ライバーな俺が大好きな声優アイドルと一緒に異世界へ召喚されてしまったので新しい世界で生きる方法を作りました。(改題しました

ryuu

文字の大きさ
22 / 45
第2章 最初の開拓

ボランティア活動

しおりを挟む
  
 路上ライブを終えて、俺はアイドル声優の種村さんに頼まれごとをされて断り切れず、まずは王女のことを探しに王城へ戻っていた。
 だが、王城で真っ先に言われたのは――

「あれ、勇者様何もお聞きになっていないのですか?」

 まるで知らされたかのような当たり前の事実を王国騎士の人に伝えられる。
 王女は職務のために外出中であると伝わされ、さらには――
 
「会議の際にお伝えしていないはずはないと思うんですが……」

 自分が会議の内容に聞き耳すら立ててないことが露呈するのは非常にまずくそそくさとその場を適当にごまかして退散した。
 退散した後に行く場所など検討もなく、俺は元の場所に戻っていた。
 そこでは騎士たちの復興作業が永遠と行われ続けている光景だった。
 その彼らの表情はライブの時は輝いていたのに今はロボットにまたなったかのように感情さえ見えない瞳でもくもくと建築作業をしているだけ。
 さらに配給活動も行っていた。
 この闇ギルド一体だけに被害が及んだわけでもなく他の個所でもドラゴンのジルの攻撃の被害はあったようでその被害を被った住宅の住民たちが配給食をもらいに来ているという状況。
 

「しかし、数が多くないか?」

 路上ライブの時も感じていたことだったが配給をもらいに来ている列は一向に止まることはなかった。
 その光景を見ていると無性に申し訳ない感情が膨れ上がり、配給を行っている基地テントの中に入った。
 すると、騎士と民間人の視線が集まってくる。

「これは勇者様、いかがしましたか?」
「手伝うよ」
「勇者様、それはなりません、勇者様にそのような手を煩わせる行いを……」
「やらせてくれないかな。ここの住民たちをこんな風にしたのは俺にも責任があるわけだし」
「しかし、それは仕方なかったことで……」

 具材の入ったスープっぽいものが鍋の中にあった。それを器によそって配っている挙動をまねて、同じように彼らに配給する。
 俺はスープを見て不思議に思った。


「これ、スープか?」
「すーぷとはなんですか? これは『フォルチャ』です」
「ふぉるちゃ?」

 ここの専門用語が出てきて、一瞬戸惑う。
 それがこの食べ物の名称だというのは理解した。

「気になるなら食してみますか?」
「えっと、俺が頂いても大丈夫なの?」
「はい」

 民間人に配給を一度停止し、隣の騎士がよそってくれた『フォルチャ』なるものを食した。
 唖然とした。
 うまくない。
 ただの塩水に具材を入れただけのものだった。

「い、いかがですか?」
「ど、独特な味だね」

 そうとしか答えられなかった。
 もはや、こんなものしか今はないのかと疑問に思った。

「民間人には今、これしか配給できないの?」
「えっと、そうですね。現在は魔道路が壊れていますので水や火、電気などの使用魔具が動いていないので他の食べ物を提供するのは難しいですね」

 魔道路なるものが如何なるものかは聞いただけで大体の予想はできた。
 この世界における電波塔や水道、ガス管などの役割を果たすために重要な魔法の機械のことなのだろう。
 
「でも、この食べ物だけでも十分に民は満足してくれてますので」
「そうか……」

 俺はもはや何も言えないままに配給をつづけた。

「でも、本日に魔道路の修理に王女殿下が向かっていますので明日には他の物を配給できるとは思います」
「他の物か……」

 なんとなく俺にはそのもの自体も『フォルチャ』のように味気のないようなものが出てくる気がした。
 周囲の人たちはまるで食に関してはその動作をするしかないから無心で食す行為をしているだけでしか見えない。

「食事にも楽しみってあるんだけどな」
「何か言いましたか?」
「いや、なんでもないよ」

 この光景を見ているのもつらい。
 何か自分にもっと他にすることを目指す道が徐々に見えてきた。

「そうだな。それも一つとして打ち出すほかないよな」
「何か言いましたか?」
「いや、一々反応しなくていいから」

 俺のツッコミに首をひねられても困る。
 配給活動の最中に民間人がまたざわつき始めた。
 ある一人の騎士がテントに入ってくる。

「王女殿下が戻られたぞい!」
「おお! では!」
「それが魔道路の修理にまだかかるらしい」

 なんとも悲しくも沈んだ空気が流れ始めた時、テントにまた一人入ってきた。
 それは種村雪菜さん。
 俺と共にこの世界へ勇者召喚されたアイドル声優。

「た、種村さん!?」
「ちょっと、来て王女殿下と話し合うから」
「え、え、ちょっと! まだ配給が途中で」
「そんなのはあと!」

 俺は強引に手を惹かれてそのまま連れてかれるのだった。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香
ファンタジー
 いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

処理中です...