ビヨンド オブリヴィオン / BEYOND OBLIVION

蓮田 希玲

文字の大きさ
7 / 25
CHAPTER1

Episode 5 / 鏡面の私

しおりを挟む
「あの人って……」

 ジェスターの背景に見えたのは、壁にかけられた写真。彼を挟むように、二人の女性が映っている。左には彼より少し背の低い、肩まで伸ばした金髪の綺麗な人。右には私と同じくらいの子が、とびっきりの笑顔でポーズをとっている。ジェスターはひまわりみたいに明るい表情だ。芝生の向こうには一階建ての家がうっすらと見える。木も生い茂っていて、透けた黄緑の葉が点描のようだ。

「ああ、これか?俺の家族だ。あの二人は今、都に行ってる。……あっちで色々頑張ってる」
「みやこ?」

 ジェスターは写真の二人に目を合わせながら言った。 車の中で話している時、彼の目を見ていると、どこか誰かを待っているような、そんな感じがしていた。この二人のことを考えていたのだろうか。

「まあまた今度見せてやる。海沿いに行けば見えるからな。いい眺めだ。お城はいつ見ても、びっくりするよ」
「楽しみ」

 ここが海の近くだと知って不思議と嬉しくなった。いつでも行けるならもっといい。私の中には何も残っていないと思っていたけれど、海のあの心地良さは知っている。さざなみの音が想像できる。都という場所は海沿いか、それとも海の向こうにあるのだろうか。お城というのも気になる。

 洗面所にいた錆び猫が静かに歩いてきた。こっちを向いて鳴く。

「風呂が沸いたようだな。そいつ、すげえだろ?」
「教えてくれるの?偉いね~」

 しゃがみこんで撫でてみた。スっとしてしなやかな毛並みに長いしっぽ。首の裏側が好きみたいだ。目を瞑ってゴロゴロと喉を鳴らしながら首筋を伸ばしている。撫で続けているとしっぽを上に立てた。ごきげんみたいだ。

「名前は?」
「あー、つけてない」
「……えぇ?かわいそう」
「いつの間にかここに住み込んでるんだ……」
「私みたいね」

 相変わらず奇妙なことばっかりの家、ここにいるのもやっぱり落ち着かない気もしつつ、「さっきまんまるになってたから、マルちゃん、どう?」と咄嗟に思いついたから言ってみた。

「あ、安直な……まあいいさ。名前のありがたみは、お前の方が知ってるかもな」

 私の目を見て、にゃーと鳴いてくれる。すごく愛おしい。

「いつからいるの?」
「二、三年前か……?」
「え、なんて呼んでたの?」
「猫。……二階から着替え取ってくる。妻のか娘のか、もう長く着てないのが結構置いてあるから」
「あ、ありがとう」

 ジェスターが持ってきてくれた湯浴みに着替え、風呂場のドアを開けると、大広間みたいに音が響いて驚いた。床は冷たい石でできていて、足裏がキンとする。それでもお腹から上は湯気で温められて、変な感じだ。

 ツヤのある木製の湯船に、暖かいお湯が海みたいに溜まっていた。体を数回流して、ゆっくり慎重に入ってみる。足先がびっくりして声が出そうになりながらも、誰かの眠りを妨げないような感じで、自分の体を沈めていく。少し熱い。でも、痛い熱さじゃない。まるでお湯が生きているみたいに撫でてくる。

 なんとも言えない心地良さから、ふぅ、と一息つく。じんとくる熱が筋肉痛か、こわばったところをほぐしてくれるような感じがする。さらさらとしたお湯のおかげか、肌にもツヤが出ている。すこし花の香りも漂っている。力を抜いて頭を縁に任せて天井を見ると、白い湯気が雲のようになっていた。

「湯加減はどうだー」と扉の奥から張った声が聞こえた。

「ちょうどいいー」
「そりゃよかった」

 心の内側まで洗われる。やはり雨のぬるま湯のような感じと、体に吸い付いてくる服ときたら、気分が悪くなるものだった。

 自分の手、足、体。お湯の揺れに答えるように、温かい波を感じる。自分で動かしてるんだ、と思う。両手ですくって顔にかけると、ほんの一瞬の温もりのあとにじわじわと冷えていく。こんなにお湯に浸かっているのにも関わらず、寒く感じて首も沈めた。擦りむいた膝は、浸した時にはチクリと痛んだが、次第にそれも誤魔化されていく。

 それにしても、あの怪物はなんだったんだろう。とても自然に生きているものとは思えない。そんなものが街の廃墟をさまよっているのもおかしい。ジェスターの言っていた花だとか魔法だとか。こんなところで本当に生きていける?私は結局、誰なのか。一時でも忘れたい悩みだけど、これしか考えることが無い。

 本当はみんな、明日何しようとか、昨日どこどこ行ったね、楽しかったね、と思いを馳せるのだろうけど。私にはそれがない。じっと、お湯の表面にできた分裂する泡を見ながら、口でぶくぶくと泡をさらに作る。私を取り戻す魔法とか、ないのだろうか。取り戻しても、取り戻した後、何をするんだろうか。

 ジェスターに教えてもらった通り、瓶の蓋をそっと開ける。中から淡い花の香りが広がって、湯気の中に溶けていった。手のひらに落とした透明な液体を、指の腹でゆっくりと髪に馴染ませると、それが泡立っていく。ぬるりとした感触が、頭の奥まで染み込んでいくようで不思議だ。

 鏡に映っている自分の顔かもしれないものを見ながら、シャワーを使って流す。これが自分、これが自分、と言い聞かせる。思っていたより自分の髪は長い。結んでいたから気が付かなかった。

 苔をこそげ落とした石みたいにさっぱりとした。全身の水分を拭き取って、ちょっとした寒さを感じつつ、用意されたオーバーサイズな無地の服を着る。風呂場から出て、タオルで顔をしっかり拭く。

 私。私と目が合う。洗面台の鏡。本当に自分の顔なんだ。目を瞑る瞬間に、まぶたが同時に降りるのが見える。猫みたいな目。水たまりで見たのと同じ。口に手を当てる。鏡に映る彼女も、唇に指を滑らせる。髪をよけるのも真似してくる。何から何まで、全部真似。

「ねえ、どこから来たの?」と鏡に向かって話しかけてしまう。何があってここに来てしまったのか。

 ここが嫌なわけじゃない。でも、私だけがこんな目に遭わなければならなかった理由は何だろうか。ジェスターにとって、本当に私は迷惑じゃないのか。あれは彼なりに無理しているんじゃないか。私があそこにいなければ、ベルジは大変な思いをせず済んだかもしれない。ああ、全く洗い流せていない。全部流してしまいたい。

 悔しい。目尻から何かが滑り落ちて、洗面台に滴る音がした。

 目を開けてから、周りの音が聞こえなくなった。耳鳴りかもしれない。分からない。

 涙が落ちたところに、あの怪物と同じような黒があった。

 一輪の蓮のような花。

 息が苦しくなる。とんでもないものを自分は出してしまったのだろうか。ジェスターの言っていたことを思い出す。恐怖などが怪物を呼び寄せてしまうということ。おかしい。分からない。自分の目が勝手に閉じていく。それは嫌気からくるようなものだった。喉と指先の震えが襲う――

 鏡に向かってそれを放ってしまったんだろう。凄まじい轟音で、洗面所が瞬時に氷の部屋になってしまった。

 寒い。せっかくお風呂用意してくれたのに。せっかく、私のために。ガラスの破片が飛び散っている。映っていた自分の顔が分裂している。私は小さくなって頭を覆い隠す。たくさんの私が泣いている。

「アヴァ!?アヴァ!」

 ドアは氷で固められてしまっていた。向こうでジェスターが私の名前を呼びながら、激しく叩いている。ひび割れていくのは分かるが、ビクともしていない。

 部屋はだんだん冷たくなっていく。結晶が生気を吸い取るように見えた。白い息。詰まりそう。誰かここから出して――

 ドアから小さな熱を感じた。氷が水みたいに弾けながら塵になっていく。何度も何度も蹴って、ついにこじ開けられた。ジェスターはすぐに私を見た。こんな有様、こんなことをしてしまった私を見て欲しくなかった。怒られるのではないかとも思った。そんなことはなかった。

「ああぁ、アヴァお前ってやつは……!」

 ジェスター震えた声で言いながら、駆けつけて私を抱きしめた。頭に手を当てて撫でてくれた。彼の顔が見れない。でも手が震えているのが分かる。寒さからじゃないと思う。背中をさすってくれる。汚れを落とすようにそっと。毛布もかけてくれた。
 鼻のあたりがけいれんしている。大きく泣いた後の余韻みたいだ。

「私なんでこうなっちゃうんだろ……」
「いいか、落ち着くんだ。深呼吸だ。何も、考えるな」

 マルが廊下から頭を傾けてこっちを見ていた。表情はないはずだけれど、心配してくれているようだった。ジェスターはゆっくりと背中をさすり続けた。

 だんだんと、息が整ってきた。辺りを見る。洗面台には尖った氷が突き刺さっているように見えた。そこを起点として、部屋全体が青い膜で覆われている。ひっきりなしにヒビの入る音が、カタカタとあちこちから聞こえてくる。

「ごめんなさい……」息を吸ってなんとか口に出す。

「いいんだ。頑張ったな」
「私やっぱり、ひとりが怖いの」

 彼の息が詰まった。どこかを見ている。口を開けて――背中に置いた手に力が入っている。

「……ちょっと、ジェスター?」
「これは……キッツいな……ははは……」
「聞こえるの?」
「痛いほどな、よしよし落ち着け」

 ジェスターの手の温もりが増していく。いつしか部屋全体、元通りになっていた。壊れたものは戻らなかった。鏡は粉々、洗面台はぐちゃぐちゃ。ランプも目を覚ましたように点滅しながら細々とした光を灯した。

 自分のことを意識しだすと、取り乱してしまう。本当はみんな分かっているはずのこと、知っていて当然のことさえ私には無いのだ。魔法なのかなんなのか分からないこの氷だって、制御できないし、頭を狂わせるような暗い言葉や妄想が繰り返される。この捨てられたような気持ちはなんだろう。

「変な……変な花が出てきた。ねえなんなのか教えて」

 私の涙から現れた、黒く染まった蓮の花。濃い青の光を仄かに放っている。ジェスターは二度見をしたようだった。顎が外れたように口を開けている。

「なんだこの……」

 よく知らないけれど、驚くのにも納得ができた。彼の言っていた花っていうのも、このことなんだろう。こんな色の花が普通なわけない。よく考えなくても察しがつく。それくらいに、禍々しい。

「とりあえずリビングに戻ろうか。体も冷えてる」
「ほんと……ごめんなさい」

 じっと見ていると、涙から咲いた花はだんだん砂のように粉々になって、形を無くしていった。あの氷が出た瞬間、出た後、聞こえた人の声。よく聞き取れなかったけれど、それは絶対に泣いている。

 ベルジが使ってはいけないと言っていた。氷は、何らかの形で良くないものを呼び寄せてしまうのかもしれない。それから、それが私の頭の中をぐちゃぐちゃにするんだ。あの時に彼は気づいてくれていたんだ。

 リビングは目を休ませてくれる色で満たされていた。温かい。ふわふわの毛布がより優しく包んでくれる。

「ふぅ。派手にやったな。まあ、仕方ない」
「私あんなことしたのに。怒らないの?」
「まあ、仕方ないからな」
「なにか知ってるの?」

 ジェスターは手を前に出して、空気をそっと掴むような合図をした。するとマッチ棒の火がつくように、煌びやかな光の粉を出しながら淡く光る赤い花が現れた。私とは違って、黒いところがひとつとして無さそうに見える。

「それ……!綺麗……」
「俺のだ。形見?みたいな。人を象徴する花なんだ」

 グッと服の袖を掴んだまま、必死に彼の言っていることをよく理解しようとする。私のあの花が自分を象徴――私のどこがあんな様子にしているんだろう。

「あの氷……なんなの?よくない考えとか、いろいろ浮かんでくるの。嫌になるくらい」
「あれは魔法だよアヴァ。お前の。良くないものが流れてくる感じがするだろ?」
「うん……ベルジくんも言ってたね」
「自分の魔法に負けるとさっきみたいになるんだ。余計なこと考えなかったか?」
「顔はじめて見てさ、私ほんとに私なのか、分かんなくて」
「そうか……俺にはどんな気持ちか想像つかねえな……。でも、お前はちゃんと、お前だ。ここにいるぞ」
「ありがとう。……鏡に写ってたのは、本当に私なの?」
「どうして?」
「だって、よく分からないものに、よく分からない氷。よく分からない所に、よく分からない自分……!気持ち悪い生き物も、花も、魔法なんて、ぜんぶよく分からない。私は、自分の目さえ信じられないんだよ……?ジェスターは、ほんとに私の事知らないの……?知っててこんなことしてる?だったらどうして私のこと素直に……!」
「落ち着け」
「落ち着いてる……もん」

 自分ではそのつもりだった。頬が麻痺でもしていたのかもしれない。色のついた氷の粒が床に落ちている。

「お前の目がどんなふうに、ここを見ているか分からない。でも俺もベルジも、ちゃんとお前のこと、見てたし、一緒に歩いただろう?俺はお前の妄想か?ベルジも?」
「いや……ちがう」
「そうだろう?全部を疑いたくなるかもしれないが、キリがないぞ」
「じゃあ、どうすればいい……?」
「うーん。じゃあ明日、病院に行ってみないか。いろいろ体のこととか、精神面のことも診てもらえる。俺もそこまで花に詳しいわけじゃない。記憶喪失と関係してるか、知りたくないか?」

 私は頷いた。前に進めることはとことんやるべきだと思った。逃げられない現実に背いていても、苦しい毎日が続くだけだろうから。もっと勇気が必要だ。すぐにそれは芽生えないだろう。自分の魔法と戦わなくてはならない。自分の弱みに付け込んでくる、氷の魔法と花と。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~

志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。 政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。 社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。 ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。 ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。 一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。 リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。 ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。 そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。 王家までも巻き込んだその作戦とは……。 他サイトでも掲載中です。 コメントありがとうございます。 タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。 必ず完結させますので、よろしくお願いします。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

処理中です...