オラクル

kaoru

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第一章 碧玉

十三話

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 フー達は、ほとんど山から下りずに生活していた。二、三ヶ月に一度父親のクーリィが、森でとれた獣の肉や薬草、母親のハウトが織った布を売りに来て、小麦粉や塩なんかを買って帰るぐらいだった。だから、フーは、今までも、麓の子達と頻繁に会っていたわけではないけれど、この島の外に行くと聞くと、皆、なんだか心配げにフーのところに集まってきた。
 中には「先生と旅が出来て良いなぁ~」なんて言葉も聞こえる。

 結局、子供達が集まったけど、フー達の旅と代わりに来る神父の話をして、早いけど、旅支度をするからと、キャロットケーキをお土産として持たせて解散になった。

「先生、今朝、神託を授かったばかりなのに、代わりの神父様、明日の朝には来るんですか?」

 皆が居なくなったので先生の暮らす小屋に戻ってきた。そこで、さっき気になった事を質問する。

「フーと一緒に旅することになったククさんがいると森で話しただろ?」

 あれ?森の中で、先生は、クク様っていってなかった?
 ワタシが答えに戸惑っていると、先生がチラッと炊事場に立つマーヤさんの方を見た。
 あっ、マーヤさんには、あまり聞かれたくない話だったのかな?
 そんな風に思ったから…

「はい、聞きました」

 と、返事をしたら、先生が笑顔になった。

「神託でね。そのククさんが、本山から代わりの神父を、明日の朝、連れてくると聞いたんだよ」

 え?だって、ククと名乗った獣は、今朝、森にいて会ったよ。先生が居た本山は、この島から一番近い港町にあると聞いたけど、船で丸一日掛かると聞いたことがある。

「え?明日?」

 マーヤさんも、驚いて振り向いた。

「はい、明日の朝、代わりの神父が来たら、私達は旅立つので、いない間よろしくお願いしますね」

「は、はい、分かりましたけどね。旅の準備とか、もっと、時間が…」

「最初の目的地が、本山なのでそこで細々したものをそろえようと思っているので、ここからは、必要最低限の物だけで大丈夫です」

「…そうなんですね。でも、フーちゃんの着替えは何着か買った方が良いと思いますよ」

「それも…ん?フーそういえば、その服は?」

「寝巻きとして着てたのです」

「…そういえば、フーは、いつも靴も履いていたっけ?」

「はい、父さんが作ってくれたのを」

「……」

 そう、この島は火山もあるし、年間を通して温暖な気候で住みやすい。村の子供達の殆どは裸足で生活している者もいるぐらいだ。でも、フーは、クーリィが革で作った簡易な靴をいつも履いていた。

「…マーヤさん、ちょっと、買い物行ってきます」

「何があるか分からないんだから、携帯食も多めに買ってきておいた方が良いですよ」

「はい」

 先生は、小屋にあるものを纏めればいいと思っていたみたいだけど、ワタシは、家が消えてしまったのだから、替えの服もないし、靴も履かずに出てしまったからちょっと足裏が痛い…それに、いつもは、母さんが、髪を縛ってくれたから、出来れば髪を縛るリボンも欲しい…

 そのことを伝えると、今着ている寝巻きとあまり変わりない黄色い丈の長い服を二枚と村の人達が履いているサンダルと柔らかな革紐を買ってくれた。

 小屋に帰ってくると、マーヤさんが夕食の準備を終えて、帰り仕度をしていて―

「お客さん用のベッドの用意しておきましたから、二人ともしっかり食べて、しっかり休むんですよ。船に乗るんだから、体調を整えておかないとね。明日は、ちょっと、早めに来ますね」

 そう言って、帰っていった。

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