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第1章 異世界の勇者
ジルとの戦1 改稿版
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ペンライトから放出される青い光の輝きがジルの身体を弾き倒した。
それはイスア国民が全員目の当たりにした衝撃的な光景として目にしていた。
王女もまた、その光の根源を放った存在に目を奪われており、歓喜に震える。
「ああっ、勇者の降臨ですわ! 勇者がきたんですわ!」
それは全軍の士気力を高める行動へとつながった。
瀕死に追いやられていた騎士たちが最後の一滴の体力を振り絞って立ち上がって剣を構えてドラゴンに攻撃を仕掛けに行った。
ドラゴンは弾き倒されてもいたが、それは別に殺されたわけではない。
一瞬驚いた程度のかすり傷を受けた程度のダメージでしかなかった。
向かい来る騎士たちを一瞥して巨体を振るう。
風が舞い、巨体によって突き飛ばされる騎士たちと勇者の男。
ドラゴンと化したジルは初めて言葉を喋りはじめる。
「くくっ、哀れなイスア国民が魔王の直属の部下であるアタシに勝てると思ってるのかい。アンタらの相手はアタシには及ばぬさ。そうさう、アタシの相手はアンタだけさね勇者」
ジルの目が突き刺さるのは瓦礫の山に立つ青年ただ一人。
*******
騎士たちがなぎ倒される光景を目にして俺は震える手を力強く奮い立たせ、ペンライトを構えた。
戦いなんてド素人のはずの俺の脳内にはまるで歴戦の猛者たちが味わってきたとされる戦闘技術と経験が膨大な量として流れていた。
それは何が原因とされて起こっているのかは謎だった。
しかし、その結果における減少として吐き気や頭痛に悩まされる自分がいた。
目の前の敵はそんな休憩を許してはくれない。
今まさに敵は俺の存在を脅威として捕えて攻撃を仕掛ける準備に入っている。
大きなかぎづめが鬼気迫った。
瞬時に飛んで後退し回避。
右サイドからの尾が迫っている。
ペンライトでガードするようにして防ぎの挙動をとる。
勢いが強く盛大に吹き飛ばされる。
「勇者様ぁ!」
王女の悲痛な声が耳に聞こえた。
その声もそうだったが、俺には大事なもう一人の声も聞こえた。
「頑張って!」
それは歌詞のフレーズの一つだったのかはわからないが、ある建物の上を眺めた。
そこには一人の少女が歌を歌い続けている。
今はライバー冥利に尽きる種村雪菜の特別コンサート中。
「ハハッ、うれしいよ。大好きな声優が俺のために歌ってるんだ。何を弱気になってるんだよ。さっきまでの威勢のよさがどこ行ったんだ俺ってば……」
最初の一撃目はただの偶然で出来たことでしかない。
感情になげうって出た攻撃だった。
だけど、あの時にできた感覚は先ほど打ち出した攻撃よりも明らかに強さがあった。
その感覚さえ取り戻せれば勝てる。
「俺の女神が歌ってるんだ。弱気になってられるかよ」
カチッとペンライトの色を変えてオレンジに変更する。
ライバーがサビにおいて盛り上げるために、好きなフレーズの時に盛り上げをつくるための色。
元来はサイリウムなどが望ましいが今はペンライトしか持ち合わせがない。
そこは仕方なく思いながら一呼吸ついて構える。
「申し訳ないけど、ちょっと準備をさせてもらうぞ」
着こんでいた法被を本来は来ているべきなのだろうが俺は脱ぎ捨てた。
それが俺のスタイルだった。
上半身裸になり、下半身は短パン姿へと変わる。
「何のつもりだぁあゆうしゃぁ勇者ぁ?」
「これは戦闘モードってやつだよ」
全イスア国民が凍り付くかのような彼の珍妙な行動が始まった。
それはーーオタ芸だった。
それはイスア国民が全員目の当たりにした衝撃的な光景として目にしていた。
王女もまた、その光の根源を放った存在に目を奪われており、歓喜に震える。
「ああっ、勇者の降臨ですわ! 勇者がきたんですわ!」
それは全軍の士気力を高める行動へとつながった。
瀕死に追いやられていた騎士たちが最後の一滴の体力を振り絞って立ち上がって剣を構えてドラゴンに攻撃を仕掛けに行った。
ドラゴンは弾き倒されてもいたが、それは別に殺されたわけではない。
一瞬驚いた程度のかすり傷を受けた程度のダメージでしかなかった。
向かい来る騎士たちを一瞥して巨体を振るう。
風が舞い、巨体によって突き飛ばされる騎士たちと勇者の男。
ドラゴンと化したジルは初めて言葉を喋りはじめる。
「くくっ、哀れなイスア国民が魔王の直属の部下であるアタシに勝てると思ってるのかい。アンタらの相手はアタシには及ばぬさ。そうさう、アタシの相手はアンタだけさね勇者」
ジルの目が突き刺さるのは瓦礫の山に立つ青年ただ一人。
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騎士たちがなぎ倒される光景を目にして俺は震える手を力強く奮い立たせ、ペンライトを構えた。
戦いなんてド素人のはずの俺の脳内にはまるで歴戦の猛者たちが味わってきたとされる戦闘技術と経験が膨大な量として流れていた。
それは何が原因とされて起こっているのかは謎だった。
しかし、その結果における減少として吐き気や頭痛に悩まされる自分がいた。
目の前の敵はそんな休憩を許してはくれない。
今まさに敵は俺の存在を脅威として捕えて攻撃を仕掛ける準備に入っている。
大きなかぎづめが鬼気迫った。
瞬時に飛んで後退し回避。
右サイドからの尾が迫っている。
ペンライトでガードするようにして防ぎの挙動をとる。
勢いが強く盛大に吹き飛ばされる。
「勇者様ぁ!」
王女の悲痛な声が耳に聞こえた。
その声もそうだったが、俺には大事なもう一人の声も聞こえた。
「頑張って!」
それは歌詞のフレーズの一つだったのかはわからないが、ある建物の上を眺めた。
そこには一人の少女が歌を歌い続けている。
今はライバー冥利に尽きる種村雪菜の特別コンサート中。
「ハハッ、うれしいよ。大好きな声優が俺のために歌ってるんだ。何を弱気になってるんだよ。さっきまでの威勢のよさがどこ行ったんだ俺ってば……」
最初の一撃目はただの偶然で出来たことでしかない。
感情になげうって出た攻撃だった。
だけど、あの時にできた感覚は先ほど打ち出した攻撃よりも明らかに強さがあった。
その感覚さえ取り戻せれば勝てる。
「俺の女神が歌ってるんだ。弱気になってられるかよ」
カチッとペンライトの色を変えてオレンジに変更する。
ライバーがサビにおいて盛り上げるために、好きなフレーズの時に盛り上げをつくるための色。
元来はサイリウムなどが望ましいが今はペンライトしか持ち合わせがない。
そこは仕方なく思いながら一呼吸ついて構える。
「申し訳ないけど、ちょっと準備をさせてもらうぞ」
着こんでいた法被を本来は来ているべきなのだろうが俺は脱ぎ捨てた。
それが俺のスタイルだった。
上半身裸になり、下半身は短パン姿へと変わる。
「何のつもりだぁあゆうしゃぁ勇者ぁ?」
「これは戦闘モードってやつだよ」
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それはーーオタ芸だった。
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