14 / 76
第2章 異世界教と異世界教
第13話 潰された街(前編)
しおりを挟む
「またこの場所か」
再び辿り着いた深い森の中、微かな木漏れ日が地面を照らし石碑を照らす。どうやら僕が異世界に来る時はこの場所のようだ。
草深い場所、踏みしめるたびに緑の臭いが漂ってくる。沙羅に言われた通り石碑に触れないように避けた時、あることに気づいた。
「どこに行けば良いんだろう……」
異世界に来ることが目的になって何をするかまで考えていなかった。
「とりあえずこの間、警備っぽい人が走ってきた方に行ってみるか」
と、歩みを進める。
「やっぱりいきなり捕えられたら嫌だし……」
と戻る。
「いやいや異世界教って言ってたし光輝もいるだろうし……」
と、歩みを進める。
「でも沙羅にリンゴを食べるなって言われてるし……」
と戻る。
言ったり来たりを繰り返すこと10分。
「困った」
足を止め大きく肩を落とした。
「何が困ったの?」
心臓が一瞬止まった。いきなり声をかけられワープしたかの如く後ずさる。
見つかった……捕らえられてしまうんだ……でも光輝が居るから……頭の中がグルグル巡りフラフラしたまま下がり続け石碑にぶつかってしまった。
一瞬体に覚える違和感、風のようなものが入ってきたような感覚……しかし急に声をかけてきた主に気になって頭から抜けてしまった。
「あのさーサクラくん、会っていきなりあとずさるなんて失礼じゃない?」
サクラって誰だ? 人違い? グルグル巡る頭を冷静にさせる。声の主は……
「雫!」
「やっぱりサクラくんは私のことを知っているのね。あえて聞かないけど私もあなたのことを知っているのかしら」
「なんかクン付けされるとむず痒いなぁ。昔は雫とも仲が良かったんだよ」
「昔かぁ……私ってどんな人間だったんだろう」と雫は一瞬暗い顔をするが、「じゃあわたしもサクラって呼ぶね」
笑顔で会話できることが嬉しい。こうやって話していると好きだった記憶…初恋の甘酸っぱい記憶が蘇り恥ずかしさから無意識に口がすぼんでしまう。
「この間はゴメンね。このエリアで人を見かけたら報告しないといけないことになってるの。でも名前は言わなかったわ……きっとあなたはわたしにとって特別な何かのような気がするの」
「そっか……それであの時……人が走ってきたのか」
それでも雫の事情を考えると仕方がないのかも知れない。あの耳の裏を搔く仕草は本当に申し訳ないと思っている時に出てしまう雫の癖だ。
「お詫びにわたしの住んでいる所にこない? さっきの感じだとどうせ行くとこ無いんでしょ」
ここに到着した時フラフラ迷っている所を見られていたようだ。
「うん……でも異世界教の人とは会いたくないと言うか……会えないというか……」
思わず口ごもってしまう。(こっちの)異世界教徒である雫の前で (あっちの)異世界教教祖である僕の言う言葉ではない。
「大丈夫よ。わたしの住んでいるところに異世界教徒はいないから」
異世界教徒が異世界教教徒のいないところに住んでいる。後から考えれば違和感しかない言葉。
しかしこの時は僕のことを知っている人がいない場所にいけることが嬉しくて気づかなかった。
「やった。じゃあお願いしていいかな」
「お姉さんに任せなさい!」
「お姉さんって同じ年じゃん」
「そうなの? じゃあこの世界のことを君よりも知っているお姉さんね」
そんな和やかな感じ雑談しながら道中を案内された。
「なんか凄いところを通りますね」
路を外れ森の奥に向かっているようだ。
「この先は異世界教徒がいるからね、希望通り会わないように迂回するの」
手を加えられていない美しい緑の中を歩いていく。しかし進むにつれて壊れた家具や汚れた資材、ゴミなんかが風景に溶け込んできた。
怪しさ半分怖さ半分、一緒にいるのが雫だったから少しは安心できた。
さらにひどくなる投棄物に気になって見回す回数が増えてくる。
頻回になりすぎて挙動不審な僕、雫が見ているときは平静を取り繕っていたが遂にバレてしまった。
「大丈夫よそんなに警戒しなくても……」と両手を広げて周りを見回し苦笑いをする雫、「でもこの有様じゃあ怖くもなるわよねぇ」
足を止めて真剣な表情になると雫はゆっくりと口を開いた。
「これから行くのはシュッセル。元々は都市として栄えていたんだけど、ユランダ・メシアの建設で資材置き場やゴミ捨て場にされてしまったの」
「ユランダ・メシア?」
「そうよ、異世界教が作った街よ。異世界教徒を中心に信仰を誓ったこの世界の人達が住んでいるわ」
ソウジャ様と呼ばれる者と光輝が教祖の異世界教、教徒たちが作った街、一体どういうことだ。
この世界に足を踏み入れた異世界教徒の中で能力を持たない雫が監視役として派遣されたらしい。
「派遣と言っても体よく追い出された感じね。でも何も分からないわたしの居場所を作ってくれたことには感謝しないとね」
「雫はなんで能力がないの?」
「異世界リンゴを食べてこっちに来た人は自分の能力が知識の中にあるらしいの。たぶん何かのきっかけで記憶がなくなったから何が使えるのか覚えてないのだと思うわ」
雫は異世界リンゴは食べていない。自らこっちの世界に来るために沙羅によって黄金のリンゴを食べた。これは伝えたほうが良いのか迷っていた。
「でもねサクラ、わたしは今のままで良いとも思ってるの……」……「だって、みんなと違って元の世界と記憶が共有されていないから……」
そういえば琢磨くんや憲久くんは高校生としての記憶、異世界での記憶、共に持っているようだった。
「それって何か大切なことなの?」
「わたしは良く分からないんだけど、両世界の記憶が途切れることなく動いているようなの。どっちの世界も普通に生活しているみたい」
良く分からない。両方の世界で活動しているが時間は途切れず両方とも記憶に残るっか。
考え方はコピーか……でも……コピーだと物理的には別物だしリンク……良く分からん。
「うーん……」
「まぁ難しいことはいいじゃない。言えることはわたしはこっちの世界に来た人間。向こうの記憶は全く無い、異能の力がない分、叩く杭がないってことかもね」
「物置に派遣されてるのに?」
「その程度で済んでるってことよ。それにサクラも同じようなものなんでしょ」
確かにそうだ。途切れることなく両世界の記憶は共有していない。
2つの時間が並行に流れていると仮定するとどちらかしか存在していない……そういった意味では雫と一緒。
でも僕は『異世界リンゴ』を食べて来ているし……雫の言う通り能力も知識として持ってないし……何らかのキッカケで戻されるし……ぶつぶつ
「まぁいいじゃない。この世界に飛ばされた異世界教徒ではない人間を罪人として捕縛するからね、ユランダ・メシアは……」
「え”!?」
「だからサクラはしばらく自分のことが分かるまで隠れていたほうがいいと思ったの」
こうして僕は雫に従うままシェッセルに向かうのだった。
再び辿り着いた深い森の中、微かな木漏れ日が地面を照らし石碑を照らす。どうやら僕が異世界に来る時はこの場所のようだ。
草深い場所、踏みしめるたびに緑の臭いが漂ってくる。沙羅に言われた通り石碑に触れないように避けた時、あることに気づいた。
「どこに行けば良いんだろう……」
異世界に来ることが目的になって何をするかまで考えていなかった。
「とりあえずこの間、警備っぽい人が走ってきた方に行ってみるか」
と、歩みを進める。
「やっぱりいきなり捕えられたら嫌だし……」
と戻る。
「いやいや異世界教って言ってたし光輝もいるだろうし……」
と、歩みを進める。
「でも沙羅にリンゴを食べるなって言われてるし……」
と戻る。
言ったり来たりを繰り返すこと10分。
「困った」
足を止め大きく肩を落とした。
「何が困ったの?」
心臓が一瞬止まった。いきなり声をかけられワープしたかの如く後ずさる。
見つかった……捕らえられてしまうんだ……でも光輝が居るから……頭の中がグルグル巡りフラフラしたまま下がり続け石碑にぶつかってしまった。
一瞬体に覚える違和感、風のようなものが入ってきたような感覚……しかし急に声をかけてきた主に気になって頭から抜けてしまった。
「あのさーサクラくん、会っていきなりあとずさるなんて失礼じゃない?」
サクラって誰だ? 人違い? グルグル巡る頭を冷静にさせる。声の主は……
「雫!」
「やっぱりサクラくんは私のことを知っているのね。あえて聞かないけど私もあなたのことを知っているのかしら」
「なんかクン付けされるとむず痒いなぁ。昔は雫とも仲が良かったんだよ」
「昔かぁ……私ってどんな人間だったんだろう」と雫は一瞬暗い顔をするが、「じゃあわたしもサクラって呼ぶね」
笑顔で会話できることが嬉しい。こうやって話していると好きだった記憶…初恋の甘酸っぱい記憶が蘇り恥ずかしさから無意識に口がすぼんでしまう。
「この間はゴメンね。このエリアで人を見かけたら報告しないといけないことになってるの。でも名前は言わなかったわ……きっとあなたはわたしにとって特別な何かのような気がするの」
「そっか……それであの時……人が走ってきたのか」
それでも雫の事情を考えると仕方がないのかも知れない。あの耳の裏を搔く仕草は本当に申し訳ないと思っている時に出てしまう雫の癖だ。
「お詫びにわたしの住んでいる所にこない? さっきの感じだとどうせ行くとこ無いんでしょ」
ここに到着した時フラフラ迷っている所を見られていたようだ。
「うん……でも異世界教の人とは会いたくないと言うか……会えないというか……」
思わず口ごもってしまう。(こっちの)異世界教徒である雫の前で (あっちの)異世界教教祖である僕の言う言葉ではない。
「大丈夫よ。わたしの住んでいるところに異世界教徒はいないから」
異世界教徒が異世界教教徒のいないところに住んでいる。後から考えれば違和感しかない言葉。
しかしこの時は僕のことを知っている人がいない場所にいけることが嬉しくて気づかなかった。
「やった。じゃあお願いしていいかな」
「お姉さんに任せなさい!」
「お姉さんって同じ年じゃん」
「そうなの? じゃあこの世界のことを君よりも知っているお姉さんね」
そんな和やかな感じ雑談しながら道中を案内された。
「なんか凄いところを通りますね」
路を外れ森の奥に向かっているようだ。
「この先は異世界教徒がいるからね、希望通り会わないように迂回するの」
手を加えられていない美しい緑の中を歩いていく。しかし進むにつれて壊れた家具や汚れた資材、ゴミなんかが風景に溶け込んできた。
怪しさ半分怖さ半分、一緒にいるのが雫だったから少しは安心できた。
さらにひどくなる投棄物に気になって見回す回数が増えてくる。
頻回になりすぎて挙動不審な僕、雫が見ているときは平静を取り繕っていたが遂にバレてしまった。
「大丈夫よそんなに警戒しなくても……」と両手を広げて周りを見回し苦笑いをする雫、「でもこの有様じゃあ怖くもなるわよねぇ」
足を止めて真剣な表情になると雫はゆっくりと口を開いた。
「これから行くのはシュッセル。元々は都市として栄えていたんだけど、ユランダ・メシアの建設で資材置き場やゴミ捨て場にされてしまったの」
「ユランダ・メシア?」
「そうよ、異世界教が作った街よ。異世界教徒を中心に信仰を誓ったこの世界の人達が住んでいるわ」
ソウジャ様と呼ばれる者と光輝が教祖の異世界教、教徒たちが作った街、一体どういうことだ。
この世界に足を踏み入れた異世界教徒の中で能力を持たない雫が監視役として派遣されたらしい。
「派遣と言っても体よく追い出された感じね。でも何も分からないわたしの居場所を作ってくれたことには感謝しないとね」
「雫はなんで能力がないの?」
「異世界リンゴを食べてこっちに来た人は自分の能力が知識の中にあるらしいの。たぶん何かのきっかけで記憶がなくなったから何が使えるのか覚えてないのだと思うわ」
雫は異世界リンゴは食べていない。自らこっちの世界に来るために沙羅によって黄金のリンゴを食べた。これは伝えたほうが良いのか迷っていた。
「でもねサクラ、わたしは今のままで良いとも思ってるの……」……「だって、みんなと違って元の世界と記憶が共有されていないから……」
そういえば琢磨くんや憲久くんは高校生としての記憶、異世界での記憶、共に持っているようだった。
「それって何か大切なことなの?」
「わたしは良く分からないんだけど、両世界の記憶が途切れることなく動いているようなの。どっちの世界も普通に生活しているみたい」
良く分からない。両方の世界で活動しているが時間は途切れず両方とも記憶に残るっか。
考え方はコピーか……でも……コピーだと物理的には別物だしリンク……良く分からん。
「うーん……」
「まぁ難しいことはいいじゃない。言えることはわたしはこっちの世界に来た人間。向こうの記憶は全く無い、異能の力がない分、叩く杭がないってことかもね」
「物置に派遣されてるのに?」
「その程度で済んでるってことよ。それにサクラも同じようなものなんでしょ」
確かにそうだ。途切れることなく両世界の記憶は共有していない。
2つの時間が並行に流れていると仮定するとどちらかしか存在していない……そういった意味では雫と一緒。
でも僕は『異世界リンゴ』を食べて来ているし……雫の言う通り能力も知識として持ってないし……何らかのキッカケで戻されるし……ぶつぶつ
「まぁいいじゃない。この世界に飛ばされた異世界教徒ではない人間を罪人として捕縛するからね、ユランダ・メシアは……」
「え”!?」
「だからサクラはしばらく自分のことが分かるまで隠れていたほうがいいと思ったの」
こうして僕は雫に従うままシェッセルに向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
聖女じゃない私たち
あんど もあ
ファンタジー
異世界転移してしまった女子高生二人。王太子によって、片方は「聖女」として王宮に迎えられ、片方は「ただの異世界人」と地方の男爵に押し付けられた。だが、その判断に納得する二人ではなく……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる