ライバーな俺が大好きな声優アイドルと一緒に異世界へ召喚されてしまったので新しい世界で生きる方法を作りました。(改題しました

ryuu

文字の大きさ
15 / 45
第1章 異世界の勇者

ジルとの戦2

しおりを挟む
 オタ芸はコンサートなどにおいてファンが繰り広げる、独特な動きを伴う踊りや掛け声。文字通りアイドルオタク(追っかけ)等がアイドルや声優などのコンサート・ライブなどで行っている、アイドルのために捧げる応援の芸はオタクの儀式のようなものだ。オタ芸をすることを打つなどと言うこともある。そんな、オタ芸を楽しむ人たちのことを打ち師と呼んだりする。ヲタ芸(ヲタげい)とも記述される。アイドルオタクの芸が語源と言われていたりいなかったり。
 昨今では一つのパフォーマンス技法にも成り立ちつつあるこの芸妓。
 けれど、現代社会ではその芸妓で会場内で頻繁にトラブルが起きたり血みどろ騒ぎが起こったことでコンサート内では禁止していることも少なくない。
 一部の技法を使うことは未だに見られることも多々ある。
 今の俺はただ一人のこの世界のライバーだった。
 サイリウムを持ち、愛してやまないアイドル声優が歌っている。
 俺は持っている技法を駆使しオタ芸をまさに今行っている。
 右手を大きく伸ばして振り回し、次に左を伸ばし振り回す。
 身体を全身を使うようにして正面でサイリウムをクロスさせて振り回す。
 オタ芸は別にそれぞれに独自の芸妓をアレンジさせることもしばしばある。
 固定のパフォーマンス技法に何かしらのオリジナルの芸妓を加えるという話である。

(ここからは技に転嫁させる!)

 一気に俺は前に踏み込んだ。
 その振動が地面を響かせる。
 その珍妙な彼の動きに呆気に取られていたジルもようやくその音に響かれて反応をした。

「なんだかようわかれねぇけどよぉ舐めてもらっては困るんだよ勇者ぁあああ!」

 彼女の口腔内から放射された炎が迫っていたのを目視で視認していた。
 いくら何があっても俺は芸をつづけた。
 なぜかはわからないが心の中でその炎に俺は焼かれることはないという一つの確信が芽生えていた。

「なにぃ!?」

 神威の芸妓中の俺に炎はかき消される。
 振り回された手が見事に炎を打ち消したのだ。

「そんな珍妙な動きが技だとでもいうのかぁあ!? くぐぅぅうううるぅあああああ!」

 ジルが悔しさに顔をゆがめ、拳を打ち出した。
 竜の鉤爪が迫りくるのを確認する。
 神威の妙技の前方で×を作るような動きで敵の腕を切裂いた。
 ジルの負傷した手に追い打ちを仕掛けるように、両手を前衛でくるくると回転させる動きで連続した連撃を与える。
 さらに、俺の体が動いて止めに大きく左に重心を傾けるようのけぞらせて右手を伸ばして振るう。
 ジルの腕は切断された。 

「ぎやぁあああああああああ!」

 その珍妙な動きの中に入ったジルの手はまさに捕らわれるかのように芸妓のすべてを受けるように斬られた。
 オレ自身もまたその感覚を確かに味わった。

(この世界でオタ芸は技に転嫁できるのか? でも、なぜだ? これが俺が勇者としての力なのか?)

 サイリウムだけではない得られた妙技。
 この謎のパフォーマンスにイスア国民全員の士気が湧いたのもまた事実だった。





「今が好機ですわ! 勇者様に続いて私たちもドラゴンの首を討ちとるのですわ!」

 瀕死であった騎士たちが震える足腰を立たせてもう一度動き始めた。
 その時に騎士たちは妙な心の気持ちにもあった。
 聞こえるもう一人の女性の勇者の声が彼らの身体からふつふつと滾るような何かが芽生えているのを。

「よくわからないが何かが!」
「俺らはやれるぞぉおお!」

 焚きつけられた騎士たちを見て斬られた腕を抑えながらジルは翼をはためかせて逃亡を試みた。
 しかし、その動きは魔法によって浮遊した騎士たちの上空からの攻撃でせき止められる。

「くそっ! くそがぁあああ!」

 再度、炎が吐き出されるが彼らの周囲には防壁のような壁が展開されていた。
 その光景にジルは衝撃を受ける。

「なんだといのだ! この者たちは何だというのだぁあああ!」

 混乱するジルの目が一人の女を見つける。
 一人建物のベランダから身を乗り出す女。
 勇者と目されていたもう一人。

「あの勇者が原因か! 勇者がぁあああああ!」

 だが、その行く手をもう一人の勇者が阻んだ。
 その勇者は跳躍していた。


「うぉおおおおおお!」

 俺は自らに湧き上がった妙な感覚めいた力に突き動かされて足が動いていた。
 足に跳ねでもついたかのような感覚に浮遊されて動かされる。
 まるで蛇と雷のようなシンプルなようでいて周囲からは複雑怪奇にも見えるその動きを全身のあらゆるばねを使って展開した。

(これが俺のサンダースネイクだぁああ!)

 両手足は振り回されて、ペンライトは過剰に発光する。
 光輝いたペンライトからはその妙技に合わせて斬撃波のようなものが出ていた。
 その斬撃波がジルの肉体を次々と切裂いた。
 ジルが声にもならない叫びをあげる。

(PPPH!)

 左手を引いて2拍子、右手を引いて2拍子の音が響く。
 その音はまるで音の波をジルに向けて打ち出されていた。
 ジルの身体はゆっくりと沈んでいった。

「決まったぜ」

 さわやかな顔を演者の種村雪菜に俺は向けていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香
ファンタジー
 いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

処理中です...