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第一章 碧玉

三話

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(どうした?ジャスパーを知らんのか?)

 突然問われたので驚いて、返事も出来ずにいると焦れたように、更に問いかけられる。

 フーは、ふるふると首を横に振る。

 父がジャスパーと呼ぶ者は知っている。

 週に一度、フー達が暮らす家に来る父さん達の知り合いで、フーの先生だ。先生からは、文字や算術を教えてもらっている。

(知っているのだな。では、その者の所に案内してもらおうか、私の背に乗るがよい)

 ククと名乗った黒い獣はそう言って?その場に伏せた。

 しかし、戸惑うフーは動けずに、ただ黒い獣を見ることしか出来ない。

(どうした?早く乗れ)

『いいかいフー。ちゃんと考えてから行動しなさい。それから、分からない事は、直ぐに、聞きなさい。分からないまま行動すると間違った道を進んでしまうことがあるからね。少しでも分からない事があったら、ちゃんと聞いて自分で理解してから動くようにしなさい』

 何かを教えてくれる時に父さんが必ず言っていた。それを思い出した。
 だから、今のフーは、考えなければいけないのだ。でも、何を?

 分からない事は…

 全てが分からない。

「ここはどこ?」

 フーは、ポツリと呟いた。

(ん?ここは、お前が住んでいた森の中だろ?何をそんなに戸惑う?)

「え?だって、ワタシは、自分の部屋で寝ていたハズなのに…こんな所知らないのに…」

 分からない事だらけだと確認したら、また不安で堪らなくなってきた。そんなつもりはなかったけど、一度ひいた涙がまた溢れてきた。

 フーは、もうどうしていいのか分からず、寝巻きの裾を掴んでその場に座り込みワンワンと泣き出してしまった。

 ククは驚いて立ち上がり半歩下がったが、困ったように息を吐き、フーに近づいた。そして大きな身体でフーを包みこむように寄ってそのままフーが落ち着くのを待つことにした。
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