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第1章 出会い
20話 この世界について
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「その反応はご最もだ。
璃世が転移したこの世界について、順を追って、できるだけ噛み砕いて説明するね。突拍子のない話だと思うけれど、頑張ってついてきて」
「う、うん」
ショウの真面目な声のトーンに俺の身はきゅっと引き締まる。
彼は大きく息を吸って、俺にこの世界の真相を告げた。
「まず世界ってね、無数にあるの。そして、そのひとつひとつに創世神っていう創作者・管理者がいる」
「す、すごい壮大……」
俺の零した言葉に、ショウは眉を凹ませて笑みを浮かべる。
その反応から察した。
これはまだ序の口。ここで驚いていたら埒が明かないのだと。
とりあえず、ショウの話を聞こう。
彼の話に耳を傾けようと、再度顔を前の透き通った瞳に向ける。
視線が合わさると、その目は少し細くなり、口端は小さく上がっていた。
「璃世のいた世界でも"異世界モノ"流行ってたでしょ?あれ、フィクションぽいけれど、実際にある話なんだよ。創世神たちが創ったたくさんの世界があるんだから」
転移前は食事とかのスキマ時間に、そういうアニメとか漫画を見る程度だったけれど、それが実際に起こりうる現象だと改めて言われるとやっぱり驚きを隠せない。
まあ、俺がこうして別世界に来ているわけだから、ショウが言っていることは真実なのだろうけれど。
「あ、ちなみにね~。璃世のいた世界はもうそれはそれは超凄腕の創世神様が創ってるんだよ!文化も歴史も複雑で、たくさんの生き物が共生してて。初めて見た時は、圧倒されちゃったなぁ。だから吾輩達、見習いはお師匠様って呼んでるんだ~」
俺のいた世界も、誰かが創ったものってことなのか。これまでの常識が全て壊れていくような、そんな感覚がする。
懐古するように胸に手を当てるショウはとても微笑ましいが、俺は少し引っかかった部分があった。
「見習い?」
「うん、そう。さっきは格好付けて神様って言っちゃったけど、吾輩はまだ見習いなんだ。神様(仮)ってやつ」
先程まで朗らかだったショウの表情が渋くなっているのが分かる。
「見習いでも、世界って創れるのか?」
「もちろん、見習いが一から世界を創ることは出来ない。
出来るのはある程度形作られた世界を見守り、導くこと。
……実はね。この世界はね、見習いである吾輩が一人前の神様として認められるための最終試験なんだ」
「最終、試験?」
俺が聞き返すと、ショウはニコリと笑って頷いた。
「提示された課題に合格できないと卒業出来ない、みたいな感じ。吾輩はこの世界を"完成"に導かないと落第しちゃって神様になれないんだ」
この世界が神様になるための試験場ってことか?!
あまりのスケールの大きさに、俺の頭はパンク寸前になるが、なんとかそれを阻止してショウの発言を振り返る。
じゃあ、この世界、シンデレラの世界でいう"完成"って、なんだ?
俺が結論にたどり着く前に、ショウが指を鳴らした。
「それはシンプル。物語を原作通りに導くこと!」
点と点が一気に繋がっていく。
「そして、吾輩に課された世界は《シンデレラ》。璃世のいた、お師匠様の世界では超有名な物語だね」
そう言ったショウは杖を取り出し、クルッと1回回す。杖先の軌道を示すのはキラキラと輝く星屑たち。
それらがもう一方のショウの手に集まり、四角い何かを形作る。
しばらくして、星の光がゆっくりと止むとそこからでてきたのは1冊の本。
ショウはページを捲ると、そこに記されていた文字を優しい声に乗せた。
「継母や義姉に虐められていた美しい少女が、魔法で着飾られて舞踏会に行く。そこで王子様と恋に落ち、ガラスの靴を片方落として去る。最後には落としたガラスの靴を手がかりに、王子様と再会し、結ばれる。そして、幸せになってめでたしめでたし。
璃世の世界ではもうテンプレ化してるハッピーエンドだよ。
吾輩は何としてもこの世界をそのありきたりな結末に導かないといけない」
開いていた本をパンと勢いよく閉じて、俺の目を見る。その瞳は決意に満ちていた。
しかし、俺には一つだけ気になることがあった。
「もし、童話通りの結末に導けなかったら?」
その瞬間、明るかったショウの顔に影が落ちた。
息をひとつ置いて、俺の問いに低い声で答える。
「吾輩には創世神の才能はないって判断されて、この世界はなかったことにされる」
「なかったことって……」
「文字通り、終わっちゃうんだ。この世界が『存在した』という証明ごと消える。吾輩はもちろん、この世界にいる人々全員の存在もなくなる。それは今、ここにいる璃世も例外じゃない」
「……え」
璃世が転移したこの世界について、順を追って、できるだけ噛み砕いて説明するね。突拍子のない話だと思うけれど、頑張ってついてきて」
「う、うん」
ショウの真面目な声のトーンに俺の身はきゅっと引き締まる。
彼は大きく息を吸って、俺にこの世界の真相を告げた。
「まず世界ってね、無数にあるの。そして、そのひとつひとつに創世神っていう創作者・管理者がいる」
「す、すごい壮大……」
俺の零した言葉に、ショウは眉を凹ませて笑みを浮かべる。
その反応から察した。
これはまだ序の口。ここで驚いていたら埒が明かないのだと。
とりあえず、ショウの話を聞こう。
彼の話に耳を傾けようと、再度顔を前の透き通った瞳に向ける。
視線が合わさると、その目は少し細くなり、口端は小さく上がっていた。
「璃世のいた世界でも"異世界モノ"流行ってたでしょ?あれ、フィクションぽいけれど、実際にある話なんだよ。創世神たちが創ったたくさんの世界があるんだから」
転移前は食事とかのスキマ時間に、そういうアニメとか漫画を見る程度だったけれど、それが実際に起こりうる現象だと改めて言われるとやっぱり驚きを隠せない。
まあ、俺がこうして別世界に来ているわけだから、ショウが言っていることは真実なのだろうけれど。
「あ、ちなみにね~。璃世のいた世界はもうそれはそれは超凄腕の創世神様が創ってるんだよ!文化も歴史も複雑で、たくさんの生き物が共生してて。初めて見た時は、圧倒されちゃったなぁ。だから吾輩達、見習いはお師匠様って呼んでるんだ~」
俺のいた世界も、誰かが創ったものってことなのか。これまでの常識が全て壊れていくような、そんな感覚がする。
懐古するように胸に手を当てるショウはとても微笑ましいが、俺は少し引っかかった部分があった。
「見習い?」
「うん、そう。さっきは格好付けて神様って言っちゃったけど、吾輩はまだ見習いなんだ。神様(仮)ってやつ」
先程まで朗らかだったショウの表情が渋くなっているのが分かる。
「見習いでも、世界って創れるのか?」
「もちろん、見習いが一から世界を創ることは出来ない。
出来るのはある程度形作られた世界を見守り、導くこと。
……実はね。この世界はね、見習いである吾輩が一人前の神様として認められるための最終試験なんだ」
「最終、試験?」
俺が聞き返すと、ショウはニコリと笑って頷いた。
「提示された課題に合格できないと卒業出来ない、みたいな感じ。吾輩はこの世界を"完成"に導かないと落第しちゃって神様になれないんだ」
この世界が神様になるための試験場ってことか?!
あまりのスケールの大きさに、俺の頭はパンク寸前になるが、なんとかそれを阻止してショウの発言を振り返る。
じゃあ、この世界、シンデレラの世界でいう"完成"って、なんだ?
俺が結論にたどり着く前に、ショウが指を鳴らした。
「それはシンプル。物語を原作通りに導くこと!」
点と点が一気に繋がっていく。
「そして、吾輩に課された世界は《シンデレラ》。璃世のいた、お師匠様の世界では超有名な物語だね」
そう言ったショウは杖を取り出し、クルッと1回回す。杖先の軌道を示すのはキラキラと輝く星屑たち。
それらがもう一方のショウの手に集まり、四角い何かを形作る。
しばらくして、星の光がゆっくりと止むとそこからでてきたのは1冊の本。
ショウはページを捲ると、そこに記されていた文字を優しい声に乗せた。
「継母や義姉に虐められていた美しい少女が、魔法で着飾られて舞踏会に行く。そこで王子様と恋に落ち、ガラスの靴を片方落として去る。最後には落としたガラスの靴を手がかりに、王子様と再会し、結ばれる。そして、幸せになってめでたしめでたし。
璃世の世界ではもうテンプレ化してるハッピーエンドだよ。
吾輩は何としてもこの世界をそのありきたりな結末に導かないといけない」
開いていた本をパンと勢いよく閉じて、俺の目を見る。その瞳は決意に満ちていた。
しかし、俺には一つだけ気になることがあった。
「もし、童話通りの結末に導けなかったら?」
その瞬間、明るかったショウの顔に影が落ちた。
息をひとつ置いて、俺の問いに低い声で答える。
「吾輩には創世神の才能はないって判断されて、この世界はなかったことにされる」
「なかったことって……」
「文字通り、終わっちゃうんだ。この世界が『存在した』という証明ごと消える。吾輩はもちろん、この世界にいる人々全員の存在もなくなる。それは今、ここにいる璃世も例外じゃない」
「……え」
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