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第2章 最初の開拓
同盟国交渉案 後編/昼休みの開拓
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「他国への同盟をする前にこの国でそのような事業を行って何か得があるのですわね?」
俺の提案に周囲がざわついていた。
無茶難題を申し付けたと思っているが同盟を行う慈善事業活動のためにも資金を提供してもらうようにしてもらうためにも行うべき議題を提示したと自信をもっている。
王女は渋った顔でこちらを見て隣の種村さんにまで目を向けた。
この活動のキーマンは彼女にある。
「今状況としてステージ建設はできないのもわかってる。それに騎士たちの疲弊も日に日に目に見えるようになっていないか? なら、適度な安息の時も大事だ。それが復興作業の士気向上につながると思う。だからこそ、俺は種村さんの路上ライブを行わせてみることが必須だ。その効果を世界に知らしめてさらにライブ参加者への――」
「カレースープの配給ですわよね……」
「いい塩梅をつけるんだ。安息の時、昼時にライブを行い、カレースープを飲んで楽しんでもらう。そのルーチンを行う」
再度説明をまとめるように語ったが王女は苦渋の決断を強いられている。
周囲の士官は反対意見を述べる者もいれば推奨してくれてる方もいた。
このライブの本命の種崎さんはと言えば――
「私もいい提案だと思う。人っていうのは時に安らぎが必要。今の彼らは終始働きっぱなしで休んでいてもその休みに心までは安息していないわ。私の歌で彼らの心身の安らぎを与えるわ。実際それは証明されてるはずよ」
この作戦案には便乗するように擁護して王女へ具申している。
あとは王女の一言で作戦は動き出すのだ。
ただ、ひたすら彼女の決断を待った。
「他国が知ったときに急激に責めてくる可能性はないんですの?」
「その可能性もあります。ですので、まずは事前に国全土に俺が出向く旨を密通で行ってもらいたい。それと、もう一つ。勇者が複数人いて、この世界のあらゆる国へと出向いている偽情報を流す」
「勇者が出向く情報は何を意味するんですの?」
「勇者召喚で召喚された勇者の数はあらゆる国がまだ理解していないはず。実は多く存在したなどと分かれば他国はこぞって勇者の捜索に当たるが、実際は勇者は出向く旨を受けてる国は自国の防衛に入る。さらにおとなしくなるはず。ともすれば、一時しのぎくらいに時間は稼いでイスア国で文化の見識を広げる機会もできる」
情報錯乱をするための作戦。
実際に国との同盟も意味をなせる。
「ただし、国との同盟はこの作戦の最初は1つのみに絞る予定です。それを拡大化していくの目的ではあるがまず1つから始める。とりあえず、ざっとこんな感じで作戦をしたい」
あらゆる計画を考えたが決してうまい作戦には程遠い。
けれども、情報は人にとっては重要なもの。
人は簡単にその情報に騙されやすい。
「わかりましたわ。あなた方には散々の比例もありますわ。一度くらい勇者様のその作戦というものを信じてみますわ」
「殿下! 何を言うんですか!? そのようなもの誠に通ずるなど万に一つとしてわからないんですよ。それを実行するなど……」
「黙りなさい、クレアス宰相。彼らは勇者ですわよ。過去のこの世界の歴史においても勇者の言葉に従い失敗したことはなかったのは保証されていますわ。私は愚かな行いをしましたけどそれを悔いて、今は彼ら勇者に従うまでですわ」
「なんて……愚かなことを……」
宰相の彼女、クレアスが頭を抱えてふらっとしながら椅子に座った。
それ以上彼女範囲も言うことはなく黙り、この作戦案の決定が可決された。
ついにこの世界での改革の開始が始動できるようになったのだった。
********
文化改革の始動を承諾をもらい、次の日にさっそく活動を始めた。
まずは闇ギルド跡地へと俺と種崎さんは足を運んでいた。
そこではいつものようにかわらず騎士たちががれきの撤去活動と周囲の建造物の補修工事を行っていた。
ボランティア活動で負傷した民間人の手当てや補助などを行う光景があった。
「そろそろ昼時よね」
「はい。そろそろ始めるべきかと」
俺は重い鍋を持ち運び、仮設テントの中にある机に置いた。
「これはこれは勇者様! そのようなこと我々が行いましたのに!」
「ああ、いや、これはこっちの作業なんだ。それと、今日からコイツが配給食になる」
鍋ふたを開けるとスパイスな香りが周囲を十分に満たしていく。
騎士たちも手を止め、民間人すら困惑と腹を抑えてこちらのテントを振り向いた。
「なんだこの匂い……」
「嗅いだこともないような……」
「無性になんだか……」
俺はその様子を確認しながら遠目で闇ギルドの瓦礫山に足を運んでいく種崎さんの姿を見た。
「あ、勇者様! そんなところ危ないですよ! 今は撤去中ですのでどいてください!」
「いいえ、その手を止めるのはあなた方。それと、私は勇者じゃない。アイドル声優よ!」
彼女はずっと羽織っていたローブを振り払う。
下から覗くのはきらびやかな衣装。
この異世界に来てからずっと着ていたライブステージ衣装に俺がほつれ修理を行い新品同様になったもの。
彼女は歌い始めた。
「本日から、イスア王女の伝達で昼時は俺らのライブ時間とします」
その言葉に全員が困惑する。
その中で彼女が歌い続けながらいる環境も相まってか周囲は決して嫌な顔をしてはいなくて反論もない。
「どゆうことですか?」
一人の騎士が尋ねた。
それに俺は答えた。
「この時間は彼女の歌声を聞きながらこの配給食を食べる時間とします。決して仕事をするのは許しません。安息を楽しもう!」
その言葉に騎士たちが戸惑いを見せた。
「え、でも、それじゃあ俺らの給料は? 仕事は首?」
そこへ一つの足音が聞こえ、周囲が騒めきだした。
「国民の皆様、我が国へ使える忠実なる騎士たち。あなた方へのねぎらいだと思ってください。首ではなくこれは変化ですわ。この時間は今日から勇者様方へとお任せし、あなた方は安息を楽しんでくださいませ」
騎士たちが困惑しているのでアルナ王女がテントにいた俺の隣の女騎士へと鍋から皿へとカレースープをよそって渡す。
「この綺麗な勇者の声を聞きながらそのスープを飲んでくださればわかりますわ。騎士団長のあなたが試してみて」
俺の隣にいたのは騎士団長の女性だったらしく彼女は生唾を飲み込み、カレースープを飲んだ。
彼女はその一瞬でまるで未知の味覚に遭遇したかのように恍惚とした表情を浮かべ一気に飲み干した。
「これは……こんなの……飲んだことない……なんだこの感じ……なんというんだ」
まるで『おいしい』という言葉や感情を始めて知ったかのような戸惑いを見せている。
それを見て周囲も次々に並び始める。
俺は――
「1列へ並んでください。一人まずは一皿です! 勇者の歌声も聞きながら安息を堪能してください!」
これは一種の昼休み。
安息の休息。
学校とかでよくある音楽を聴きながら昼食を楽しむ。それを再現する状況だ。
その効果は如実に表れだす。
周囲が次第に顔をほころばせて人と人が会話を自然とし始めていた。
「そうだよ、これだよ」
ここに居た人たちは死んだ目をして、休息をしていないように日常的会話をすることもないようにずっと見えていた。
業務的会話しかない。
でも、今ここに居る人たちは――
「この食材何かわかるか!?」
「フォルチャに似ているよな。 なんだろうこの舌がひりつく刺激」
「わからない。しかし、この耳に聞こえる勇者の声もまたいい。歌といったか?」
「らしい。近くで聞いてみよう!」
自然と種村さんの周りにも多くの観客が集い始めた。
俺はほくそ笑みながら計画がうまくいった兆しを見出した。
俺の提案に周囲がざわついていた。
無茶難題を申し付けたと思っているが同盟を行う慈善事業活動のためにも資金を提供してもらうようにしてもらうためにも行うべき議題を提示したと自信をもっている。
王女は渋った顔でこちらを見て隣の種村さんにまで目を向けた。
この活動のキーマンは彼女にある。
「今状況としてステージ建設はできないのもわかってる。それに騎士たちの疲弊も日に日に目に見えるようになっていないか? なら、適度な安息の時も大事だ。それが復興作業の士気向上につながると思う。だからこそ、俺は種村さんの路上ライブを行わせてみることが必須だ。その効果を世界に知らしめてさらにライブ参加者への――」
「カレースープの配給ですわよね……」
「いい塩梅をつけるんだ。安息の時、昼時にライブを行い、カレースープを飲んで楽しんでもらう。そのルーチンを行う」
再度説明をまとめるように語ったが王女は苦渋の決断を強いられている。
周囲の士官は反対意見を述べる者もいれば推奨してくれてる方もいた。
このライブの本命の種崎さんはと言えば――
「私もいい提案だと思う。人っていうのは時に安らぎが必要。今の彼らは終始働きっぱなしで休んでいてもその休みに心までは安息していないわ。私の歌で彼らの心身の安らぎを与えるわ。実際それは証明されてるはずよ」
この作戦案には便乗するように擁護して王女へ具申している。
あとは王女の一言で作戦は動き出すのだ。
ただ、ひたすら彼女の決断を待った。
「他国が知ったときに急激に責めてくる可能性はないんですの?」
「その可能性もあります。ですので、まずは事前に国全土に俺が出向く旨を密通で行ってもらいたい。それと、もう一つ。勇者が複数人いて、この世界のあらゆる国へと出向いている偽情報を流す」
「勇者が出向く情報は何を意味するんですの?」
「勇者召喚で召喚された勇者の数はあらゆる国がまだ理解していないはず。実は多く存在したなどと分かれば他国はこぞって勇者の捜索に当たるが、実際は勇者は出向く旨を受けてる国は自国の防衛に入る。さらにおとなしくなるはず。ともすれば、一時しのぎくらいに時間は稼いでイスア国で文化の見識を広げる機会もできる」
情報錯乱をするための作戦。
実際に国との同盟も意味をなせる。
「ただし、国との同盟はこの作戦の最初は1つのみに絞る予定です。それを拡大化していくの目的ではあるがまず1つから始める。とりあえず、ざっとこんな感じで作戦をしたい」
あらゆる計画を考えたが決してうまい作戦には程遠い。
けれども、情報は人にとっては重要なもの。
人は簡単にその情報に騙されやすい。
「わかりましたわ。あなた方には散々の比例もありますわ。一度くらい勇者様のその作戦というものを信じてみますわ」
「殿下! 何を言うんですか!? そのようなもの誠に通ずるなど万に一つとしてわからないんですよ。それを実行するなど……」
「黙りなさい、クレアス宰相。彼らは勇者ですわよ。過去のこの世界の歴史においても勇者の言葉に従い失敗したことはなかったのは保証されていますわ。私は愚かな行いをしましたけどそれを悔いて、今は彼ら勇者に従うまでですわ」
「なんて……愚かなことを……」
宰相の彼女、クレアスが頭を抱えてふらっとしながら椅子に座った。
それ以上彼女範囲も言うことはなく黙り、この作戦案の決定が可決された。
ついにこの世界での改革の開始が始動できるようになったのだった。
********
文化改革の始動を承諾をもらい、次の日にさっそく活動を始めた。
まずは闇ギルド跡地へと俺と種崎さんは足を運んでいた。
そこではいつものようにかわらず騎士たちががれきの撤去活動と周囲の建造物の補修工事を行っていた。
ボランティア活動で負傷した民間人の手当てや補助などを行う光景があった。
「そろそろ昼時よね」
「はい。そろそろ始めるべきかと」
俺は重い鍋を持ち運び、仮設テントの中にある机に置いた。
「これはこれは勇者様! そのようなこと我々が行いましたのに!」
「ああ、いや、これはこっちの作業なんだ。それと、今日からコイツが配給食になる」
鍋ふたを開けるとスパイスな香りが周囲を十分に満たしていく。
騎士たちも手を止め、民間人すら困惑と腹を抑えてこちらのテントを振り向いた。
「なんだこの匂い……」
「嗅いだこともないような……」
「無性になんだか……」
俺はその様子を確認しながら遠目で闇ギルドの瓦礫山に足を運んでいく種崎さんの姿を見た。
「あ、勇者様! そんなところ危ないですよ! 今は撤去中ですのでどいてください!」
「いいえ、その手を止めるのはあなた方。それと、私は勇者じゃない。アイドル声優よ!」
彼女はずっと羽織っていたローブを振り払う。
下から覗くのはきらびやかな衣装。
この異世界に来てからずっと着ていたライブステージ衣装に俺がほつれ修理を行い新品同様になったもの。
彼女は歌い始めた。
「本日から、イスア王女の伝達で昼時は俺らのライブ時間とします」
その言葉に全員が困惑する。
その中で彼女が歌い続けながらいる環境も相まってか周囲は決して嫌な顔をしてはいなくて反論もない。
「どゆうことですか?」
一人の騎士が尋ねた。
それに俺は答えた。
「この時間は彼女の歌声を聞きながらこの配給食を食べる時間とします。決して仕事をするのは許しません。安息を楽しもう!」
その言葉に騎士たちが戸惑いを見せた。
「え、でも、それじゃあ俺らの給料は? 仕事は首?」
そこへ一つの足音が聞こえ、周囲が騒めきだした。
「国民の皆様、我が国へ使える忠実なる騎士たち。あなた方へのねぎらいだと思ってください。首ではなくこれは変化ですわ。この時間は今日から勇者様方へとお任せし、あなた方は安息を楽しんでくださいませ」
騎士たちが困惑しているのでアルナ王女がテントにいた俺の隣の女騎士へと鍋から皿へとカレースープをよそって渡す。
「この綺麗な勇者の声を聞きながらそのスープを飲んでくださればわかりますわ。騎士団長のあなたが試してみて」
俺の隣にいたのは騎士団長の女性だったらしく彼女は生唾を飲み込み、カレースープを飲んだ。
彼女はその一瞬でまるで未知の味覚に遭遇したかのように恍惚とした表情を浮かべ一気に飲み干した。
「これは……こんなの……飲んだことない……なんだこの感じ……なんというんだ」
まるで『おいしい』という言葉や感情を始めて知ったかのような戸惑いを見せている。
それを見て周囲も次々に並び始める。
俺は――
「1列へ並んでください。一人まずは一皿です! 勇者の歌声も聞きながら安息を堪能してください!」
これは一種の昼休み。
安息の休息。
学校とかでよくある音楽を聴きながら昼食を楽しむ。それを再現する状況だ。
その効果は如実に表れだす。
周囲が次第に顔をほころばせて人と人が会話を自然とし始めていた。
「そうだよ、これだよ」
ここに居た人たちは死んだ目をして、休息をしていないように日常的会話をすることもないようにずっと見えていた。
業務的会話しかない。
でも、今ここに居る人たちは――
「この食材何かわかるか!?」
「フォルチャに似ているよな。 なんだろうこの舌がひりつく刺激」
「わからない。しかし、この耳に聞こえる勇者の声もまたいい。歌といったか?」
「らしい。近くで聞いてみよう!」
自然と種村さんの周りにも多くの観客が集い始めた。
俺はほくそ笑みながら計画がうまくいった兆しを見出した。
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