猫を飼いたいと思ったのだけど…

kaoru

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引きこもり

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『……』

「な、なんでしょう?視線が突き刺さっているんですが…」

 井之上さんが帰った後、洗い物をしているところにセイさんが来て、カウンターに乗り頬杖しながらこちらを見ている。
 普通の猫なら可愛いと悶絶だけど、セイさんの場合は何だかイヤなモノを感じてしまう。

『ワシがとやかく言うことではないが、何故、断った』

「…だって、育ちすぎたハーブを消費するために作ったモノですよ。分量とかも適当に作ったから次回も同じ味に出来るか分からないですし、とてもお金なんて貰えないですよ」

『サツキは気に入っておったぞ、気に入ったものを手にいれる為に対価を払うのは普通だと思うが?』

「そ、それは、そうですけど、適当に作った物だから、貰えないというか…」

『ほう。職人気質というわけか、なかなか、良い気質をしとるな。では、本格的に作り、サツキに売るのだな。見上げた心意気だ!』

「え、え、え?違いますよ。私が作った物に対価が付くわけないじゃないですか」

『はぁ?何だ、その考えは、そんな考えでどうやって稼いでいるのだ?』

「製造会社で、検査員してますよ」

『ほぉ?で、お主が検査した物は信用なくて売れないのか、で、こんな生活しておるのか?』

「う……会社っていう大きい組織の一員で個人は関係ないですよぉ」

『ふ~ん?では、適当な仕事でも、賃金を貰えるのか?よい所だな。その「カイシャ」という所は』

「仕事なんですから、適当にやってる訳ではないですよ!しっかり、検査してます!」

『ほぉ。では「くっきぃ」とやらも、しっかり作って、サツキに売ればいいではないか、何がいけないのだ?』

 …うう、別にいけないわけではないけれど、なんとなく、人と接したくないのだ。
 家族も会社の人達にも馴染めず。誰かと会話をしたら、少しの間、一人になりたくなる。そんな、引きこもり体質なのだ。
 憧れタイプの井之上さんだけど、一昨日の夜からの気持ちの浮き沈みが激しすぎて、疲れて一人になりたいと思ったのだ。

『何をウダウダ考えているのだ・・

 ううう…動物は言葉が分からないから、大丈夫だと思ったのになぁ…

『甘いな。言葉は分からなくとも、感情面では敏感な者もおるぞ』

「うっ。セイさんの場合、言葉は分かるし、心まで読まれるなんて、想定外ですよぉ、昨日は、夢みたいな感じで、深く考えられなかったから、流れに乗っちゃったけど…やっぱり、ワタシが、飼うなんて無理ですよね?里親になるのやめればよかった…」

『はぁ…、本当に、めんどくさい奴だな…「コジラセジョシ」という奴か?』

「へ?なんで、そんな言葉知ってるんですか?」

『情報というのは大事なものだからな、いつの世も、いろいろと収集しておる。引きこもりが問題になっているのも知っておるぞ、お主も、実家暮らしならそうなっていた可能性がある人間だな』

 う、否定出来ない…

 もし、否定せず甘やかしてくれる親だったら…
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