゃんが気に入ったらしいの」

「はぁ?何で?茶太郎は、俺が引き取る予定だったのに」

「ナァン?」

 うわっ、茶トラが目を細くさせ、低い声で『誰がそんな事言った?』って感じで青年を睨みつけてる。

「何?この反応」

「どうやら、関くんの所には行きたくないようよ」

「ニャッ」

 と、大きく頷いた。

「それから、茶太郎という名も嫌だっていうから、その名前では、呼ばない方が良いみたいよ」

「ニャーゥ」

 今度は、大きく二回頷いてる。

「なんで?」

「私達が、呼びやすい名を言っていたけど、どれも嫌だって。首を横に振られたわ」

「ウニャウニャ」

 その通りというように。目を細め、二、三度頷き、青年を一度見た後、ツーンと斜めに顔をあげ、またゴロゴロ、スリスリを再開させた。

「なんで?猫が飼える環境なのに、捨て猫見ても拾いもせずに、写真撮ってたヤツなのに!」

「え?」

 あ、昨日の…そういう風に思われていたんだ。

「フシャー」

 茶トラが全身の毛を逆立てて、青年に向かっていった。

「わっ、イテッ、なんだよ茶太郎、イテテ」

 うわっ、左の頬を引っ掻かれ、血が…茶トラは、抱き押さえられても、暴れて手にも傷をつくっている。牙も剥き出して凄い怖い顔になっている。

「関くん!さっきも言ったけど、真希ちゃんを悪く言うのは、やめなさい!関くんが思っているような人ではないわよ。彼女は」

 え…

「勘違いしてるようだから、ちゃんと話した方が良いわよ。猫を抱くのも今日が初めてだったんだから、生まれたばかりの子猫の扱いなんて、慣れていないわよね?」

「あ、はい」

「にゃーぅ」

 茶トラが膝の上に戻ってきて、それで?と問うように、顔を向けてくれた。

「どうしていいのか分からなくて、ネットで調べようとしていたら、彼…関さん?が来てくれたので、助かりました」

 い、言えた。
 大抵の場合、誤解されたまま過ごしていたし、押し付けられた自分を否定もせずいたけれど…今度は、言えた。



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