ライバーな俺が大好きな声優アイドルと一緒に異世界へ召喚されてしまったので新しい世界で生きる方法を作りました。(改題しました

ryuu

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第3章 同盟

地下牢の謁見交渉 後編

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 騎士団長の彼女に案内をされて進んだ先にある女がいた。
 その女は俺がこの世界へと召喚されて早々にこの世界の闇を見せ、命の危うさを体験させたまさに二度と会いたくないと感じていた女。
 赤髪のジル。
 魔王の傘下の傭兵だった女。
 彼女は俺がこの手で倒し、気絶した後に騎士へと連行をされていたのは知っていた。
 その後に処刑を下されてるものだと勝手に思い込んでいたが事実は違った。
 
「まさか、生きていたなんてな」

 彼女は生かされていた。
 外抜けの鉄格子の牢屋に一人鉄鎖に繋がれ宙づりにされた状態の彼女。
 身体にはあちこち痛めつけられたような痣や傷が見られた。
 衣服も何も身に着けさせてもらえないとこをみるとひどい拷問でも受けたのだろう。
 最も彼女の行った行為を考えるとその仕打ちは当たり前のように感じてしまう。

「アハッ、会いたかったぜぇ勇者ぁ」
「俺は二度とお前に会いたくはなかった」
「なぁんだぁ、そんな冷たいこと言うなよぉ。さぁ、こっちへ来いよ話をしようぜぇ」

 騎士団長が俺の前に手を伸ばしてゆく手を阻むようにした。

「入ってはなりません。彼女は終身刑を受けた囚人です。それに特に危険指定犯罪者です。いくら今は力を失くしたとしても何を行うか知れたものではありませんので近づくことは極力控えてください」
「近づこうなんて思っていない。ただ、お前らわかってるのか? こんな女を生かしていて……。俺や種村さんがこの女にどんだけひどい仕打ちを受けたか」
「わかっています。ですが彼女は貴重な情報源ですので死刑執行をすぐに行うわけにはいかず終身刑としてこの牢獄に永遠と過ごしてもらうことを承諾願えませんか?」

 心は憎悪にまみれている気持ちでいっぱいだった。
 この女は殺したいほどに憎い。
 そっと、その手を握る暖かい手に怒り立つ心が自然と落ち着いてくる。

「頭、私も確かに彼女が憎い。けれど、憎悪で他人を殺したいなんて思ったら人として終わりじゃない? まずはおちついて彼女をこのままにしておくという考えに賛同をするのが良識ある考えよ」
「だけど、コイツは!」
「あなたらしくない。もう少し冷静さを」
「っ……」

 彼女の優しい言葉に一呼吸ついて、落ち着きを取り戻す。

「すみません、取り乱しました」

 謝罪を口にしてジルをもう一度睨みつけた。
 彼女はにらまれると恍惚の笑みで今まで死んだような目をしていた彼女に光の宿るような生き生きした顔を見せる。

「ああ! 最高だぁ! アタイをもう一度もう一度斬ってくれよぉ!」

 とんでもない狂気じみた言葉を口にして、一歩俺はたじろいだ。

「おい、騎士団長この女はどうしたんだ? 何か魔法とか薬でも使ったのか?」
「いえ、私たちはただ情報を聞き出すために拷問をしてはいますが薬や魔法などを使用した拷問は行っていません。むち打ちなどは行ったと聞いていますがただそれだけです」
「だったら、なんであのジルが俺へたいしてあんな言動を吐く!」

 あまりの変貌に困惑して頭を抱えたくなる。

「ああぁ、ゾクゾクするなぁ。アタイは気づいたのさ。アンタに斬られて求めていたモノの本質へ! そうアタイを打ち負かす存在を求めていたってことにさ! そして、アタイを心底楽しませて従属させてくれる存在を!」

 頭を抱えながら俺はジルのとんでもない世界を開いてしまったのだと自覚した。
 キャラが変貌しすぎてもはやついていけない。

「頭……さすがに引くわ」

 突然としてさっきまで握ってくれていた手がバチンと強く弾かれた。
 思い切りの強さに手を抑えてうるッと涙目で種村さんを見たが彼女の蔑んだ眼が突き刺さる。
 自分的にはご褒美でもあったがその行いがジルの怒りを焚きつけた。

「おい! アタイの前でなぁに勇者に乱暴してんだ! アンタ許さないよ!」

 とにかくめんどくさいことこの上なくこじれた女を前にどうしたものかと頭を悩ませた。
 ある意味では俺はチャンスと考えた。
 
(考えていた『作戦』はうまく活かせるんじゃないか?)

 そう思い込んだときに騎士団長の手を振り払い、牢屋の前に進んだ。
 鉄格子の前にまで来るとジルが嬉しそうに言う。

「中へ来いって! アタイを嬲ってくれ! 他の奴らじゃあ満足しないんだ! アンタじゃなきゃだめなんさ!」
「そういう趣味はないんだけどなぁ。でも、条件付きならいいぞ」
「本当か!」
「ああ。俺の言うとおりになんでも言うことを聞いてくれるならな」
「アハッ! 願ってもねぇことだ! なんだっていうことを聞く!」
「なら、ある作戦に協力しろ」
「作戦だぁ?」

 急にやる気をなくしたような沈み切った表情を見せた。
 冷めたような目でこちらを見てから――

「勇者ぁ、まさかアイツらと同じようにアタイをスパイとして利用してとか考えてるのか?」

 どうやらこの国のお姫様とかもどうように考えて動いていた様子だった。
 でも、アルナ王女はどうしてそのような行動を起こそうと考えていたのかは見当つかない。
 魔王への攻撃の足掛かりにでもと考えてもいたのか。
 俺は別に争い行事を行おうとはまるっきり考えてはない。
 彼女のあまりよくない反応にやる気を見いだせるように言葉を考える。

「なんでもいうこと聞くんじゃなかったのか?」
「そうだけど、アタイは簡単なスパイなんかじゃ動かない。そんな安い女じゃないのさ」
「どういう心境だよソレ」

 なぞの理論を口にして彼女の感情の起伏の激しさにこちらは戸惑うばかりだった。
 だが、彼女はしぶしぶと答えを口にした。

「アタイは傭兵でもプライドってもんで動いているのさ。簡単な仕事で動く甘ちゃんではないのさ」
「だったら、心配はないとおもう。簡単な仕事ではない。スリルを味わってもらう」

 その言葉に彼女の目が光る。

「へぇー、アタイをどんな危険へと落としてくれるんだぁい勇者ぁ」

 餌に食いついた彼女に俺はほくそ笑んだ。
 彼女に行ってもらうことをまとめるように口にし始める。

「俺はお前に出会って戦って、この世界の闇を知った。そして、自分たちが元の場所に帰ることすらできない真実までいたってさ、永住したくなるような世界を作ることに決めたのさ」

 そのことを語りだした時背後から騎士団長が「勇者様! 軽々しく――」と言われたが俺は右手を上げて言葉を抑止させた。
 相手の反応を見るとジルは笑っていた。


「なんだいそれ? 世界でも作るってのかい?」
「まぁ、そういうところさ」
「アハッ! 面白い考えだね。世界を作るか、アハハハっ!」
「まぁ、手始めにおまえのおかげで壊されたイスア国民の心を安らぎに満ちさせて復興作業に力を与えてみたよ」
「面白いことをしてるようじゃないさ。それで、まだあるんだろう?」
「ああ、今は傭兵や冒険者の力が欲しい」
「それで、アタイが必要ってわけかい」
「ああ、本来は冒険者や傭兵に偽情報を流すことを行ってもらう予定だったが――」
「アハハハハ、それは無理さ。どうせ報酬が割に合わず傭兵は従わない」
「まさにその通りだ。特に勇者も一部のみしか参戦せず他は駄目」
「つまりは偽情報を流せってことかい?」
「そうだ。おまえには魔王の兵士を主とした側にその情報を流布してほしい。そして、自分自身が捕まってはいたが逃げ出したことで勇者の存在や力の間違った情報を流してほしい」
「情報の操作か。アハッ、そううまくいくと思うのかい?」
「まぁ、うまくいくとは思っていないさ。まずはまだ他にやるべきことはたくさん残ってるからな」
「アハハハハッ、まぁ、その作戦とやらに従ってもいいさ。でも、従う前にはアタイを解放してもらわないことにはどうにもならないさ。それにこっちの条件も全部を言ってないさね」

 俺は読めていた。
 だからふてぶてしい態度で返す。

「いいぜ、言ってみろよ」
「今言った通りまずはアタイを解放しろ。そして、アタイをアンタの専属の傭兵にしてほしいさ!」
「…………なに?」

 その言葉は読めていなかった。

(てっきり、身の安全や俺のことをどうこうする権利でも要求するかと思ったがまさか……)

 笑ってしまう。

「アタイはアンタならあの魔王を殺せると見てるのさ。だからこそ、このアタイはアンタに従属したい。裏切りが心配なら従属魔法でもかければいいさ」

 願ってもいない言葉だった。
 だが、騎士団長が心配そうな言葉をかけた。

「勇者様、罠です。ここから出した途端に寝首を狩るかもしれません」

 俺は彼女の様子をしっかりと見て、騎士団長の不安を否定した。

「いいや、ないよ。彼女は」

 彼女の俺を見る目はもう隷属欲求に満ちていて恍惚としている。
 どことなく変態さを感じてしまう。

「なぁ、騎士団長さん、俺とコイツを今の状態で隷属魔法ってやらをかけてくれないか」
「しかし――」
「ちなみに隷属魔法ってのはどういうものなんだ?」
「それは主人と使い魔のような形でして、使い魔側は主人の言いなりでもしも主人に逆らうような行動を起こせば死ぬように術が施されます」
「ありきたりなファンタジー設定あるあるか」
「なんですか?」
「いいや、なんでもない。わかったよ。やってくれ」

 だが、この潔い結論にもの申すものが出た。

「ちょっと、頭!」
「種村さん?」
「簡単に決めるべき案件じゃないわ! 相手は敵だったのよ。そんなやつを簡単に信じてそれも奴隷にしようなんて……魔法だって解呪されでもしたら――」
「騎士団長さん、解呪されようとしたらどうなるんだ?」
「解呪は基本出来ないのが隷属魔法です。まぁ、未知の魔法とかでもない限りですが」
「なるほどな。なら、大丈夫だろう」

 そうそうそんなことが起こりえるとは思えなかった。
 それに彼女のあの俺に大した変な愛情の視線はなんとなく身の毛もよだつものがあるが危険が及ぼされる雰囲気を感じはしない。

「大丈夫だろう。彼女は心配ない」
「ただ奴隷が欲しいだけじゃないの?」
「いやいや、そもそも俺そっちの性癖はないですから!」
「そっちの性癖?」
 
 やけに変な勘が鋭い彼女に俺は気を紛らわすように大声を張り上げる。

「さあて、早くお願いします魔法を! 騎士団長さん!」

 格子越しにその魔法は施されるのだった。
 隷従化した後の魔王の傭兵だったジルは無事釈放されるのであった。
 だが、後のその無断な行いが王女の逆鱗に触れるのは想定していなかったのだった。
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