異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件

異世界転生夢見るおじさん

文字の大きさ
23 / 37
Chapter.3 ウィンミルトン編

Episode.21 予期せぬ事態

しおりを挟む
 「お待たせ、予定通り酒を盗賊の連中に渡してきたぞ」
俺とロナは作戦通り三人と合流し、盗賊団のいる洞穴ほらあなから少し離れた茂みに身を隠す。

「よくやったわ、後は奴らが酒を飲んで気持ちよく眠っている間に大岩で洞穴をふさげば成功よ」
俺が提案したネタみたいな作戦は皆の賛同により、採用される事になった。

洞穴を塞ぐ大岩は、俺とロナが盗賊の連中に酒を渡している間に三人が見つけて運び出してあるので抜かりはない。

後は奴らが酒盛りをし、寝静まるのを待つだけだ。

隠れている間、各人それぞれ作戦の準備と戦闘になった場合の武器の確認をした。
 
俺は勿論もちろん、戦う武器なんか持っていないので薪割まきわり用の斧である。

次にフィオは魔法を使うので置いておくとして、他の三人が何を持ってきたのか気になったので尋ねてみた。

「自分の武器はこれなんだ」
まずはとエリックが立ち上がり、持ってきた剣を見せてくれる。

彼の家は鍛冶師の家系なので、彼とトールの武器は彼自身が製作したお手製のものらしい。

「俺のは槍だ、かっこいいだろ?」
次にトールが手に持っている長い槍を自慢してきた。

エリックみたいに剣の方が扱いやすいのではと思ったが、トールはトールで槍にこだわりがあるらしく深くは聞かないでおいた。

「私は猟師だから弓、武器の扱いなら一番上手いと思うよ」
最後はロナが狩りに使っている弓を見せてくれる。

仕事で使ってる為か、一番使い込まれていて頼りになりそうだ。

各自武器の見せあいをした後、深夜に作戦を決行するので今のうちに寝ておこうと順番を決めて就寝する事にした。

話し合いの結果、最初に寝ずの番を任されたのは……

「あたし一人でもいいから、あんたは寝てていいわよ」
俺とフィオだった。

「いや、寝る順番は決めたんだし、起きているさ」
俺達は三人が起きてくるまで他愛ない会話をする。

「あんたに一つ言っておかなければならない事があるわ」

「何だ、急に改まって?」
唐突とうとつに何気ない会話から真剣な話をする雰囲気となり、急な変化に対応出来ない俺は戸惑った。

「ごめんなさい、あたし達はあんたを試していた」

「え、試す?」
話の意図が全く読めず、間抜けな返事しか返せない。

「ルドルフは何も言わないつもりみたいだけど」

「ごめん、何を言ってるのか分からないんだが?」
口ではそう返答したが、ルドルフさんとフィオが俺に何か隠し事をしていたのは理解できた。

「今は多分説明しても分からないわ、その時がくるまでは……」

「なんじゃそりゃ」
もう俺はそんな事しか言えず、フィオが次に話す言葉に耳をかたむける。

「変な話をして悪かったわね、嫌なら忘れてちょうだい」

「いや、別にいいけど」
フィオはこの話はおしまいと締めくくり、さっきまでの他愛ない話を再開させた。

時期がくれば話してくれる、俺はそう信じて寝ずの番に戻った。

Episode.21 予期せぬ事態

交代で番をし、洞穴の中の騒ぎ声がしなくなってから2時間が経とうとしている。

「そろそろ行くわよ? まだ距離があるとは言え、出来るだけ大きな物音はたてない様に」
そのフィオの声に俺達は頷き、大岩の前へとやって来た。

全員が集まった事を確認すると、フィオは風の魔法で大岩を宙に浮かばせる。

「……っ!」
ただ彼女の魔法だけで大岩を運ぶのは難しく、俺達は急いで大岩の元に集まって各々おのおのに運ぶのを手伝った。

「皆、行くぞっ」
フィオが魔法で集中しているので、エリックが代わりに皆に合図をして移動を開始する。

魔法と四人でかついでいるおかげか、大岩を運び出す事は簡単そうだ。

「はぁ……はぁ……」
運び出す事は出来るが、他の三人は問題ないものの俺の体力が先に限界を迎えようとしている。

やはり、この世界の住人と平凡な世界にいた俺では体の構造自体が違うので薪割りをした程度では差は埋まらない様だ。

それでも、何とか洞穴の近くまで運ぶ事には成功した。

「すまん、もう駄目だ」
俺はそう謝罪し、その場でへたり込む様に倒れる。

「だらしないわねぇ、後はあたし達でやるからあんたは休んでなさい」
フィオはそんな俺にため息をらしつつ、指示を出して大岩を運ぶ作業に意識を集中させる。

「ロナ、後は自分達でやるからロストくんの介抱お願いできるか?」

「分かった」
エリックがロナに俺の付き添いを頼み、俺が断る間もなく三人で行ってしまった。

「……別に置いて行ってくれて構わないぞ?」
付き添ってくれているロナに申し訳ないと感じ、精一杯の強がりで一人で大丈夫だと彼女に伝える。

「まぁまぁ、何かあったらロスト一人じゃ危険でしょ?」
そんな俺の強がりを制し、ロナは倒れている俺の横に座る。

「それは、そうだが……」
何かあるとしたら、こっちより運んでる三人の方じゃ……と口にしようとした所でそれは現れた。

「うぃ~、お前ら帰ったぞぉ~?」
身長が2m近くある大男が酒の匂いをただよわせて此方にやって来たのだ。

「あぁ~? 何だ、お前らは~?」
俺はこの男が現れるまで盗賊団のリーダーは、例の青ひげの男だと思っていた。

でも、それは間違いだったのだ。

「何とか言えやぁ!」
この男の体格や立ち振る舞い、呟いた言葉からリーダーはこいつだと感覚で理解する。

「お前ら、町の連中だな? 俺達を退治しに来たってんなら容赦しねぇぞっ!」
黙ったままの俺達にしびれを切らした大男は、背に担いでいた斧を手に取り近付いてくる。

「ロスト!」
ロナのその掛け声で我に返った俺は大男から距離をとり、同じ様に斧を持って身構えた。

勝てない、その言葉が何度も脳内で再生される。

しかし、今この大男を三人のいる場所へ通したら作戦がバレて仲間を呼ばれてしまうだろう。

そうならない為には、俺達二人でこいつをしばらく足止めする必要がある。

「くそぉぉぉ!」
俺は勝てる見込みがないと理解しながらも、目の前の大男に向かって我武者羅がむしゃらに斧を振るった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...