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第2章 異世界教と異世界教
第14話 潰された街(後編)
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緑の都市シェッセル。美しい森とヨーロピアンな建物が調和した都市……だった。
異世界教が都市建築を始めると資源は削られ、建物は壊され資材置き場にされた。多くの住民は労働力を対価に移住したようだ。
異世界教の街が完成すると異世界教に否定的な者や貧困層はシュッセルへと追いやられた。
そして不要な資材や廃材などはシュッセルに運びこまれ、かつての美しい街は見る影も無くなっていた。
「さくら、そんな顔をしなくても大丈夫。この街の人は本当に良い人ばかりだから。わたしもこの町の長老にお世話になっているの」
目の前に現れた黄土色に舗装された道、力強く踏んでも足を滑らせてもビクトもしない。砂埃や砂利、多くの葉で汚れてはいるが、傷一つついていない。
「さくら、この道は魔法がかけられているのだよ」
「へー、良く知ってるね」
「まぁ、長老から教えてもらっただけだけどね」
ペロリと下を出す雫、前方に人差し指を向けるとその先には街を見下ろす大木が見えた。
雫は「あそこがシュッセルの王城よ」と険しい。なにかあるのだろうと察したが、なんとなく雫が醸し出す雰囲気から聞くことは出来なかった。
徐々に森が薄くなってくる。キレイに間引きされた木々の合間からは日差しが地面を照らしている。
「すごい……」
拓かれた場所。荒廃した森の中から見える美しい建物が城壁に囲まれている街、城壁越しでも素晴らしさが分かる。
雫は「こっちよ」と美しい街に目もくれずに僕の腕を掴んで走り出した。このぬくもり……こんなことが小さい頃にあったなぁ、甘酸っぱい心が肩をブルっと震わせた。
雫の住むシェッセルは残念としかいいようがない。植物は枯れ果てところかしこに資材が放られている。土砂が積み上げられガラクタらしきものが突き刺さっている場所もあった。
「もっと物凄いところを想像してたよ……荒くれ物やそこいら中に座り込んでいる暴漢がいたり金品を強奪する輩がいたり……」
「あのねー……でもこのままだと将来的にはそうなっちゃうかもしれない……でもサクラはアニメなんかに影響されているのかもね」
アニメやラノベで見るスラム街を想像してた……普通の人が入り込んだが最後、骨までしゃぶられてしまうような。
「ここよ」
廃材さえなければ美しい町並みを楽しめたのだろう。
その中を抜けて案内されたのは2階建ての一軒家、ヨーロピアンな見た目の木造住宅。荒廃の影響を受けているせいで素晴らしいとは言えない状態だった。
「おー雫、そいつは誰だ? まさか異世界教の……」
声を書けてきたのは背中に巨大な剣を背負ったイケメンの好青年。その姿を見てラノベ脳が僕の興奮を引っ張り出した。
「違うわよウィル。あっちの世界から来たわたしの友人よ」
ウィルと呼ばれた男の眉間にピクリと深い皺。
「なんで記憶がないのに知人って分かるんだよ。おかしいじゃないか」
手を振り払って大声で叫ぶウィル。雫は本音を絞り出すように優しく答えた。
「何となく分かるの。わたしの心がサクラのことを知っているの」
フンと鼻を鳴らすと「まあいい、そこのお前、雫に手を出すんじゃないぞ。彼女はこの街にとってかけがえのない人間なんだからな」と言い放ち市街地へ歩いていった。
「サクラ、ごめんね。彼はこの街の騎士長だったの。異世界教から街を守ろうと挑んだんだけど……」
「負けた……?」
「そうなの。それもたったふたりの人物に部隊は全滅させられたの」
頭の中に琢磨くんと憲久くんの顔が浮かんだ。
「まさか琢磨くんと憲久くん……」
「そうよ、琢磨様に抑え込まれ憲久様の姿を見ることなく全滅したそうなの」
そうか……琢磨クンが硬化武装で盾になって憲久くんが空間透視を介してエアーバレットを打ち込んだのか。
「雫さん、おかえりなさいー」
話し声に気づいたのか建物から人が出てきた。緑色の髪をした妙齢20歳くらいの女性。
「長老、戻りました」
雫の言葉に「あらー、お友達を連れてきたのですか」と驚きの表情。彼女の姿を見て驚いてしまった。
「し……しっぽ」
彼女の体から覗かせているのは尻尾。細く長いものがお尻から伸びてフリフリしている。
「サクラ、長老は特別な種族らしいの。昔、世界を救ったことがあるそうよ」
「えへへー、そうなのです。こうみえてもわたしは強いんですよー」
ニコニコしながら力こぶを見せる長老。長老と呼ばれるほどの容姿ではない。
「ちょ……長老って、おいくつなんですか」
「いきなりレディーに年齢を聞くなんて失礼ですよ。確かに長老と呼ばれながらも美しい容姿の保っている私に惚れてしまうのは分からなくもないですが」
頬に手を当ててクネクネする長老。雫は小声で「この町で一番の年上だと聞いているわ」と教えてくれた。彼女のヒソヒソ話しの吐息が耳に入って照れくすぐったい。
「長老、いつまでもこんなところにいたら異世界教徒に見つかってしまいます」
「そうねー、中に入って──」
長老の目つきが変わった。次の瞬間、いつのまにか構えている弓、気づくと既に発射されていた。
ボフン──と鈍い音。上空に目線を向けると空間の歪みみたいなものが浮かんでいる。フラフラ逃げていく物体?を目で追った。
雫は僕の目線の先を一生懸命に探しているが、「サクラー何を見てるの? 何もないよー」とキョロキョロさせる。
「サクラさん……でいいのかな。あれを見えるってことは風の加護を受けているのかもしれませんね」
長老の言葉に雫は「長老はウィルたちの隊を全滅したのも風って言ってましたよね」
「そうですね。あれがこの街をこんな風にした元凶です」
……もしかして、あれが憲久くんの力……だとすると僕がこっちにいることが異世界教にバレたってことなのか。
とてつもない不安に襲われるのだった。
異世界教が都市建築を始めると資源は削られ、建物は壊され資材置き場にされた。多くの住民は労働力を対価に移住したようだ。
異世界教の街が完成すると異世界教に否定的な者や貧困層はシュッセルへと追いやられた。
そして不要な資材や廃材などはシュッセルに運びこまれ、かつての美しい街は見る影も無くなっていた。
「さくら、そんな顔をしなくても大丈夫。この街の人は本当に良い人ばかりだから。わたしもこの町の長老にお世話になっているの」
目の前に現れた黄土色に舗装された道、力強く踏んでも足を滑らせてもビクトもしない。砂埃や砂利、多くの葉で汚れてはいるが、傷一つついていない。
「さくら、この道は魔法がかけられているのだよ」
「へー、良く知ってるね」
「まぁ、長老から教えてもらっただけだけどね」
ペロリと下を出す雫、前方に人差し指を向けるとその先には街を見下ろす大木が見えた。
雫は「あそこがシュッセルの王城よ」と険しい。なにかあるのだろうと察したが、なんとなく雫が醸し出す雰囲気から聞くことは出来なかった。
徐々に森が薄くなってくる。キレイに間引きされた木々の合間からは日差しが地面を照らしている。
「すごい……」
拓かれた場所。荒廃した森の中から見える美しい建物が城壁に囲まれている街、城壁越しでも素晴らしさが分かる。
雫は「こっちよ」と美しい街に目もくれずに僕の腕を掴んで走り出した。このぬくもり……こんなことが小さい頃にあったなぁ、甘酸っぱい心が肩をブルっと震わせた。
雫の住むシェッセルは残念としかいいようがない。植物は枯れ果てところかしこに資材が放られている。土砂が積み上げられガラクタらしきものが突き刺さっている場所もあった。
「もっと物凄いところを想像してたよ……荒くれ物やそこいら中に座り込んでいる暴漢がいたり金品を強奪する輩がいたり……」
「あのねー……でもこのままだと将来的にはそうなっちゃうかもしれない……でもサクラはアニメなんかに影響されているのかもね」
アニメやラノベで見るスラム街を想像してた……普通の人が入り込んだが最後、骨までしゃぶられてしまうような。
「ここよ」
廃材さえなければ美しい町並みを楽しめたのだろう。
その中を抜けて案内されたのは2階建ての一軒家、ヨーロピアンな見た目の木造住宅。荒廃の影響を受けているせいで素晴らしいとは言えない状態だった。
「おー雫、そいつは誰だ? まさか異世界教の……」
声を書けてきたのは背中に巨大な剣を背負ったイケメンの好青年。その姿を見てラノベ脳が僕の興奮を引っ張り出した。
「違うわよウィル。あっちの世界から来たわたしの友人よ」
ウィルと呼ばれた男の眉間にピクリと深い皺。
「なんで記憶がないのに知人って分かるんだよ。おかしいじゃないか」
手を振り払って大声で叫ぶウィル。雫は本音を絞り出すように優しく答えた。
「何となく分かるの。わたしの心がサクラのことを知っているの」
フンと鼻を鳴らすと「まあいい、そこのお前、雫に手を出すんじゃないぞ。彼女はこの街にとってかけがえのない人間なんだからな」と言い放ち市街地へ歩いていった。
「サクラ、ごめんね。彼はこの街の騎士長だったの。異世界教から街を守ろうと挑んだんだけど……」
「負けた……?」
「そうなの。それもたったふたりの人物に部隊は全滅させられたの」
頭の中に琢磨くんと憲久くんの顔が浮かんだ。
「まさか琢磨くんと憲久くん……」
「そうよ、琢磨様に抑え込まれ憲久様の姿を見ることなく全滅したそうなの」
そうか……琢磨クンが硬化武装で盾になって憲久くんが空間透視を介してエアーバレットを打ち込んだのか。
「雫さん、おかえりなさいー」
話し声に気づいたのか建物から人が出てきた。緑色の髪をした妙齢20歳くらいの女性。
「長老、戻りました」
雫の言葉に「あらー、お友達を連れてきたのですか」と驚きの表情。彼女の姿を見て驚いてしまった。
「し……しっぽ」
彼女の体から覗かせているのは尻尾。細く長いものがお尻から伸びてフリフリしている。
「サクラ、長老は特別な種族らしいの。昔、世界を救ったことがあるそうよ」
「えへへー、そうなのです。こうみえてもわたしは強いんですよー」
ニコニコしながら力こぶを見せる長老。長老と呼ばれるほどの容姿ではない。
「ちょ……長老って、おいくつなんですか」
「いきなりレディーに年齢を聞くなんて失礼ですよ。確かに長老と呼ばれながらも美しい容姿の保っている私に惚れてしまうのは分からなくもないですが」
頬に手を当ててクネクネする長老。雫は小声で「この町で一番の年上だと聞いているわ」と教えてくれた。彼女のヒソヒソ話しの吐息が耳に入って照れくすぐったい。
「長老、いつまでもこんなところにいたら異世界教徒に見つかってしまいます」
「そうねー、中に入って──」
長老の目つきが変わった。次の瞬間、いつのまにか構えている弓、気づくと既に発射されていた。
ボフン──と鈍い音。上空に目線を向けると空間の歪みみたいなものが浮かんでいる。フラフラ逃げていく物体?を目で追った。
雫は僕の目線の先を一生懸命に探しているが、「サクラー何を見てるの? 何もないよー」とキョロキョロさせる。
「サクラさん……でいいのかな。あれを見えるってことは風の加護を受けているのかもしれませんね」
長老の言葉に雫は「長老はウィルたちの隊を全滅したのも風って言ってましたよね」
「そうですね。あれがこの街をこんな風にした元凶です」
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