文字サイズ
小
中
大
特大
410 / 438
第14章 風の残像
第410話 祭壇の解放
金色の柱に刻まれた手順を、久遠が読み上げた。
久遠が読み上げるあいだに、こよいは柱の森の中央へ進み、そこに鎮座する黒い祭壇の前に立っていた。黒曜石のように滑らかな表面に、こよい自身の顔が映り込んでいる。映っているのは自分の顔だけではなかった。笑顔、涙、怒り、祈り——封じ込められた神々が最後に見せた表情の残像が、こよいの顔の上に重なっていた。
手を伸ばした。
指先が祭壇に触れた瞬間、声が流れ込んできた。
記録ではなかった。生きていた神々の声だった。霊核を削られながらも、最後まで人間を愛そうとした声。雨を降らせたかった。風を穏やかに吹かせたかった。大地を実らせたかった。一柱ずつ、こよいの中を通過していく。
山の神がいた。麓の村を土砂崩れから守り続けた記録。川の神がいた。夏の日に子どもたちが浅瀬で泳ぐのを見守り続けた記録。風の神がいた。旅人の背中をそっと押して、次の宿場町まで導いた記録。
どれも、感情を切り離され、数値だけが残っていた。
こよいの膝が崩れかけた。情報の量が、これまでの旅で経験したどんな霊的接触をも超えていた。意識が途切れそうになるたびに、巾着の中の神々が温かく脈打ち、心臓と同じリズムで鼓動することで、辛うじて正気を保たせてくれた。
手を離さなかった。
この声を聞かなければならない。この痛みを知らなければならない。こよいは神雧の旅人であり、記憶を受け止めることが、与えられた役割だった。
背後で、あさひの剣が影を薙ぎ払う音が響いていた。鋼が闇を裂くたびに火花が散り、柱の表面を一瞬だけ照らした。祭壇に近づこうとする影の群れを、あさひが一人で食い止めている。振り返る余裕はなかった。
久遠が義眼を限界まで開いた。祭壇の奥から浮かび上がる暗号を、一つ残らず読み取ろうとしている。煤のような涙が頬を伝い、それを拭おうともしなかった。
「見つけた」
久遠の声が低く響いた。
「この祭壇の核に、楔がある。神々の自由を物理的に閉じ込めた結晶だ。この墓場の全ての柱が、この一点に繋がっている」
こよいの掌の下で、祭壇が震えた。楔が応えている。
「壊すのか」
あさひが影を薙ぎ払いながら訊いた。
「壊すんじゃない。緩める。一気に壊せば、ここに封じ込められた記録が暴流になって三人とも呑まれる。楔を一段だけ緩めて、封印の圧力を下げる」
久遠が目録を祭壇の横に置いた。頁が風もないのに開き、金色の柱から読み取った手順が蒼い光で浮かび上がった。
「こよい。巾着を祭壇に近づけろ。名前たちの脈動が、楔の周波数を変える」
おたまが祭壇の周囲を一周し、影の群れが湧く三箇所で小鈴を鳴らした。あさひは音を合図に剣を振り、こよいの背へ届く前に影を断つ。久遠が楔を読む時間は、その小さな警報によって稼がれた。
こよいは巾着を祭壇の上に置いた。布越しに、中の名前たちが震えるのを感じた。恐怖ではなかった。共鳴だった。封じ込められた名前たちと、巾着の中の名前たちが、同じ周波数で脈を打ち始めた。
祭壇の表面に亀裂が走った。一本。細い。そこから、温もりのある風が漏れ出した。
風は柱の森を吹き抜け、柱に刻まれた末期の言葉を揺らした。「帰りたかった」という振動が、ほんの少しだけ変わった。
「帰れるかもしれない」
変わったのは語尾だけだった。けれどその一音の差が、墓場の空気を確かに変えた。
灰色だった柱の一本に、山の緑が一筋だけ戻った。別の柱には川面の青、もう一本には夕暮れの風の色。完全な解放ではない。それでも、数値へ削られた記録が、自分の景色を思い出し始めていた。
あさひが影の最後の一体を薙ぎ払い、剣を地面に突き立てて息を整えた。
「全部は開かなかったぞ」
「全部は開けない。今日はこの一箇所だけだ」
久遠が目録を拾い上げた。祭壇の亀裂から漏れる風が、頁の端を揺らしている。
「だが手順は分かった。楔の構造が読めた。次に同じものに出会ったとき、もっと早く緩められる」
こよいは巾着を祭壇から持ち上げた。名前たちの脈動が、さっきより少しだけ強くなっている。封じ込められた名前たちの脈が、巾着の中の名前たちに乗り移ったように。
祭壇の亀裂から漏れる風は、まだ温かかった。
一箇所。たった一箇所の亀裂。それでも、柱の森の温度が変わった。こよいの頬に触れる空気が、ほんのわずかだけ生きている側に傾いていた。
三人は柱の森を抜けた。背後で、末期の声がまだ擦れ合っている。けれどその中に、一音だけ違う響きが混じっていた。
帰れるかもしれない。
風がこよいの髪を揺らした。亀裂から漏れ出した温もりが、柱の森の冷たい空気を少しだけ和らげている。その風を頬に受けながら、こよいは一音の変化を胸の奥に刻んだ。
その一音が、こよいの胸の中で小さく灯り続けていた。
名もなき歌の一音は、消えなかった。誰かが口ずさんだ旋律の切れ端は、歌った者が忘れても、聴いた者の胸で灯り続ける。こよいは、その温もりを消さないように、そっと息を殺した。
消えない歌が一つあれば、それを頼りに、次の名前も見つけられる気がした。
久遠が読み上げるあいだに、こよいは柱の森の中央へ進み、そこに鎮座する黒い祭壇の前に立っていた。黒曜石のように滑らかな表面に、こよい自身の顔が映り込んでいる。映っているのは自分の顔だけではなかった。笑顔、涙、怒り、祈り——封じ込められた神々が最後に見せた表情の残像が、こよいの顔の上に重なっていた。
手を伸ばした。
指先が祭壇に触れた瞬間、声が流れ込んできた。
記録ではなかった。生きていた神々の声だった。霊核を削られながらも、最後まで人間を愛そうとした声。雨を降らせたかった。風を穏やかに吹かせたかった。大地を実らせたかった。一柱ずつ、こよいの中を通過していく。
山の神がいた。麓の村を土砂崩れから守り続けた記録。川の神がいた。夏の日に子どもたちが浅瀬で泳ぐのを見守り続けた記録。風の神がいた。旅人の背中をそっと押して、次の宿場町まで導いた記録。
どれも、感情を切り離され、数値だけが残っていた。
こよいの膝が崩れかけた。情報の量が、これまでの旅で経験したどんな霊的接触をも超えていた。意識が途切れそうになるたびに、巾着の中の神々が温かく脈打ち、心臓と同じリズムで鼓動することで、辛うじて正気を保たせてくれた。
手を離さなかった。
この声を聞かなければならない。この痛みを知らなければならない。こよいは神雧の旅人であり、記憶を受け止めることが、与えられた役割だった。
背後で、あさひの剣が影を薙ぎ払う音が響いていた。鋼が闇を裂くたびに火花が散り、柱の表面を一瞬だけ照らした。祭壇に近づこうとする影の群れを、あさひが一人で食い止めている。振り返る余裕はなかった。
久遠が義眼を限界まで開いた。祭壇の奥から浮かび上がる暗号を、一つ残らず読み取ろうとしている。煤のような涙が頬を伝い、それを拭おうともしなかった。
「見つけた」
久遠の声が低く響いた。
「この祭壇の核に、楔がある。神々の自由を物理的に閉じ込めた結晶だ。この墓場の全ての柱が、この一点に繋がっている」
こよいの掌の下で、祭壇が震えた。楔が応えている。
「壊すのか」
あさひが影を薙ぎ払いながら訊いた。
「壊すんじゃない。緩める。一気に壊せば、ここに封じ込められた記録が暴流になって三人とも呑まれる。楔を一段だけ緩めて、封印の圧力を下げる」
久遠が目録を祭壇の横に置いた。頁が風もないのに開き、金色の柱から読み取った手順が蒼い光で浮かび上がった。
「こよい。巾着を祭壇に近づけろ。名前たちの脈動が、楔の周波数を変える」
おたまが祭壇の周囲を一周し、影の群れが湧く三箇所で小鈴を鳴らした。あさひは音を合図に剣を振り、こよいの背へ届く前に影を断つ。久遠が楔を読む時間は、その小さな警報によって稼がれた。
こよいは巾着を祭壇の上に置いた。布越しに、中の名前たちが震えるのを感じた。恐怖ではなかった。共鳴だった。封じ込められた名前たちと、巾着の中の名前たちが、同じ周波数で脈を打ち始めた。
祭壇の表面に亀裂が走った。一本。細い。そこから、温もりのある風が漏れ出した。
風は柱の森を吹き抜け、柱に刻まれた末期の言葉を揺らした。「帰りたかった」という振動が、ほんの少しだけ変わった。
「帰れるかもしれない」
変わったのは語尾だけだった。けれどその一音の差が、墓場の空気を確かに変えた。
灰色だった柱の一本に、山の緑が一筋だけ戻った。別の柱には川面の青、もう一本には夕暮れの風の色。完全な解放ではない。それでも、数値へ削られた記録が、自分の景色を思い出し始めていた。
あさひが影の最後の一体を薙ぎ払い、剣を地面に突き立てて息を整えた。
「全部は開かなかったぞ」
「全部は開けない。今日はこの一箇所だけだ」
久遠が目録を拾い上げた。祭壇の亀裂から漏れる風が、頁の端を揺らしている。
「だが手順は分かった。楔の構造が読めた。次に同じものに出会ったとき、もっと早く緩められる」
こよいは巾着を祭壇から持ち上げた。名前たちの脈動が、さっきより少しだけ強くなっている。封じ込められた名前たちの脈が、巾着の中の名前たちに乗り移ったように。
祭壇の亀裂から漏れる風は、まだ温かかった。
一箇所。たった一箇所の亀裂。それでも、柱の森の温度が変わった。こよいの頬に触れる空気が、ほんのわずかだけ生きている側に傾いていた。
三人は柱の森を抜けた。背後で、末期の声がまだ擦れ合っている。けれどその中に、一音だけ違う響きが混じっていた。
帰れるかもしれない。
風がこよいの髪を揺らした。亀裂から漏れ出した温もりが、柱の森の冷たい空気を少しだけ和らげている。その風を頬に受けながら、こよいは一音の変化を胸の奥に刻んだ。
その一音が、こよいの胸の中で小さく灯り続けていた。
名もなき歌の一音は、消えなかった。誰かが口ずさんだ旋律の切れ端は、歌った者が忘れても、聴いた者の胸で灯り続ける。こよいは、その温もりを消さないように、そっと息を殺した。
消えない歌が一つあれば、それを頼りに、次の名前も見つけられる気がした。
感想 0
あなたにおすすめの小説
VRMMO転移したら小間使いでした
現実ではいじめられ、家にも居場所がない高校生・井上真。
唯一の逃げ場は、VRMMO《Sanctuary Life》で自分が作った“理想の自分”──
長身イケメンで世界一の商会長《カルロ》として生きる時間だった。
しかし、現実で追い詰められた末に命を絶った真が目を覚ますと、
そこはまさかの《Sanctuary Life》の世界。
しかも転生したのはカルロではなく──
カルロ商会の小間使い《マルコ》だった。
自作アバターにこき使われる毎日。
理想の自分の足元で荷物を運び、怒られ、褒められ、振り回される。
屈辱と戸惑いの中で始まった異世界生活は、
なぜか“商人としての才能”を少しずつ開花させていく。
帳簿の異常、横領の兆候、輸送ルートの欠陥──
誰も気づかない問題を次々と見抜くマルコは、
やがてカルロから「右腕」に指名され、
商会争奪戦の鍵を握る存在へと成長していく。
理想の自分の下っ端から始まる、
商会×成長×VRMMO転移のライトファンタジー。
自信ゼロの少年が、異世界で“自分の価値”を見つけていく物語。
推しの救助費は六千万円。払えるわけない限界無職女は100均ホウキ一本で女性アイドル配信者を助けに行く
田中紅亜(くれあ)が愛する推しの女性アイドル配信者が、ダンジョンで襲われた。
食人植物に全身を拘束され、精神を保てるのはあと十日。だけど警察は動いてくれない。民間の救助費用は六千万円。無職の紅亜に払えるはずがない。
だから紅亜は、自分で助けに行くことにした。
持っていくのは、100円ショップのホウキとチリトリ。
ブラック飲食店で心を壊した紅亜は、ご先祖さまが支配する「六畳間ダンジョン」に居候し、家賃代わりに毎日掃除をしていた。濃い瘴気の汚れや巨大な虫を片づけ続けるうちに、自分でも知らないまま規格外の強さを身につけていたのだ。
酒を愛する限界無職女が、推しを無事に連れて帰るため、死のダンジョンへ殴り込む。
そして助けた女たちから、なぜか次々と重すぎる愛を向けられ――救えば救うほど、紅亜を頂点とする百合ピラミッドが築かれていく。
無自覚最強×ダンジョン救助×ガールズラブ。
※欠損を含む強めの残酷描写があります。
『最強クラフトスキルとネットスーパーで、追放された二人は異世界村を成り上げる』
物語のあらすじ
高校生・綾瀬蛍(あやせ ほたる)は、どこにでもいる普通の少年だった。
ある日、蛍が通う高校の教室に、突如として巨大な魔法陣が出現する。
クラスメイト全員が召喚された先は、剣と魔法、魔物が存在する異世界。
そこでは、魔王の脅威に対抗するため、異世界から勇者を召喚したという。
召喚された生徒たちは、一人ずつ自分の持つスキルを鑑定されていく。
剣聖。
聖女。
大魔導士。
英雄の加護。
次々と強力なスキルが判明し、クラスメイトたちは歓声に包まれていた。
そんな中、蛍に与えられたスキルは――。
《クラフト》
武器、防具、道具、建築物。
素材と知識さえあれば、あらゆるものを作り出せる最強の生産スキルだった。
しかし、その真価を知らない王国の人々にとっては、戦闘能力のない役立たずにしか見えなかった。
そして、もう一人。
蛍の隣にいた金髪ギャル、天空寺奏(てんくうじ かなで)。
彼女に与えられたスキルは――。
《ネットスーパー》
異世界にいながら、日本のネットスーパーから食料品や日用品を購入できる能力。
現代の食べ物や便利な生活用品を取り寄せられるが、やはり直接戦う力はない。
王国は二人を勇者として扱う価値がないと判断する。
「戦えないスキルしか持たぬ者を、王都に置いておく必要はない」
こうして蛍と奏は、クラスメイトたちからも離され、王国の辺境へと追放されてしまう。
しかし、それは二人にとって不幸の始まりではなかった。
むしろ――。
誰にも縛られず、自分たちの力で生きていくための始まりだった。
追放先で二人が辿り着いたのは、魔物の脅威と貧困に苦しむ小さな村。
家は壊れ、畑は荒れ、食料も不足している。
村人たちは、王都から見捨てられた自分たちと同じような境遇にあった。
蛍はクラフトスキルで家を建て、農具を作り、村の生活を変えていく。
奏はネットスーパーで食料や生活用品を取り寄せ、村に新たな食文化と便利な暮らしをもたらしていく。
やがて二人の周りには、個性豊かな村人や獣人、冒険者たちが集まり始める。
荒れ果てた辺境の村は、少しずつ活気を取り戻していく。
そしていつしか――。
「この村を、世界一住みやすい場所にしよう!」
最強のクラフトスキルを持つ少年と、ネットスーパーを使う金髪ギャル。
戦闘向きではないと追放された二人が、異世界の片隅で始める、ものづくりと買い物、そして恋の成り上がりスローライフ。
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
『定年まであと5年だった俺、異世界では役立たずらしい ~魔法も剣も使えない60歳なのに、なぜか美人上司が現場へ連れていきたがります~』
定年まであと5年だった60歳の会社員・高瀬修司は、工場で若い作業者を助け、事故で命を落とした。
目を覚ますと、そこは魔法と不思議な鉱石「蒼晶石」が存在する異世界。
しかし修司には魔力も、勇者のような力もない。おまけに若返ってすらいなかった。
「こんな老人を、何に使えというのだ」
そう言い放ったのは、銀髪の美人上司・レティシア。
俺にあるのは、37年間、工場の現場を歩いて身につけた経験だけ。
危険な場所には近づかない。異常があれば止める。分からないものには手を出さない。
だが、事故が当たり前のこの世界では、そんな「当たり前」が人の命を救っていく。
やがて修司は、127人が忽然と消えた第三鉱山の調査に同行することになる。
行くたびに姿を変える坑道。青く光る蒼晶石。そして、修司にだけ届く謎の声。
――コイ。
ただの鉱山事故ではない。
その異変は、修司がこの世界へ召喚された理由にもつながっていた。
特別な力なんてなくても、37年の現場経験なら誰かを救える。
役立たず扱いされた60歳の男が、銀髪の上司や仲間たちと人命を救いながら、異世界の謎へ迫っていく――異世界お仕事×救助×ミステリーファンタジー。
思念伝道師─消えた者の消えない願い─
思念伝道師─消えた者の消えない願い─
届けたい想い。
言えなかった想い。
隠したい想い。
知られたくない想い。
死者の遺した、最後の願い。
その願いは、時に生きる者の運命さえ変えてしまう。
死者の『思念』を、生きる者へ届ける旅人──思念伝道師ヴェルシアン。
最強の元騎士グランツ、銀の巨狼ゼルとともに、彼は行き場を失った死者の声を探し、世界を巡る。
「私は彼の墓を暴きますよ」
「やめろ……やめてくれ!」
彼はただ、“死者の想いを届ける”だけ。
それなのに、人は戸惑い、迷い、自ら運命の舵を切り始める。
届けられた真実は、人を救う。
だが時には、「知らない方が幸せだった」と、生者の心さえ壊してしまう。
そんなヴェルシアンを、死者の思念を禁じるアステル教会は"異端"として追い続けていた。
さらに、遺品だけを狙う世界最大の盗賊団《竜の羽》もまた、彼の旅に影を落とし始める。
なぜ教会は、死者の声を恐れるのか。
盗賊たちの目的とは何なのか。
交わるはずのなかった三つの運命が重なるとき、長い年月をかけて封じられた『真実』が、静かに姿を現す。
これは、消えた者の消えない願いが、人を救い、そして壊していく物語。
現代ダンジョン攻略 〜《スキルツリー》で最強へ〜
世界各地に突如として現れた《ダンジョン》。
その内部には魔物が生息し、討伐すれば《魔石》や希少な素材を入手できる。
魔石は国や企業が買い取る重要資源となり、ダンジョンを探索して生計を立てる《探索者》という職業が当たり前になった世界。
高校を卒業したばかりの青年――天城蓮もまた、探索者としてダンジョンへ足を踏み入れる。
そんな蓮が持つのは、三年間一度も使えなかった謎の固有スキル。
《スキルツリー》。
その能力が目覚めたのは、初めて魔物を倒した瞬間だった。
『《スキルの種》を獲得しました』
魔物を倒して《スキルの種》を集め、必要数を満たせば、その魔物に由来するスキルを獲得できる。
剣術、魔法、耐性、身体強化、感知、パッシブ――。
さらに同じスキルを重ねればレベルが上がり、最大まで成長したスキルは、より強力な上位スキルへと《進化》する。
そして、この《スキルツリー》の存在を知る者は蓮だけ。
魔物を倒せば金になる。
レベルも上がる。
そして蓮だけは――倒せば倒すほど、使えるスキルそのものが増えていく。
最弱の魔物から始まり、やがて未知の深層へ。
これは、唯一無二の《スキルツリー》を隠し持つ新人探索者が、世界中のダンジョンを攻略しながら《最強》へと駆け上がっていく物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・