逆召喚したらエルフ本当に呼び出せちゃったよwwwww

ryuu

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第1章

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「うぅ……身体がいてぇ」
「雄馬の自業自得」
「だからって傷害事件だろこれ」
「打撲程度でしょ。本当に昔から身体だけは丈夫でよかったわね」
「丈夫になったのはもとより雪日のせいだと思うんだが……」
「あらー? なんか言ったかしら?」
「な、なんでもございません」
 包帯を巻かれていた太ももに急な圧力をかけられては文句も言えない。
 ここは保健室で保健委員でもある雪日に治療を受けている最中だった。
 本日は偶然にも保険の養護教諭がおらず雪日が代わりに雄馬の治療を進んで引き受けていた。
「というか、あの教師マジでこんな横暴やっておいて訴えられずに教師できているとかおかしいだろう」
「まぁ……自業自得な行動しているあなたにも非があると思うけどたしかにやり方は横暴なのは私も同意」
「今度、校長に文句言いに行ってやる」
「校長に文句言ったところで無理だとおもうわよ」
「は? なんで?」
「なんでって、雄馬何も知らないの?」
「は? なにを?」
「学園長の名字忘れたの?」
「えっと……」
「はぁー、全く覚えがないって顔」
「普通、学園長なんかの名前と顔なんか覚えないだろう。学校行事くらいでしか顔合わせないおっさんだぞ」
「確かにそうだけどウチの学園長は結構テレビでも取り上げられるほどの有名人よ」
「はぁ?」
 彼女は自分の携帯で何かを調べる。
 携帯に写り込んだ画像を雄馬へと提示して見せた。
「これって……」
「ここ星城学園の学園長、鬼頭忠明おにがしらただあき学園長の経済学術のインタビュー記事ね。鬼頭学園長は元々大手会社の敏腕サラリーマンだったからこの手の経済書には何かとインタビューを受けてるわ」
「そんなにすごい人なのかよ……って、鬼頭……あ」
「ようやく気付いたわね」
「じゃ、じゃあ! あの鬼頭先生って……」
「学園理事の娘よ」
「まじかよ……って、でも、おかしいだろう。ここは星城学園だろ? なら、名字は星城になるんじゃ」
「たしか、奥さん方の家系が元々星城って名字って話だったはずじゃないかしら。今の学園理事長の先代は現学園理事の奥さんだったはずよ」
「マジか……現学園理事婿養子かよ。しかも、権力横暴じゃねぇか」
「まぁ、つまり誰も彼女の言うことややることには否定できないのよ。ほら、治療は済んだしさっさと教室戻るわよ」
「いや、雪日まってくれよ」
 慌てるように保健室を出ようとした彼女の手をつかみ引き留める。
 なぜか、顔を赤くした彼女が動揺を示すようにこちらを振り返る。
「ちょ、ちょっと何よ……」
「あ、あのよ」
「え」
 真剣な顔をしながら顔を近づけ、なるべく周囲に誰もいないが慎重を呈するように耳元で囁いた。
「俺、教室の窓からさっきイリューナの奴が空を飛んでるのを見たんだよ。だから、今から探しに行かないか」
 真面目な顔をしてそう頼み込んだが彼女の反応をみたら思いのほか暗い影を落としていた。
「おい、どうした? なんか駄目だったか? でも、あいつが何をしているかわかったもんじゃないだろう。早いところ捕まえねぇ……ぐふぅう!」
「紛らわしいことしているんじゃないわよっ!」
「なん……で……」
 打撲の残った箇所のあばらに強烈な拳の一撃は雄馬をノックアウトさせるには十分な一撃だった。





「それで、見たのはここの上?」
「ああ」
 あばらの付近をさすりながらちょうど自分たちの教室のある棟の付近の花壇に来ていた。
 その空を見上げて周囲を見ていた時に、ちょうどこちらに歩いてくる体育上がりの生徒が数名来ていた。
「さっきの何だったんだろう」
「夢でも見ていたのかしら」
「あ、そういえばさっきの子が落としていったもの私ひろちゃったんだよね」
「え、先生に渡さなくてよかったの?」
 雄馬と雪日はそんな女子生徒二人が手にしていた書物が目にとどまり、特に雄馬はそれには見覚えがあった。
 彼女たち二人が興味津々で中を開こうとした刹那に声を張り上げた。
「ちょっとタンマー!!!!」
「「ひゃぁああ!」」
 雄馬の奇声に女子二人がびっくりして悲鳴を上げた。
「雄馬怒鳴ってるんじゃないわよ!」
「いでっ!」
「あ、先輩たちすみません。ちょっと、その本見せてもらえますか?」
「え、あなたたちなに? こんな本に興味あるの?」
「あ、いえ、ちょっと知り合いが持っていた本に見覚えがあるというか……」
 雪日と雄馬はさりげない感じ?で先輩から本を見してもらう。
 雪日も幼馴染で何度か雄馬の部屋の中を清掃しているから見覚えがある書籍であった。
「これ……」
「間違いねぇ、この本「エルフーン、ハーレムにようこそ」だ」
「いや、タイトルは聞いてないわよ。あなたのものよね」
 雄馬は黙ったまま頷いた。
「え、あなたたち何っているのかわからないけれどこれはグラウンドに急に現れた子が落としていったものなんだけど」
「あの、先輩。その子ってどこにいきましたか?」
「えっと……」
 先輩は黙ったまま空を見上げて体育館の方角を見ていた。
「ありがとうございます。ユウマの言うとおりのようね」
「だから言ったじゃないか……。あ、先輩俺の本なんで返してもらいますね」
 さっ、と瞬時に奪い取ると雄馬と雪日はその場から急いで立ち去った。
 置いてけぼりを食らったかのような感じの先輩二人は呆然としながら謎が頭を埋め尽くしていた。
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