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20 謎の説明と怪絵
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「みんなで浴衣を着て、かき氷とたこ焼きでぇ~! 夏祭りですぅ!」
勢いよく言い切った桜庭は、勝手に「夏の風物詩」のイメージで頭の中が埋め尽くされてるらしく、満面の笑み。でも、よく考えてみて? 浴衣もかき氷も、なんならたこ焼きもこの世界には存在しているとは思えない。
「……浴衣って、あんた作れるの?」
冷静なツッコミを入れると、桜庭は一瞬だけ「あれ?」という顔をした挙句、
「え? タタラバさんが作れるのでわぁ?」
「なんで私なのよ!」
「えぇっ!? だってタタラバさん、裁縫できそうな顔じゃないですかぁ~!」
出来そうな顔ってどんな顔だよ。作れる前提なのが変だろ。
「出来るわけないでしょ! 何言ってんの」
「じゃあ~、浴衣が難しいなら、法被なんてどうですかぁ?」
切り替え早いな。と思った矢先、桜庭はすでに何かひらめいたらしく、指をくるくるさせながら言い出す。
「背中に絵を描いてですねぇ~! お祭りっぽく、ででーん! って!」
背中に絵? ででーん? たぶん今、桜庭の頭の中には怪しい構図が回ってる。祭りというより、なんか……別の戦い始まりそうなんですけど。
「でですねぇ~! かき氷はですねぇ~!」
気を取り直した桜庭が、語り始める。
「氷をゴロってセットして~、シャーシャーって刃が回って~、さくさくさくって削れて~! 器にふわっふわが落ちてくるんですぅ~! ぐぅるぐる~ってハンドル回すんですぅ~!」
全部、擬音。
その説明、戦闘魔法の使い方に聞こえるんだけど。
「で、たこ焼きはですねぇ~! 鉄板に丸い穴が並んでて~! くるっと焼いたら、まんまるのアツアツが完成ですぅ~!」
イメージは楽しそうだけど、道具や構造はまったく伝わってこない。
桜庭はそれに気づいていない。
「…………まったくわかんねぇ」
ヴィンセントさんが机の端から静かに言った。それだけで場が少し正気に戻った。ルークさんも腕を組んだまま、微動だにせず眉を顰めている。
「あ、じゃあですねぇ~! 絵に描いて説明しますぅ~!」
そう来たか。
やっと理解されなかったと判断した桜庭が、絵による説明に切り替えた。
紙の上に描かれたのは、氷山に刃が刺さった図。脇に『ぐぅるぐる!』『シャーシャー!』の文字。次の鉄板は球体の集合。さらに衣装図、法被は背中に炎? なのか、雷? なのか、怪しいミミズが数本縦に書かれており『雷』『気合』と文字が並んでいた。
描き終わったところで、ルークさんがぼそっと言った。
「……拷問具か?」
ノールさんも見下ろしながら
「封印装置にしか見えん」
と呟く。
「ちがいますぅ~! 楽しい機械ですぅ~!」
いや全然、楽しさが伝わってこない。
むしろ、ルークさんやノールさんの感想が正しいとさえ思う。
「ちょっと筆貸して」
私は謎絵を脇に寄せて、新しい紙を広げた。
「氷機は、氷固定台、回転刃、受け皿の深さ。ハンドル操作で削る調整」
「鉄板は、厚さを持たせた鉄板に均一な窪み。焼きムラ防止」
「衣装は……浴衣は無理。構造と布の確保ができない。なので──法被」
法被の寸法を描き、背中には――
雷ではなく、円をひとつ。ふたつの点。穏やかな弧。
「スマイルマーク。祭りらしく、柔らかく」
「タタラバスマイルですぅ~!」
「その命名、あんたが言うと呪われそうだわ」
図面が三枚。かき氷機。鉄板。法被。
だけど、それを作れる場所は、どこにもない。
「……この街じゃ無理だな」
ノールさんが紙を見たまま言う。
「職人の手が要る。機械も細工も……キーラの言ってるものが可能なのかどうか、まずはそこからだなぁ」
ルークさんもノールさんも、どうやら少しは考えてくれているようだ。なんていい人たちなの。桜庭の言うことなんぞスルーでいいにもかかわらず。
当の桜庭は、私が書き上げた図案をみて「わぁ~!」と言っている。
「ちょっと、微妙に違う点もありますがぁ~、だいたいタタラバさんが書いてくれた感じです~」
お前が言うな!
図面を見た、ルークさんたちはさっきよりは、まだ理解できたのか、小首を傾げながらもじっと図案を見つめていた。
「……で、この機械で何を作るんだ?」
ルークさんが、図面の端を指差した。静かな声だったが、紙の上に乗ったすべての線を、改めて浮かび上がらせた。
「えっとですねぇ~! まずはかき氷ですぅ~!」
桜庭が、わぁ~! と息を弾ませて答える。
「氷をシャーって削って~! ふわふわが落ちて~! その上に蜜をかけるんですぅ~! 甘くて冷たくて~! 見た目もかわいいんですよぉ~!」
「蜜……って、甘いやつか?」
ヴィンセントさんが紙の端に目を落としたまま、微笑を含んだ声で訊いた。
「そうですぅ~! 果物をぐつぐつ煮て、とろとろにした液体を冷やしてかけて~! あとですね~、果物をちょこんって乗せると~、めちゃくちゃ映えるんですぅ!」
「……ふむ。見た目と味は、悪くないかもしれないな」
ルークさんが低く呟いた。
目の端に、微かに『興味』の気配があった。
「で、たこ焼きはですねぇ~! この鉄板の穴に~! 生地を流して~! 中にタコを入れるんですぅ~!」
「……タコ?」
ヴィンセントさんが、紙から顔を上げる。
笑みを浮かべたまま、やっぱり少し首を傾げていた。
……仕方ない。どうせ誰も分かってないなら、図面の横に、作り方も描いておくしかない。私は新しい紙を広げ、筆を手に取った。
一番左に「かき氷」と書く。
その下に、手順と材料を並べた。
かき氷(冷たい甘味)
①氷を削って器に受ける
②上に蜜という甘い液体をかける
③果物を添えることで見た目も整う
④機械構造は隣図を参照
たこ焼き(焼き料理)
①粉を液体にして、生地にする
②鉄板の窪みに流し込む
③中にタコ(海の生物/細かく切る)を入れる
④串で回しながら焼く。丸く整える
⑤外が香ばしく、内は柔らかくなる
⑥できあがったものにソースをかける。
「法被は別紙参照」と添えて、紙をルークさん側に差し出した。
彼は黙って目を落とし、内容を追い始める。
横からそのレシピをみた桜庭は
「さすが多々良葉『先生』ですぅ~! 魔導書みたいです~」
と、言い出した。
「魔導書って何よ! レシピよ!」
しかも『先生』の所を強調しやがった。
「蜜って……果物を煮詰めた液体か。氷は削って受け皿に。ふむ……フルーツを添えて……ほう。爽やかな味になるな」
ノールさんがたこ焼き側の紙に顔を寄せた。
「火の通し方で食感が変わるな。……鉄板の配置が鍵か」
「そうですね。焼きムラを防ぐには厚みと窪みの間隔を揃える必要があります」
ヴィンセントさんは、タコの欄に目を落としたまま笑いながら呟いた。
「タコって……なんだ?」
その疑問に桜庭が「えぇ!? 知らないんですか!?」と言い出した。
「足が八本あって~! 吸盤がちゅるちゅるってついてて~! 大きめで、ぷにっとしてて~! 海の底でくるんって泳いでるんですよぉ~!」
両手をふわふわ動かしながら、タコの再現が始まった。
「かわいいですよぉ~! ちょっと大きいけど、切れば入りますぅ~! まるっとは無理ですけど、細かくして~、ぴゅって入れるんですぅ~!」
「あー、アレか。『海の悪魔』のことか?」
それを聞いたヴィンセントさんが、先ほどまでの笑みを消した。
「……ちょっと待て。それ、まるごとこの丸に突っ込むのか?」
ヴィンセントさんが思いきり、眉を寄せて訊く。
「えぇ!? そんなわけないですぅ~! 細かく切ってから入れるんですよぉ~!」
クスっと笑う桜庭だが、お前は笑える立場にないと言いたい。
謎の説明・謎絵。一切、何も届いていないのだから。
「……俺……。そのタコなんたら、無理かもぉ」
ヴィンセントさんはどうやら、タコが苦手? なようだ。
ルークさんが紙を見たまま、ぼそっと言った。
「でも、あいつ……漁に出れば、嫌ってほど獲れるぞ。誰も食わない。捨てるって話もあるくらいだ。だから、材料費で言えば、タコ代?は無料に近い」
「えぇ!? もったいないですぅ~! 美味しいのにぃ」
桜庭が声を上げる。
「まぁ、あの姿だけ見たら、食べようって気持ちにはならないのかもね」
私たちの居た世界でも、日本人みたいにタコを食べる国は昔では珍しかったと聞いた記憶もある。
「じゃあですねぇ~! 看板には~、タコサンマークを描きましょうぅ~!」
いきなりまた、謎のお絵かきが始まった。
私が筆を押さえる前に、桜庭は紙に向かって描き始めた。
描かれたタコサンは、八本足のうち五本が空中に跳ねていて、三本は頭に刺さっていた。吸盤は異様に大きく、まるで謎の棒から怪しいものを出しているようだ。タコの口とおぼしき箇所はなぜか笑ってて、歯が細かく書いてある。目らしきものに至っては、呪われるんじゃ……?というくらい真っ黒に塗りつぶされていて、真ん中だけ☆マークが書いてあった。
間違いない。これは呪物だ。しかも特級の。
「頼むからやめて……」
私は筆を取り上げ、紙を裏返した。
他の三人も私に同意するように、うんうんと大きく頷いている。
「なんでですか~!? 力作だったのにぃ」
「怪しい儀式絵でしかないだろ!」
そう事実を突きつけたにもかかわらず桜庭は「納得いきませぇん!」と、わめいている。
「私わぁ~! タコさんを広める活動をすることにしますぅ!」
訳の分からない決意表明を、全力でスルーする我々であった。
勢いよく言い切った桜庭は、勝手に「夏の風物詩」のイメージで頭の中が埋め尽くされてるらしく、満面の笑み。でも、よく考えてみて? 浴衣もかき氷も、なんならたこ焼きもこの世界には存在しているとは思えない。
「……浴衣って、あんた作れるの?」
冷静なツッコミを入れると、桜庭は一瞬だけ「あれ?」という顔をした挙句、
「え? タタラバさんが作れるのでわぁ?」
「なんで私なのよ!」
「えぇっ!? だってタタラバさん、裁縫できそうな顔じゃないですかぁ~!」
出来そうな顔ってどんな顔だよ。作れる前提なのが変だろ。
「出来るわけないでしょ! 何言ってんの」
「じゃあ~、浴衣が難しいなら、法被なんてどうですかぁ?」
切り替え早いな。と思った矢先、桜庭はすでに何かひらめいたらしく、指をくるくるさせながら言い出す。
「背中に絵を描いてですねぇ~! お祭りっぽく、ででーん! って!」
背中に絵? ででーん? たぶん今、桜庭の頭の中には怪しい構図が回ってる。祭りというより、なんか……別の戦い始まりそうなんですけど。
「でですねぇ~! かき氷はですねぇ~!」
気を取り直した桜庭が、語り始める。
「氷をゴロってセットして~、シャーシャーって刃が回って~、さくさくさくって削れて~! 器にふわっふわが落ちてくるんですぅ~! ぐぅるぐる~ってハンドル回すんですぅ~!」
全部、擬音。
その説明、戦闘魔法の使い方に聞こえるんだけど。
「で、たこ焼きはですねぇ~! 鉄板に丸い穴が並んでて~! くるっと焼いたら、まんまるのアツアツが完成ですぅ~!」
イメージは楽しそうだけど、道具や構造はまったく伝わってこない。
桜庭はそれに気づいていない。
「…………まったくわかんねぇ」
ヴィンセントさんが机の端から静かに言った。それだけで場が少し正気に戻った。ルークさんも腕を組んだまま、微動だにせず眉を顰めている。
「あ、じゃあですねぇ~! 絵に描いて説明しますぅ~!」
そう来たか。
やっと理解されなかったと判断した桜庭が、絵による説明に切り替えた。
紙の上に描かれたのは、氷山に刃が刺さった図。脇に『ぐぅるぐる!』『シャーシャー!』の文字。次の鉄板は球体の集合。さらに衣装図、法被は背中に炎? なのか、雷? なのか、怪しいミミズが数本縦に書かれており『雷』『気合』と文字が並んでいた。
描き終わったところで、ルークさんがぼそっと言った。
「……拷問具か?」
ノールさんも見下ろしながら
「封印装置にしか見えん」
と呟く。
「ちがいますぅ~! 楽しい機械ですぅ~!」
いや全然、楽しさが伝わってこない。
むしろ、ルークさんやノールさんの感想が正しいとさえ思う。
「ちょっと筆貸して」
私は謎絵を脇に寄せて、新しい紙を広げた。
「氷機は、氷固定台、回転刃、受け皿の深さ。ハンドル操作で削る調整」
「鉄板は、厚さを持たせた鉄板に均一な窪み。焼きムラ防止」
「衣装は……浴衣は無理。構造と布の確保ができない。なので──法被」
法被の寸法を描き、背中には――
雷ではなく、円をひとつ。ふたつの点。穏やかな弧。
「スマイルマーク。祭りらしく、柔らかく」
「タタラバスマイルですぅ~!」
「その命名、あんたが言うと呪われそうだわ」
図面が三枚。かき氷機。鉄板。法被。
だけど、それを作れる場所は、どこにもない。
「……この街じゃ無理だな」
ノールさんが紙を見たまま言う。
「職人の手が要る。機械も細工も……キーラの言ってるものが可能なのかどうか、まずはそこからだなぁ」
ルークさんもノールさんも、どうやら少しは考えてくれているようだ。なんていい人たちなの。桜庭の言うことなんぞスルーでいいにもかかわらず。
当の桜庭は、私が書き上げた図案をみて「わぁ~!」と言っている。
「ちょっと、微妙に違う点もありますがぁ~、だいたいタタラバさんが書いてくれた感じです~」
お前が言うな!
図面を見た、ルークさんたちはさっきよりは、まだ理解できたのか、小首を傾げながらもじっと図案を見つめていた。
「……で、この機械で何を作るんだ?」
ルークさんが、図面の端を指差した。静かな声だったが、紙の上に乗ったすべての線を、改めて浮かび上がらせた。
「えっとですねぇ~! まずはかき氷ですぅ~!」
桜庭が、わぁ~! と息を弾ませて答える。
「氷をシャーって削って~! ふわふわが落ちて~! その上に蜜をかけるんですぅ~! 甘くて冷たくて~! 見た目もかわいいんですよぉ~!」
「蜜……って、甘いやつか?」
ヴィンセントさんが紙の端に目を落としたまま、微笑を含んだ声で訊いた。
「そうですぅ~! 果物をぐつぐつ煮て、とろとろにした液体を冷やしてかけて~! あとですね~、果物をちょこんって乗せると~、めちゃくちゃ映えるんですぅ!」
「……ふむ。見た目と味は、悪くないかもしれないな」
ルークさんが低く呟いた。
目の端に、微かに『興味』の気配があった。
「で、たこ焼きはですねぇ~! この鉄板の穴に~! 生地を流して~! 中にタコを入れるんですぅ~!」
「……タコ?」
ヴィンセントさんが、紙から顔を上げる。
笑みを浮かべたまま、やっぱり少し首を傾げていた。
……仕方ない。どうせ誰も分かってないなら、図面の横に、作り方も描いておくしかない。私は新しい紙を広げ、筆を手に取った。
一番左に「かき氷」と書く。
その下に、手順と材料を並べた。
かき氷(冷たい甘味)
①氷を削って器に受ける
②上に蜜という甘い液体をかける
③果物を添えることで見た目も整う
④機械構造は隣図を参照
たこ焼き(焼き料理)
①粉を液体にして、生地にする
②鉄板の窪みに流し込む
③中にタコ(海の生物/細かく切る)を入れる
④串で回しながら焼く。丸く整える
⑤外が香ばしく、内は柔らかくなる
⑥できあがったものにソースをかける。
「法被は別紙参照」と添えて、紙をルークさん側に差し出した。
彼は黙って目を落とし、内容を追い始める。
横からそのレシピをみた桜庭は
「さすが多々良葉『先生』ですぅ~! 魔導書みたいです~」
と、言い出した。
「魔導書って何よ! レシピよ!」
しかも『先生』の所を強調しやがった。
「蜜って……果物を煮詰めた液体か。氷は削って受け皿に。ふむ……フルーツを添えて……ほう。爽やかな味になるな」
ノールさんがたこ焼き側の紙に顔を寄せた。
「火の通し方で食感が変わるな。……鉄板の配置が鍵か」
「そうですね。焼きムラを防ぐには厚みと窪みの間隔を揃える必要があります」
ヴィンセントさんは、タコの欄に目を落としたまま笑いながら呟いた。
「タコって……なんだ?」
その疑問に桜庭が「えぇ!? 知らないんですか!?」と言い出した。
「足が八本あって~! 吸盤がちゅるちゅるってついてて~! 大きめで、ぷにっとしてて~! 海の底でくるんって泳いでるんですよぉ~!」
両手をふわふわ動かしながら、タコの再現が始まった。
「かわいいですよぉ~! ちょっと大きいけど、切れば入りますぅ~! まるっとは無理ですけど、細かくして~、ぴゅって入れるんですぅ~!」
「あー、アレか。『海の悪魔』のことか?」
それを聞いたヴィンセントさんが、先ほどまでの笑みを消した。
「……ちょっと待て。それ、まるごとこの丸に突っ込むのか?」
ヴィンセントさんが思いきり、眉を寄せて訊く。
「えぇ!? そんなわけないですぅ~! 細かく切ってから入れるんですよぉ~!」
クスっと笑う桜庭だが、お前は笑える立場にないと言いたい。
謎の説明・謎絵。一切、何も届いていないのだから。
「……俺……。そのタコなんたら、無理かもぉ」
ヴィンセントさんはどうやら、タコが苦手? なようだ。
ルークさんが紙を見たまま、ぼそっと言った。
「でも、あいつ……漁に出れば、嫌ってほど獲れるぞ。誰も食わない。捨てるって話もあるくらいだ。だから、材料費で言えば、タコ代?は無料に近い」
「えぇ!? もったいないですぅ~! 美味しいのにぃ」
桜庭が声を上げる。
「まぁ、あの姿だけ見たら、食べようって気持ちにはならないのかもね」
私たちの居た世界でも、日本人みたいにタコを食べる国は昔では珍しかったと聞いた記憶もある。
「じゃあですねぇ~! 看板には~、タコサンマークを描きましょうぅ~!」
いきなりまた、謎のお絵かきが始まった。
私が筆を押さえる前に、桜庭は紙に向かって描き始めた。
描かれたタコサンは、八本足のうち五本が空中に跳ねていて、三本は頭に刺さっていた。吸盤は異様に大きく、まるで謎の棒から怪しいものを出しているようだ。タコの口とおぼしき箇所はなぜか笑ってて、歯が細かく書いてある。目らしきものに至っては、呪われるんじゃ……?というくらい真っ黒に塗りつぶされていて、真ん中だけ☆マークが書いてあった。
間違いない。これは呪物だ。しかも特級の。
「頼むからやめて……」
私は筆を取り上げ、紙を裏返した。
他の三人も私に同意するように、うんうんと大きく頷いている。
「なんでですか~!? 力作だったのにぃ」
「怪しい儀式絵でしかないだろ!」
そう事実を突きつけたにもかかわらず桜庭は「納得いきませぇん!」と、わめいている。
「私わぁ~! タコさんを広める活動をすることにしますぅ!」
訳の分からない決意表明を、全力でスルーする我々であった。
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