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#プロローグ
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血の雨が降っている。今日の天気は晴れのはずだ。天気予報でもお天気お姉さんがそう言っていた。家を出た時も、桜の花びらが舞う道に真っ赤な太陽が照りつけていた。今日の体育は外で50メートル走をやった。熱中症気味でクラスの男子が何人か倒れていた。そう、今日は誰もが認める立派な晴れ模様だったはずなのだ。
それがどうしてこうも酷い雨なのか。ポツンポツンというよりは、ボタッボタッというような音で例えるのが正しい。私の心に釘を刺すように、その雨は降り続ける。
落ち着け、まず状況を整理せねば。私は昼休みの後教室へ戻ってきて普通に授業を受けて、それからトイレに行って…戻ってきたらこれだ。全くもって意味がわからない。私の場合親友と呼べるものもいなかったし、特にこのクラスに思い入れがあったわけではないが…それでもこんな惨状を見せつけられては否が応でも背筋がゾクッとする。黒板に叩きつけられたもの、むごたらしく地面に滅茶苦茶になって横たわっているもの、死体たちの姿は美術品のようでもある。血の雨が降るとはよく言ったものだ。
不意に私のスマホが鳴り響いた。勿論音の出る設定にしてはいないし、通知もオフにしてあるはずだ。しかし鳴り止まないその通知音は、どうやら緊急地震速報と同じ類のもののようだ。通知を見ると、Twitterだった。Twitterとは世界規模で有名なSNSで、高校生の約8割が使っている。そんなTwitterだが、私はアカウントを2つ持っていて…と、そんな話は今はどうでもいい。通知を見ると、そこにはこんな文面が書いてあった。
「七福神 さんからあなた宛に新着ツイートがあります」
そんな変な名前の人知らない…と言って無視しておけばいいのだが、この状況だとやはり気になってみてしまう。しかし開いた途端、私の表情は一変した。
「手の込んだことしやがって…誰のいたずらだよ…」
そこには、私含めこの明日波学園のユーザー全員に向けて発信されたツイートがあった。
「#何かが起こる」
内容はこれだけ。いたずらにしてもあまりにもつまらない。まだ多少なりとも笑うことの出来るようなツイートだったらよかったものの、この状況でこんなものを見ても笑うことさえできない。仕方ないので、とりあえず助けを呼びに行こう。
「誰かぁ…あっ…」
しかし私の声が廊下に響くことはなかった。
そこには半人半魚…と言った具合だろうか、童話で出てくる人魚とはまるで正反対の怪物が立っていた。おぞましい顔つきでこちらを睨み、右手にはモリのようなものを持っている。長年ゲーマーとして活動していた私には分かる。これはもうゲームオーバーなのだ。助かる術はない。
「ギ…ギィ…ギュブ…」
ゆっくりと持ち上げられた半魚人の腕が、私の頭に落ちてきた。
「あああああッ!!!!!!」
今日の天気は晴れだった。私、西足果南はいつも通りの朝を迎えた。いつもと違う所は…強いていうなら、ベッドのシーツが濡れていたことだろうか。なぜか股の部分だけ。あとはそう、今日のパンは少しバターが足りないな。私は多めが好きなのだ。
ゆっくりと支度をして私は家を出た。空を見ると相変わらずいい天気だ。つい自転車をこぐスピードも早くなる。おかげでいつもより早く学校に着いてしまったが、元々の登校時間が遅いため丁度いい時間帯だった。クラスに入ると、皆揃ってお喋りに花を咲かせている。花は花でもラフレシアの私は、一人ぼっちらしく大人しく皆の会話を盗み聞きしていよう。こうしている時間は嫌いではない。色々なことを知れる。クラスで誰が嫌われているか、誰が何をしでかしたか。誰と誰が付き合っているか、最近付き合いが悪いのが誰か。
自分で勝手に聞いておいて傲慢だが、これじゃあどこぞの女性誌よりも聞いていて胸糞が悪いな。だが私も女子の端くれ。そんな話題を耳にするのもたまには悪くない。
「昨日のハッシュタグヤバくない?」
「あれ退学なるんじゃねぇのw」
お?いつもとは違ってどこもかしこもSNSの話題で持ちきりだ。何があったのか…。
そういえばまだ今日は1度もスマホを見ていない。急いで確認してみると、まさに昨日の夢の中で見たあのツイートだった。
「七福神 さんからあなた宛に新着ツイートがあります」
流石の私でも驚いた。これはひょっとして遠回りな死亡フラグか…?とも考えたが、やはり一番思うのは。
「なんだこれ、滅茶苦茶怖いな…」
当然の感想である。ましてや今までこんなオカルトとは無縁で生きてきた者だ。友達がいないせいか、チェーンメールの類にも出会ったことがない。とりあえず意を決してそのツイートとやらを見てみる。すると、昨日の夢とは明らかな相違点があった。
「今日の放課後 #何かが起こる」
ツイートが送信されたのは今日の丁度0時。つまり、この4月23日に何かが起こるということか。まぁSNSでのイタズラだ。厳重注意で終わるだろう。この話題で1日中騒げるほど馬鹿じゃない。放っておけば勝手に犯人は捕まるだろう。私はスマホを閉じてゆっくりと伸びをした。今日は日直だ。日誌を取りに行かなければ。
#何かが起こる 開始。
それがどうしてこうも酷い雨なのか。ポツンポツンというよりは、ボタッボタッというような音で例えるのが正しい。私の心に釘を刺すように、その雨は降り続ける。
落ち着け、まず状況を整理せねば。私は昼休みの後教室へ戻ってきて普通に授業を受けて、それからトイレに行って…戻ってきたらこれだ。全くもって意味がわからない。私の場合親友と呼べるものもいなかったし、特にこのクラスに思い入れがあったわけではないが…それでもこんな惨状を見せつけられては否が応でも背筋がゾクッとする。黒板に叩きつけられたもの、むごたらしく地面に滅茶苦茶になって横たわっているもの、死体たちの姿は美術品のようでもある。血の雨が降るとはよく言ったものだ。
不意に私のスマホが鳴り響いた。勿論音の出る設定にしてはいないし、通知もオフにしてあるはずだ。しかし鳴り止まないその通知音は、どうやら緊急地震速報と同じ類のもののようだ。通知を見ると、Twitterだった。Twitterとは世界規模で有名なSNSで、高校生の約8割が使っている。そんなTwitterだが、私はアカウントを2つ持っていて…と、そんな話は今はどうでもいい。通知を見ると、そこにはこんな文面が書いてあった。
「七福神 さんからあなた宛に新着ツイートがあります」
そんな変な名前の人知らない…と言って無視しておけばいいのだが、この状況だとやはり気になってみてしまう。しかし開いた途端、私の表情は一変した。
「手の込んだことしやがって…誰のいたずらだよ…」
そこには、私含めこの明日波学園のユーザー全員に向けて発信されたツイートがあった。
「#何かが起こる」
内容はこれだけ。いたずらにしてもあまりにもつまらない。まだ多少なりとも笑うことの出来るようなツイートだったらよかったものの、この状況でこんなものを見ても笑うことさえできない。仕方ないので、とりあえず助けを呼びに行こう。
「誰かぁ…あっ…」
しかし私の声が廊下に響くことはなかった。
そこには半人半魚…と言った具合だろうか、童話で出てくる人魚とはまるで正反対の怪物が立っていた。おぞましい顔つきでこちらを睨み、右手にはモリのようなものを持っている。長年ゲーマーとして活動していた私には分かる。これはもうゲームオーバーなのだ。助かる術はない。
「ギ…ギィ…ギュブ…」
ゆっくりと持ち上げられた半魚人の腕が、私の頭に落ちてきた。
「あああああッ!!!!!!」
今日の天気は晴れだった。私、西足果南はいつも通りの朝を迎えた。いつもと違う所は…強いていうなら、ベッドのシーツが濡れていたことだろうか。なぜか股の部分だけ。あとはそう、今日のパンは少しバターが足りないな。私は多めが好きなのだ。
ゆっくりと支度をして私は家を出た。空を見ると相変わらずいい天気だ。つい自転車をこぐスピードも早くなる。おかげでいつもより早く学校に着いてしまったが、元々の登校時間が遅いため丁度いい時間帯だった。クラスに入ると、皆揃ってお喋りに花を咲かせている。花は花でもラフレシアの私は、一人ぼっちらしく大人しく皆の会話を盗み聞きしていよう。こうしている時間は嫌いではない。色々なことを知れる。クラスで誰が嫌われているか、誰が何をしでかしたか。誰と誰が付き合っているか、最近付き合いが悪いのが誰か。
自分で勝手に聞いておいて傲慢だが、これじゃあどこぞの女性誌よりも聞いていて胸糞が悪いな。だが私も女子の端くれ。そんな話題を耳にするのもたまには悪くない。
「昨日のハッシュタグヤバくない?」
「あれ退学なるんじゃねぇのw」
お?いつもとは違ってどこもかしこもSNSの話題で持ちきりだ。何があったのか…。
そういえばまだ今日は1度もスマホを見ていない。急いで確認してみると、まさに昨日の夢の中で見たあのツイートだった。
「七福神 さんからあなた宛に新着ツイートがあります」
流石の私でも驚いた。これはひょっとして遠回りな死亡フラグか…?とも考えたが、やはり一番思うのは。
「なんだこれ、滅茶苦茶怖いな…」
当然の感想である。ましてや今までこんなオカルトとは無縁で生きてきた者だ。友達がいないせいか、チェーンメールの類にも出会ったことがない。とりあえず意を決してそのツイートとやらを見てみる。すると、昨日の夢とは明らかな相違点があった。
「今日の放課後 #何かが起こる」
ツイートが送信されたのは今日の丁度0時。つまり、この4月23日に何かが起こるということか。まぁSNSでのイタズラだ。厳重注意で終わるだろう。この話題で1日中騒げるほど馬鹿じゃない。放っておけば勝手に犯人は捕まるだろう。私はスマホを閉じてゆっくりと伸びをした。今日は日直だ。日誌を取りに行かなければ。
#何かが起こる 開始。
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