僕が転生した世界で、前世の恋人が元ストーカー男と婚約していたので、命がけで阻止します。

悠木菓子

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 13、恋バナ

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 翌日の放課後。
 ヴァイスは中庭に来るよう、呼び出された。

「おーそーいー」
 そう言った人物はベンチに座り、腕を組んでムスッとしている。
 ヴァイスはため息をつく。
「遅くありません。放課後は僕にとって、貴重な時間なのですが」
「あれ?留学のこと、まだ怒ってる?」
「怒ってません」

 ヴァイスを呼び出したのは、二年特進クラスのランドホークという男子生徒だ。
 肩まであるサラサラな金髪は、パツンと切り揃えられている。
 大きな紫色の瞳は美しくも、全体的に幼さを感じさせる。
 ランドホークはこの国の第二王子で、ヴァイスが隣国に留学する原因を作った張本人である。
 人懐こく人気者で、王族であることを誇示しない性格だ。
 小柄でありながら、存在感は大きい。
 
 ヴァイスはランドホークの隣に腰を下ろす。
「今日はどのようなご用件で?」
 と尋ねると、ランドホークは瞳を輝かせる。
「恋バナがしたい!」

 これまでにも何度か呼び出されているが、大抵恋愛の話になる。
 といっても、ランドホークが一方的に話をするのだが。

 ヴァイスはため息をつき、遠い目をする。
「・・・帰りたい」
「おい!相変わらず正直なやつだな。全く、お前といいタリダルといい、トリガーの男たちはつれないな!」
 どうやら、父親のタリダルも同じような態度をとっているらしい。

 ヴァイスは仕方なく相手をする。
「また、殿下の惚気話でもお聞きすればよろしいですか?」
 ランドホークはニヤリと笑う。
「今日は僕の話じゃなくて、お前の話が聞きたいの!熱を上げている令嬢がいるそうだな?」
「・・・それが何か?」

 ランドホークの話によると、昨日の一件はすでに噂になっているという。
 それ以前からも、ルナントフの束縛や、ヴァイスとリフィアの図書室デートは目撃されている。
 物語のような三角関係に学園の生徒たちは興味津々で、ランドホークもその内の一人だ。

「みなさん、暇なんですね」
 ヴァイスはなかなか惚気ない。
 それでもランドホークは質問を続ける。
「オルドリー嬢ってどんな子なの?遠くから見たことはあるんだけど」 
「この世で一番可愛い女性です」

 すると、ヴァイスはリフィアの性格や可愛いところなど、これでもかというくらい熱く語り始めた。
 こんなにも饒舌なヴァイスを見るのは初めてで、惚気まくるその姿に、ランドホークは若干引き気味に見つめる。

「お前、重症だな」
 ヴァイスは微笑む。
「お褒めいただき、光栄です」
「褒めてないっ!」

 ヴァイスはランドホークのことが嫌いではないが、どのように接していいのかよくわからない。
 初めて会ったのは転入してからで、留学の件以外では特に接点がない。
 素っ気ない態度をとっているのだが、なぜか懐かれている。

「恋愛結婚っていいなー」
「?」
 ランドホークには婚約者がいて相思相愛だ。
 充分、恋愛と言えるるだろう。
「婚約者様と大変仲睦まじいではないですか」
「そうだけど・・・僕は一応、政略的な婚約だから。なんていうか、お前みたいに自分で相手を見つけるのって憧れがあるんだよ。とはいっても、僕は彼女が大好きだけどね!」
 そう言って、デレっと笑った。

 そして盛大に惚気始めるが、ヴァイスは何度も聞いた話なので聞き流す。
 ランドホークのように、決められた相手だとしても、障害のない恋愛を少し羨ましく思う。
 正直、自分の恋愛は複雑だ。
 転生や前世の記憶、愛する人には婚約者がいる・・・他人にはとても理解してもらえない要素が絡んでいる。
 だからといって、リフィアを諦めることはできない。
 
 少し前までデレていたランドホークは、真面目に問う。
「お前、どうするつもり?婚約者がいる女性だぞ」
 そう言われて、少し考え込む。

「僕はリフィアとルナントフの婚約を解消させます。どんな手を使ってでも」
「えっ、かっこいい~。惚れそうだ」
 ランドホークはからかい半分に言った。
 こういう冗談をよく言われるが、ヴァイスは真面目に答える。
「申し訳ございません。惚れられても、僕はリフィア一筋なので」
「・・・知ってるよ」

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