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第1章
イリューナの暴走事件3
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旧校舎に押し込められたイリューナはしばらく、旧校舎内を冒険していた。
彼があれほど、怒るのは想定していなかったわけではないが、何もそこまで警戒をする必要性がいまいちわからない。
確かに別の世界の住人でもあり、この世界の人間とは姿も違うがそのような部分は魔法を使用すればどうとでもなるのを彼はうまく理解していないように感じた。
イリューナは旧校舎の窓から外の様子を伺う。
ずいぶんと静かな時間である。
先ほどまではがやがやと騒々しかった外のほうが静まり返っている。
「もしや――」
ユウマの家で読ませてもらったあらゆる書物とあの妙な箱のような物体で学んだ出来事から総計した予測から別の建物で『授業』という勉学を学ぶ時が行われているのではなかろうか。
それならば、ここでじっとしているわけではおけない。
あれほど、マジな顔でこの建物から出るなと言った彼に怒られるのではないか。
正直、それは心に咎めた。
「ん? 君はどこの人だい?」
いつのまにか別の人間がそばに立っていた。
だいぶ年老いたしわくちゃの老人である。
格好も古臭く、貧乏人のように見える。
なんだろう、学校ではこのような老人を住まわせているのだろうか?
「ここは立ち入り禁止だよ。今すぐ出なさい……って外国人さんかい。こりゃぁ、困ったねぇ」
老人は自分の手を掴むとそのままこの建物の出入り口の外へ押し出した。
なぜかよくわからないけれども、妙な老人に旧校舎から出ていけと頼まれているのだと自覚する。
老人は険しい顔つきのまま、自分が先ほどまでいた建物の出入り口を施錠してしまった。
これでは戻れないな。
「ふむ」
結果としては出る予定であったが、何か『追い出された』という表現がしっくりくる扱いを受けた。
旧校舎の窓から老人が険しい顔をして指をさしていた。
言われるままにその場からいそいそと退散して歩いていく。
そう、これは仕方のないことである。
彼に何かを言われたとすれば『追い出された』と伝えれば万事解決であろう。
「なんだあれは!」
目に飛び込んできたのは大きな広い砂場である。
そう、最初にここに来た時に侵入した場所もそこであった。
今そこでは数人の男女が同じ格好をしながらその砂場で走ったり跳んだりと何か訓練のようなものを行っている。
「ここは訓練場なんですか? まさか、この国では戦場に備える訓練も行わせるというのですかっ!?」
子供の家からそのような訓練を施されるとは日本とは恐れいった。
「いや、落ち着いてくださいイリューナ。たしか、文献には――」
ここの書物で読みえた知識の中にグラウンドでスポーツなるものを行う授業があると知った気がした。
もしかしたら、それはその一環であるのかもしれない。
「実に興味深い」
そうと決まればやはり、見ているだけでは我慢できない。
静かに魔法の詠唱を唱えてグラウンドにいる男女と同じ格好をしてみる。
「ふむ、なかなかに露出度が多いです」
白地のシャツに短めの下着という感じであるのか。
身動きの取れやすい格好ではあるが気慣れない自分には落ち着かない格好と言えた。
耳も魔法で隠しているから普通の同じ少女に見えるだろう。
「ちゃんと、記録をとるんだぞ。ならんでいないところからなるべく計測していけー」
「教官!」
どうやら、この男女を指導しているっぽい、女性に声を掛けてみる。
一人だけ、格好は違く、子供ではなく大人だ。
これが書物で得た中に入っていた先生という立場の人間なのだろう。
「えっと、お前は……」
「どれから、訓練を行いましょうか?」
「え、訓練?」
「違うのですか?」
「あ、いや、訓練といえば訓練だが……正しくは体力測定でだな……」
「たいりょくそくてい?」
「ああ」
「なるほど、それではみんなと同じように走ったりすればいいのですね」
「ああ、そうだがってお前このクラスにい――」
教師に言われるままにさっそく、『たいりょくそくてい』なるものへ挑戦をすることにした。
50メートルくらいある白線の引かれたラインに沿って走る少年少女の姿。
一人ひとり順に走っているようである。
ただ、走るだけでいいならば簡単だ。
日夜、狩りでモンスターを追いかけて疾走している。
走りは得意である。
「えっと、次……って、え?」
順番が回ってきて皆が出発点としているラインに立った。
見ていた際にわかったが、そばでは合図を行う者たちがいてその合図が鳴ったら走ればいい様子である。
その合図を送るものが戸惑った様子を見せている。
周囲も何やら騒がしい。
「なんだ? 合図をしないのですか?」
「えっと、じゃあ、行くよ」
彼女が手にした合図を鳴らすものが強い音を立てた。
合図に乗って足は動いて駆け出した。
確かにこれは躍動を与えてくれる素晴らしい魔法のようである。
風に乗っていく。
「と、飛んでるぅううううう!?」
「ちょっと、誰あの子!?」
「うっそっ!? これ走り幅跳びだっけ!? っていうか、それでもとびすぎぃいいい!」
なにやら騒々しい。
自分がいつの間にか地面から足元を離れさせていたことに気付いた。
いつも木々を超えていく癖が出てしまい、跳躍をしてしまったようであった。
だが、風に乗って走っていることにはかわらない。
ゴール地点へ着地すれば終わりだ。
「よし、着地!」
風を巻き起こしながらゴール地点に着地して何か黒い物体を持つ少女のほうに向いた。
どうやら、記録をとっているようである少女。
「どうだ、すごかったですか?」
「え、ええ」
「そうか!」
うむ、どうやら記録は良かったようである。
ならば、次は皆がやっている跳ねるほうも挑戦すべきなのだろう。
「あ、あのちょっと、あなた」
「なんだ?」
「どこのクラス?」
「クラスはエンシェント級ですが」
「え、えんしぇんと?」
クラスと聞かれたから戦級のクラスを聞かれたのかと思えばどうやら、そうではないようだ。
彼女がすごく困惑した顔をしている。
「ん?」
なにやら、奥のほうで騒々しい声が聞こえてくる。
妙に気になった。
「飛べばどうにかなるか」
声のするほうへ向かうべく地面を踏みしめて空高く跳躍した。
それを見上げるグラウンドにいる少女たち。
記録係の少女は――
「まさにエンシェント」
彼があれほど、怒るのは想定していなかったわけではないが、何もそこまで警戒をする必要性がいまいちわからない。
確かに別の世界の住人でもあり、この世界の人間とは姿も違うがそのような部分は魔法を使用すればどうとでもなるのを彼はうまく理解していないように感じた。
イリューナは旧校舎の窓から外の様子を伺う。
ずいぶんと静かな時間である。
先ほどまではがやがやと騒々しかった外のほうが静まり返っている。
「もしや――」
ユウマの家で読ませてもらったあらゆる書物とあの妙な箱のような物体で学んだ出来事から総計した予測から別の建物で『授業』という勉学を学ぶ時が行われているのではなかろうか。
それならば、ここでじっとしているわけではおけない。
あれほど、マジな顔でこの建物から出るなと言った彼に怒られるのではないか。
正直、それは心に咎めた。
「ん? 君はどこの人だい?」
いつのまにか別の人間がそばに立っていた。
だいぶ年老いたしわくちゃの老人である。
格好も古臭く、貧乏人のように見える。
なんだろう、学校ではこのような老人を住まわせているのだろうか?
「ここは立ち入り禁止だよ。今すぐ出なさい……って外国人さんかい。こりゃぁ、困ったねぇ」
老人は自分の手を掴むとそのままこの建物の出入り口の外へ押し出した。
なぜかよくわからないけれども、妙な老人に旧校舎から出ていけと頼まれているのだと自覚する。
老人は険しい顔つきのまま、自分が先ほどまでいた建物の出入り口を施錠してしまった。
これでは戻れないな。
「ふむ」
結果としては出る予定であったが、何か『追い出された』という表現がしっくりくる扱いを受けた。
旧校舎の窓から老人が険しい顔をして指をさしていた。
言われるままにその場からいそいそと退散して歩いていく。
そう、これは仕方のないことである。
彼に何かを言われたとすれば『追い出された』と伝えれば万事解決であろう。
「なんだあれは!」
目に飛び込んできたのは大きな広い砂場である。
そう、最初にここに来た時に侵入した場所もそこであった。
今そこでは数人の男女が同じ格好をしながらその砂場で走ったり跳んだりと何か訓練のようなものを行っている。
「ここは訓練場なんですか? まさか、この国では戦場に備える訓練も行わせるというのですかっ!?」
子供の家からそのような訓練を施されるとは日本とは恐れいった。
「いや、落ち着いてくださいイリューナ。たしか、文献には――」
ここの書物で読みえた知識の中にグラウンドでスポーツなるものを行う授業があると知った気がした。
もしかしたら、それはその一環であるのかもしれない。
「実に興味深い」
そうと決まればやはり、見ているだけでは我慢できない。
静かに魔法の詠唱を唱えてグラウンドにいる男女と同じ格好をしてみる。
「ふむ、なかなかに露出度が多いです」
白地のシャツに短めの下着という感じであるのか。
身動きの取れやすい格好ではあるが気慣れない自分には落ち着かない格好と言えた。
耳も魔法で隠しているから普通の同じ少女に見えるだろう。
「ちゃんと、記録をとるんだぞ。ならんでいないところからなるべく計測していけー」
「教官!」
どうやら、この男女を指導しているっぽい、女性に声を掛けてみる。
一人だけ、格好は違く、子供ではなく大人だ。
これが書物で得た中に入っていた先生という立場の人間なのだろう。
「えっと、お前は……」
「どれから、訓練を行いましょうか?」
「え、訓練?」
「違うのですか?」
「あ、いや、訓練といえば訓練だが……正しくは体力測定でだな……」
「たいりょくそくてい?」
「ああ」
「なるほど、それではみんなと同じように走ったりすればいいのですね」
「ああ、そうだがってお前このクラスにい――」
教師に言われるままにさっそく、『たいりょくそくてい』なるものへ挑戦をすることにした。
50メートルくらいある白線の引かれたラインに沿って走る少年少女の姿。
一人ひとり順に走っているようである。
ただ、走るだけでいいならば簡単だ。
日夜、狩りでモンスターを追いかけて疾走している。
走りは得意である。
「えっと、次……って、え?」
順番が回ってきて皆が出発点としているラインに立った。
見ていた際にわかったが、そばでは合図を行う者たちがいてその合図が鳴ったら走ればいい様子である。
その合図を送るものが戸惑った様子を見せている。
周囲も何やら騒がしい。
「なんだ? 合図をしないのですか?」
「えっと、じゃあ、行くよ」
彼女が手にした合図を鳴らすものが強い音を立てた。
合図に乗って足は動いて駆け出した。
確かにこれは躍動を与えてくれる素晴らしい魔法のようである。
風に乗っていく。
「と、飛んでるぅううううう!?」
「ちょっと、誰あの子!?」
「うっそっ!? これ走り幅跳びだっけ!? っていうか、それでもとびすぎぃいいい!」
なにやら騒々しい。
自分がいつの間にか地面から足元を離れさせていたことに気付いた。
いつも木々を超えていく癖が出てしまい、跳躍をしてしまったようであった。
だが、風に乗って走っていることにはかわらない。
ゴール地点へ着地すれば終わりだ。
「よし、着地!」
風を巻き起こしながらゴール地点に着地して何か黒い物体を持つ少女のほうに向いた。
どうやら、記録をとっているようである少女。
「どうだ、すごかったですか?」
「え、ええ」
「そうか!」
うむ、どうやら記録は良かったようである。
ならば、次は皆がやっている跳ねるほうも挑戦すべきなのだろう。
「あ、あのちょっと、あなた」
「なんだ?」
「どこのクラス?」
「クラスはエンシェント級ですが」
「え、えんしぇんと?」
クラスと聞かれたから戦級のクラスを聞かれたのかと思えばどうやら、そうではないようだ。
彼女がすごく困惑した顔をしている。
「ん?」
なにやら、奥のほうで騒々しい声が聞こえてくる。
妙に気になった。
「飛べばどうにかなるか」
声のするほうへ向かうべく地面を踏みしめて空高く跳躍した。
それを見上げるグラウンドにいる少女たち。
記録係の少女は――
「まさにエンシェント」
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