ライバーな俺が大好きな声優アイドルと一緒に異世界へ召喚されてしまったので新しい世界で生きる方法を作りました。(改題しました

ryuu

文字の大きさ
17 / 45
第1章 異世界の勇者

契約書

しおりを挟む
 彼女の姿が見えなくなって後ろを振り返ると拍手や歓声の向ける先は俺のほうになっていた。
 妙に照れ臭くっておじきをしながら愛想をよく振り舞う。
 心の中ではただひたすらに思う。

(ああ~、マジ怖かったぁあああ。つか、どうしてあんなマネできてんだよおれぇえええ)

 自らの力に酔いしれるなんて心持はない。
 そこまで図太い神経はしていない。
 自らのその勇者としての力のありようと召喚された理由が未だに不鮮明だ。
 だけど、自らが勇者であるのだろうという実感だけは確かにあった。
 目の前の倒れたドラゴンのジルを倒した力があれば魔王だって倒せるだろう。

(でも……)

 一つの決意はあった。
 沈む感情の中で周囲を見てわかる。
 この国もしくは全世界がそうであるのか。

(今の今まで歌や勝利への歓喜というものを知らなかったんだろうな)

 今まで目に光を宿していなかった者たちが戸惑いながらも一心不乱に拍手という行動に酔いしれてるような様子が見受けられた。
 この世界のありようが垣間見えた気がしてきた。

「勇者様!」

 人垣の群れを抜けて数人の護衛の騎士を引き連れた一人の王冠の被ったドレスの女性が近づいてきた。
 イスア国の姫を名乗っていて、俺を勇者として召喚した女性だった。
 すっかり、彼女のことは記憶から抜け落ちていた。
 別れ方が横暴だったこともあって若干顔をあわせづらい。

「このイスアを救ってくださりありがとうございます」
「いや、今回の件は俺が発端だったし逆に申し訳ないって気持ちでいっぱいだよ」
「いえ、もとをただせば勇者の召喚を行ったのは私ですわ。もしも、勇者償還していなくても彼女のような他国の人間はこの国を必然と崩壊の道へと導いていくでしょう。ですから、そのようなものをわりだし打ち倒してくださったことには感謝しかありません」

 そのような感謝の仕方をされ、妙に照れ臭い気持ちになっていく。
 必然と何も謝罪は口にできない。

「それよりも彼女はどうするんですか?」

 俺は背後にいるドラゴンをみる。
 徐々にドラゴンの姿が人の姿へと変わっていく。
 元のあの時見た赤毛の美女へと変わった。
 ただ、全裸だっただけに思わず見てると赤面する。
 童貞には刺激が強すぎた。

「彼女は騎士団が連行をしていき、収監します」

 まるで人型に戻ることを予期していたのか騎士の動きは素早いものでボロボロの彼女を絶たせ上げて手枷のようなものを行い連行していった。

「収監……つまりは捕虜か」
「敵国のスパイとなると我が国も他国の情報を必要とします。さらに勇者様のことが露呈していたのは実質、内部にスパイがいた可能性もあるのでその割り出しにも対処しないとなりませんわ」

 いろいろと計画を立てて行動を行っている様子で語ってくれる王女様。
 俺にはわかっていた。
 彼女がずっと俺を見てそのような説明を続けて、俺に語り続けるのには理由があるのだろう。

「これはまたタイミングがよろしいですわ」

 後ろを振り返ると種村雪菜もこちらに来ていた。
 彼女のその姿を見るだけで俺は癒された気分になった。
 戦闘の疲れとか何処へ吹く風だ。

「種村様もありがとうございました。あの素晴らしい詠唱で士気も上がって……」
「あれは詠唱じゃない。歌です」
「歌ですか?」
「…………そうか、ココの人たちはそれすらもわからないんですよね」
「あの……なにか?」
「こっちの話」
「はあ?」
「もう気にしないで。それで、なんか用があるんですか?」

 王女はそうでしたというばかりに一人の騎士に何かを持ってこさせた。
 一枚の書類だ。

「お二人の気持ちを蔑ろにして勝手に勇者として召喚したことは深く反省いたしております。ですが、我が国は瀕死の結果であります。ドラゴンのせいで復興作業へと取り掛からないとなりません。さらに外部へ他国の偵察部隊も編成を必要とします。ですから、そのためにあらゆる方面の契約書を承諾願えればと思いまして」

 彼女なりに今回は俺らの意思を尊重しようとして書類を持ってきて契約交渉という形式をとってきた。
 一応筋は通ったやり方だった。
 書類のほうを見ればしっかりと身の安全性や衣食住の取り計らいなどを保証してくれるとあった。

「ただ、ドリュウをこちらへ輸入させるのに数日間はかかりますのでその間に療養していただきまして、偵察任務へといってくだされば我が国としても助かるんですけど……」

 ドリュウというものがわからないがおおよそこの世界における移動馬車のようなものなのか。
 それがこの国には今はないので偵察隊も作って移動をできない。
 そのための休養期日。

「「わるいけど」」

 意外なことに種村雪菜と言葉が重なった。
 彼女ににらまれる。
 愛する女に蔑んだ眼を送られるって心地よい気持ちである。
 余韻に浸ってる状況を振り払い、彼女へと手を出して「さきにどうぞ」という。

「この契約書にサインはできないわ」
「え……どうしてなんですの!? なにか不都合が生じましたか?」
「私たちはあなたの暴挙でここに飛ばされておいて衣食住を提供、資金を上げますですよね。それって、当たり前よ。あなたは実際に私たちの保証人なのよ! それをまるで都合のいい解釈でふざけてるわけ!?」
「も、もうしわけありません。では、どうすれば?」
「どうすればも何もないわ。帰る手段が欲しいってところだけどないんでしょ?」
「私共の記憶ではそのような術式はこの世界には存在していないと把握しておりますわ」
「だったら、こっちの提案は一つ。私は一切勇者としての責務で人殺しの戦いなんて嫌。しません」
「それはこまります! この世界の勇者としての責務を……!」
「責務なんて正直そっちの勝手だって言ってるでしょ。だから、私は別の方向で個人的にこの国を救うことにしたわ」
「え」
「正直最初は嫌だった。だけど、この国の人たちを見て、歌を歌ってわかった。私はこの世界へ勇者として召喚された理由はこの世界に私の歌を届けることかもしれないって思ったの。間違ってるかもしれないけど、なんとなくそれを続けていけば自ずと道は見える。いいえ、もしも帰れなかったとしてもこの殺風景な光景をここで長生きしていくなら変えたいって思ったのよ」

 傍らで愛するアイドル声優の言葉を聞いて俺は感動をして涙を流していた。
 同時に彼女の思っていたことが俺と同様のことだったのに嬉しさがあった。

「俺もそうだ。種村さんと同じで戦いはもうしない。あんなのは懲り懲りだ。命を奪い合うとかどうしてそんなことしなくちゃいけないんだよ! それはあんたたちの勝手な都合でしかない。もしも、帰れないなら、この世界でしばらくの間人生を送らないといけないなら俺も別の形でこの世界を変える。俺の知ってる娯楽ってやつをこの世界に届けたい。ここの人たちに活気を与えることをしたい」

 王女が真剣に俺たちの言葉に聞き入れていたが少々戸惑い眉間に手を当てていた。

「それはどういうことなのですか? ごらくというものが何かは存じ上げませんが世界は戦わずして救えるのですか?」
「そうは断言できないさ。もしも、戦うことになったら俺は自分の身を守るためや身内になった人を守るためならこの身を振るって行動を起こすよ」
「私もそこの彼と同じ。断言はできない。だけど、戦って世界を救うなんてことはしたくない。帰る道は探すけどこの世界に長居するなら長居したくなる世界に変えるってだけ」

 王女はイマイチピンときてはいない表情だったが手にした契約書類を破り捨てた。
 代わりに別の紙を取り出してその裏に「戦わずして世界を救う勇者に我が国ができうる限りの助力をいたしますことをここに誓います。よろしければ受諾をお願いいたす」と書かれていた。

「わたくしにはお二人の言葉はわかりません。ですが、お二人が勇者であるのは事実ですわ。ですのでその言葉を信じてお二人の個人的意思で行動をしてくださって構いませんわ。それで世界を救えるというのなら」
「世界が救えるかは保証できないけど」
「変革することはしてみせる」

 勇者の二人とイスア国の契約が提唱され、この日をきっかけに二人の勇者のエンタメ革命が始まろうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

処理中です...