ライバーな俺が大好きな声優アイドルと一緒に異世界へ召喚されてしまったので新しい世界で生きる方法を作りました。(改題しました

ryuu

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第3章 同盟

地下牢の謁見交渉 : 気持ちの衝突

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 王城に戻って、王座の間にいるはずの王女へと謁見するために廊下を歩いていると道中に王城内の騎士に連行されていく先ほどの傭兵の女性二人の存在とすれ違う。
 彼女らは必死にわめいていた。

「ふざけんな! アタイらだって飢えてんだぞ! まともな仕事をもらえても今じゃあどの国も配給食で賄ってる! そんな状況でも放浪者のアタイらに食事を与える権利はないってのかよ!」
「お前らのような国籍を持たぬ剥奪者に与えるものなどない! さあ、牢屋にでも入ってろ!」
「それこそ、不当だ! アタイらはただ仕事をしていただけだ!」
「ならば、理解をしているだろう。貴様らもスパイ容疑が見つかった場合は処罰をされるのは規則として存在しているはずだ。貴様らのは明らかな違法行為」
「はっ! なら、この国が偽情報を流すのはどうっていうんだよ! なぁ、そこの勇者二人。すべてはアンタらの仕掛けか! ああん?」

 連行されていく傭兵二人の一人にメンチを斬られてたまらず足を止めた。
 もう、傭兵たちに偽情報だということがバレ始めている。

「ああ、落ち着けよ。たぶん、その情報に気付いたのはまだこの国へと偵察に来ていたアタイらが初だぜ。でも、そのうちにどんどんそれは露呈するはずだなぁ。そうしたら戦争だ。ギャハハハハ」
「黙らんか! 勇者様。すぐに牢へとこ奴らは収容しますので。では」

 彼女は無理に押し出されてこの城の中にも存在している地下牢へと連行されていく。
 彼女の大きな声だけはまだ続けて俺に対してわめき叫んでいた。

「このご時世で召喚された勇者は始まりの勇者より質が悪いなぁ! アタイらを見捨てこの国の人のみを救うってか! ああ、てめぇは勇者なんかじゃねぇ! 下種野郎さ!」

 彼女の笑い声が耳にこびりつき、拳を握りしめた。
 背中にそっと触れた誰かの手に振り返る。
 一緒にいた種村さんだった。

「頭、気にする必要ない。これからあなたは同盟を行おうとしている。今はこうなってるけど、彼女も直わかってくれるわ」
「だとしても今の俺はあの傭兵の言うように今はただの下種野郎だ。周りをよく考えていない。それに、ようやくこの世界での冒険者や傭兵の現状を知ったよ」
「それはこの世界で来てから色々と考えることが多かったし、それに私たちは王女の傍で活動を義務付けられていたわけだから仕方な……」
「種村さん、そんな言葉は言い訳にしかならないんだ」

 俺はそそくさと廊下を突き進んで歩いて王座の間の部屋の扉を開けた。
 軋んだ扉の音で中にいた玉座に座る王女と騎士団長の女性、宰相のクレアスがいた。

「おや、これはこれは勇者殿。何か用事ですかな? 今はあなたの作戦であった冒険者への偽情報案についてのまとめを――」
「うまく言ってないんだろう? 偽情報作戦」
「そんなことはありませんな。何を根拠に――」
「さっき、そこで傭兵とすれ違ってさ」

 クレアス宰相が口を噤み、居心地悪そうに苦虫でもかみつぶしたような表情を浮かべる。

「クレアス宰相、あなたの負けですわよ。下がっていなさい」
「しかし、王女殿下! この案件は彼らの――」
「クレアス宰相をつれて外への活動に行ってくださいミレイ」
「承知しました殿下」

  長い黒髪に金髪のメッシュが入った特徴ある長髪をなびかせて騎士団長がクレアスをつれて部屋を出ていった。
  残った俺たち3人は対面して俺は大きく息を吸って頭を下げた。

「すまない。この国の冒険者や傭兵のことなど知らず無謀なことを申し立てていたことを謝る」

 自分のふがいなさをしっかり自覚していたが故にまずは頭を下げた。
 王女は意外な俺の反応に笑う。

「何を謝るんですの? そんなこと当たり前ですわ。それに契約にあった通りのことを私たちは行うべきだけですわ」
「だけれど、現状をすべて把握して行うべき作戦だったとも思う。てっきり、偽情報を冒険者を使って流すことなど容易に考えていた」
「まぁ、簡単なことではなかったのは確かですわ。でも、あなたにこの世界の冒険者や傭兵のことを教えなかったこちらにも非がありますわ」
「……本当にすまない。だから、これからの作戦を不承不承ながら了承してもらいたい」
「何を頼むというんですの?」
「地下牢の傭兵と謁見させてほしい」

 すると、王女は玉座から席を立った。

「正気ですの!? 危険ですわよ!」
「わかっている。あくまでこれは最初から考えていた作戦でもあったんだ」
「最初から?」
「実は従わないケースも前もって考えてはいた」
「なんですって? まさか、謝罪は……」
「そのケースを事前報告しなかったことの意図さ」
「あは、あははは。これは一本取られましたわね」
「まずはこの国の現状の冒険者と傭兵の中を確かめときたかったんだ」
「嘘をついていたんですのね」
「これで勇者召喚の件とおあいこだろう?」
 
 俺はそっと種村さんを見て苦笑いをして見せる。
 彼女の反応はちょっとむくれた顔で怒っていた。
 
(彼女にも事前に伝えておくべきだったかな。あの時じゃなくて)

 少々作戦の荒さを自覚しながらも話を進める。

「それで、謁見は可能か?」
「謁見してどうするんですの?」
「偽情報を流すのを了承してもらうのさ。どうやら、今日捕まえたのがこの国へ来た最初の他国からのスパイらしいからな」
「そうですの……。勇者様にもこちらから報告をいたしますが偽情報を流すことには一部の冒険者は実行しましたわ。だけど、あくまで少人数のみでうまく国へその情報の噂は入っていませんわ」
「だと思ってるさ。だから、まずはギルド内の変革も起こさないとまずいのもわかってる。都合のいいことにこの国はギルドなどの商業があるのは世界で一番なんだろう?」
「そうですわ」
「なら、都合の良いことへと動くかもな」
「あなた何をするつもりですの?」
「だから、変革だよ」
「戦争は繋がりませんわよね?」
「それどころか、この国に勇者や傭兵が多く集まるさ」
「はい?」
「味方につけることさえできるようにするさ」

 王女は混乱した面持ちで俺を見ていた。
 ただ、自分の頭の中にある作戦を口にはしない。

「とりあえずさ、この件はまだ口に出せない。その前に謁見を許してくれ」
「謁見は了承しますわ。ですが、こちらも提案をいたしますわ」
「なんだ?」
「騎士を一人つけさせてくださいませ」

 彼女の申し出に否定意見などなくこちらからとでもおもうくらいだった。
 俺は了承し謁見の願いは叶ったのであった。


********

 謁見の交渉ができて早々に王女から部屋で待つようにと指示を受けた。
 部屋へと向かう道中の廊下で俺は種村さんに怒鳴られていた。

「まったく、信じられない。頭は私を信用していなかったの? 最初から計画の中にあったなんて」
「本当にすみません。この件はなるべくこの世の中の冒険者や傭兵の扱いを知るために行いたかったので誰にも話したくなかったんだ」
「私もライブ後に知らされていたから王女と話しているときはそこまで驚かなかったけど、まさか最初から作戦の中だったのは驚いたわよ。しかも、謁見って危険しかないのよ!」
「あー、怒ってるのはそっちですか?」
「そうでしょう!」
「うぅ……」

 憧れで好きなアイドルに怒られるのも悪くはなかったが思いのほか騎士たちや城内に雇われてる下官の注目を集めていた。

「あの、このことについてここでこれ以上口論はまずいし一度俺の部屋へ行かない?」
「え……ちょっと、それって」
「うん?」

 一瞬彼女が顔を真っ赤にして戸惑う様子を見せた。
 俺はなんで動揺するのかわからずしばし考えてわかった。

「いやいや、飛躍しすぎ!? そんなこと全く思ってない!」
 
 彼女の感知がいの要因を察して全力否定するが彼女はより怒りを増した。

「え……」

 彼女の平手がさく裂して俺は尻餅をつくと彼女はどんどんと先へと進んでいく。

「た、種村さんどこに!」
「あなたの部屋に行くんでしょ!」

 ひりつく頬を抑えながら彼女の平手の意味が分からず困惑する。
 
「女ってわからない」


********

 慌てて彼女の後に続いて部屋へと戻った。
 自室へと戻って早々に種村さんはリビングのソファに腰を下ろす。
 俺は事務椅子に腰を下ろし彼女の後ろを窺う。

(ああ、後ろ姿もかわいいなぁ)

 なんてくだらない妄想をしていると、彼女が振り返る。

「ねえ」
「はい!」
「私たちが同じ境遇であることを理解してる?」
「ええ、もちろん」
「だったら、あなたが考える作戦に私は全力で答えたい。あなたは私のマネージャーでもあるのよ」
「ああ、そんな話をしていましたね……」

 すっかり忘れていたがそのような契約話をしていたようなことを思い出した。
 まずはすべてのことを取りまとめてから開拓しないとまともにステージでのライブなどできはしないので後回しにと考えて忘れてしまってた。

「そんな話ってね、私にはすっごく大事なこと!」
「す、すみません! 精一杯頑張りますけど、まずはこの作戦もうまくいってすべてまとまらないと何も行動できないので!」
「今、作戦の全容を説明できない?」
「えっと……」

 俺は席を立って部屋のあらゆる箇所を確認した。

「なにしてんの?」
「盗聴魔法とか仕掛けられていないかと確認を……」
「注意深いわね」
「いや、もしもなんかあったらまずいし」
「はぁ、もういいわ。そこまでする必要があるくらいの作戦なのだったら聞かない」
「え……でも……」
「ただ、お願い。私を信用しているなら私をのことを常にそばに居させて」
「え……それは……」

 俺の頭の中にある作戦ではそれは後にかなわなくなることがあった。
 だから、その彼女の申し出に対して渋る。
 常に種村さんが寂しさを感じているのは十分に理解しているつもりだけれども、この世界で自分が長く生活する上での生活圏を確保するために彼女との離別を一時的にすることも必要だった。
 だから、その言葉に対して長考してしまう。

「駄目なのね……」
「あ、いや、そんなことは!」

 彼女が席を立ち、部屋から出ていこうとした。
 その際に彼女の瞳に涙が浮かんでいたのを確認する。
 俺は思わずその手を掴んでいた。

「ごめんなさい!」
「離して。あなたはこの世界でうまくやればいい。私はたった一人で寂しく回りに振り回されながらいるしかない。帰る場所もなくって居場所もない……。そんな私は……私は……」
「俺は決してあなたを見捨てるわけじゃない! 俺だってできるなら帰りたい! でも、帰る場所が見つからないならこの世界でもしもの可能性を考慮して長居できる環境も作るそういう話をしましたよね」
「…………急に何その話をして。聞いた聞いたけど」
「俺はできるなら、あなたとこの世界で幸せに一緒にいたいと思ってる。同じ境遇者だからじゃないあなただから」

 俺の真摯な心で訴えた言葉に彼女が顔を真っ赤に染めた。
 戸惑うように俺の手を振り払いたじろいで壁際に下がっていく。
 近くの棚に激突し棚の上にあったものが落下した。
 それが種村さんの頭頂部へと迫る。

「あぶない!」

 おもわず彼女のほうへと走って押し倒した。
 割れる壷のようなもの。
 なぜ、そんなものがあるのかは謎だった。
 俺は安心したが手に妙な柔らかい感触を感じた。
 ゆっくりと手の先を見ると大好きなアイドルの胸を俺は揉みしだいている事実に気付いた。

「あ、いや、これは……」

 彼女はというと顔をゆでだこのように真っ赤にする。
 俺の股間へと強烈な衝撃と痛覚が走った。
 彼女の蹴りがさく裂したのだとわかった。

「っ~」

 タイミングがいいのか悪いのか部屋の扉が開かれて騎士団長が顔をのぞかせて倒れた俺と種村さんを見て首を傾げた。

「えっと、謁見の移動の迎えに来たのですがどうかなされたのですか?」
「いいえ、ちょっとした事故があっただけ。気にしないで」

 この時の俺は涙を浮かべながら何も答えられなかった。

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