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第2章 異世界教と異世界教
第20話 迫りくる異世界教
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シーラはシェッセルから北東に位置する小さな洞窟。ユランダ・メシアを背に数時間ほど歩いた場所にある。
雫が隠れて付いてこようとしたが長老に見つかって引きずられていた。
「いいサクラ。街の外は身一つでサバンナに放り込まれるのよ、それに生活の術を見つけるんだからねー、それからそれから」
長老に引っ張られながらも喋り続ける雫。
「まったく、雫ちゃんってこんなに過保護だったのね。意外だわぁ」
メーンの言葉にウィルが興奮気味に口を開く。
「このお遣いが終わればこの熱意が俺に向くと思うと嬉しくてたまんねぇぜ」
「いーいサクラ、それか……あ……る……」
遠くに聞こえる雫の言葉……。もう何と言ってるのか分からない。
「まったく雫はこんな奴のどこがいいんだか、強さも立場も顔も全部俺のほうが上じゃねぇか」
「性格じゃないのー、あんた歪んでるからねー」
「メーン殿、男の価値は|《金》ギラだ。ギラさえ持ってればなんとでもなる」
身を守ってもらいながら世界を知り、自分に出来ることを見つけろということか。そういえば四元素以外の力は使うなって前に言われたけどどうやってモンスターと戦おう。
「でもさー、アスタルテの雫の採取なんてこいつひとりでも行けるだろ。路を進めばお子ちゃまだって行けるんだぞ」
「ホントよねぇ、私たちのように優秀な人間にはもっと適した依頼があると思うんだけどぉ」
「まぁまぁ、さっさと終わらせて報酬をもらいましょう。今まで世話になった礼です」
ウィルが文句を言えばメーンが同調しアバンチが損得に結び付ける。同じような会話を幾度ともなく繰り返している。
「それにしても平和な道ですねぇ。モンスターでも出るのかと思ってました」
「そっか、世間知らずのボクちゃんは戦いを経験したいのでちゅか」
「やめなさいよウィル、そんなんだから雫に嫌われるのよ」
「それなら路を外して進みましょう。肉や素材などを稼いで換金しましょう」
アバンチは森を指さした。
「そうだな、ショートカットした方が早く終わるか……面倒だから戦いはアバンチな」
「ウィル殿、了解した。ただし出てきた素材は全部私の物ですよ」
アバンチが目を輝かせた。傍から見ればごっつい中年のオヤジが子供のように目をキラキラさせているようにしか見えない。
「私は戦うわよー、思いっきり魔法をぶっ放してストレス発散するんだから」
前髪をクルクルしながら火球を放って爆発させて目を輝かせるメーン。
森に入ると四足歩行の獣が多く集まってくる、森に入れば狼や熊のようにゴツイ獣までが垂涎の眼差しで見つめてくる。
「じゃあ行きますよ」
どこからともなく取り出した弓矢でアバンチは獣を難なく狩っていく。
不思議なことに獣を倒すと、ボフンという煙と共に獣が肉や皮へと変化した。
「なんで倒すと肉や皮に変わるんですか」
「ああ、君はこっちのことを知らないんでしたよね。そういうものなんです」
はい? そういうもの……?。アバンチの言葉にハテナしか浮かばない。
呆れたようにメーンは前髪をクルクルしながら口を開いた。
「いーい、お姉さんが教えてあげるわ。相手を倒した時に必要だなぁと思ったものに変化する。君だって通貨の出し入れが出来ることくらいは知ってるわよね。それと同じよ」
「メーンは優しいなぁ。わざわざ僕ちゃんなんかに教えてやってよー。お金のことだって知らないんじゃないのか」
ウィルは笑いながらギラを1つ取り出して指で弾く。ギラは宙で弧を描いて僕の手に収まった。
「恵んでやるよ。それを体の中に吸わせればどういうことか分かるだろ」
大笑いするウィル。
「ウィルは相変わらず冷たいねー、だから雫ちゃんに嫌われてるのよ」
「うるせえな、彼女の前ではちゃんと好青年を演じてるんだ。俺に惚れて照れてるだけにに決まってるんだ」
ウィルの言い捨てるような言葉に、『彼は雫のタイプじゃないなぁ』とクスッとしてしまった。
「それでサクラくんだったね」
「はい」
「素材は欲しいと思ったものに変わるの。だからギルドで狼の目玉の依頼を受けていれば、倒した時に目玉も出てくるんだよ」
ギルド……依頼……ラノベ脳の僕は恐怖どころかテンションが上った。
「僕も頑張れば冒険者みたいなことが出来るんですか!」
目をキラキラさせながら両手を上下に振っていた。
「ハハハ、そんな資質があるように見えないけどなー、アバンチもそう思うだろ」
「どうでしょう、どんな加護がついているか分かりませんからひょっとしますよ。ギラさえ払ってくれれば戦いを教えてあげますが」
「アバンチ止めろよな、これが終わったら雫を連れて王都に行くんだ。そーいえば長老がボクちゃんを連れてけみたいなこと言ってたな。どれ程のものかあそこのウルフレッドと戦ってみろよ。あれくらいならいけんだろ」
ウィルの顎を向けた方向に狼に似た黒い獣。涎を垂らしながら唸り声をあげている。
「ほらっ」
ウィルに思いっきり背中を押されて前に出された。
獣に敵意を向けられた経験なんてない。恐怖で足がすくむ。
僕がやられたら獣が欲しい素材に変わるのかなぁ、でも人の肉は美味しくないっていうし……。
僕の事情などお構いなしにウルフレッドが飛びかかってきた。
「よし、動きだけは見える!」
すんでで避けて戦闘態勢を取るが攻撃手段はフリックバレッドしかない。
四元素魔法以外は使うなって雫からも言われている……でも死んでしまっては元も子もない。
ウィルに渡された1ギラ硬貨を握りしめて弾く体制をとる。が、雫の言った『異端』という言葉が突き刺さりどうしても打ち込むことができない。
「ダメか……」
喉元を狙ってくるウルフレッドの爪や牙を避け続ける。
「どうしよう」
ボン──巨大な火柱と共に香ばしい匂いのする肉と焼け焦げた皮がゴロンと落ちた。
「メーン殿、だから獣に炎はダメって言ってるじゃないですか。あーせっかくの素材がこんなんなっちゃって」
「アバンチ、こんなところの素材なんかでうるさいこと言わないでよねー」
面倒そうに前髪をクルクルするメーン。アバンチは「塵も積もれば山となるのですよ」と拳で胸を強く叩いた。
「マジかよ、お前、武器を持ってないのか」
ウィルは巨大な剣を背負っている。しかしメーンやアバンチは何も持っていない……さっきまで持っていた武器はどこにしまったのだろう。
「サクラ殿、ここに武器はあるのです」
アバンチは親指を立てて胸を突いた。
「そんなことも知らないのねぇ」
メーンは胸の前で手を握るとどこからともなく現れた美しいはまり上部がくねった魔法の杖。そのまま宙をなぞると、炎球がいくも現れた。
「メーン殿、この辺の獣に炎の魔法はダメですって」
アバンチは、胸の前で右手を握ると弓、左手には矢が現れ、僕に向かって矢を放った。
矢は僕の頬に風を運んで飛んでいく……
『グギャァァァ』
断末魔の叫びと共にウルフレッドが倒れた。いつのまに背後に迫っていたんだ。
「どうやら仲間が駆けつけたようですね。面倒なので群れがこないうちにサッサと森を抜けちゃいましょう」
「そんなの全部燃やしちゃえばいいじゃなーい」
「メーン殿は本当に炎が好きですねー」
何もないところから武器を取り出すなんてカッコいい。この流れからラノベ脳が想像するカッコいい武器が僕の元に現れるはず。
「出てこい!」
胸の前で右手を握った……
「いてっ」
頭に感じた突き刺さるような痛み、走り回るような感触。なんだ一体……頭をまさぐるが何もない。
「おい、何を遊んでるんだ。お前は当たり前のことが出来ないほど才能がないのか」
ウィルの怒号が飛んだ。
ラノベだったらウィルが主人公なんだろうけどこんな性格の悪い男のパーティーは嫌だなぁ。
次こそ、次こそ。道中も胸の前で武器を取り出そうと努力してみるが、出てくるのは茶色い尖った針だけ。
一寸法師かいな。と、ツッコみたくなる。
「アバンチさん──」「──アバンチにコツを聞いても無駄だぞ。さっきも言ったがそういうものなんだ。僕ちゃんは空気を掴めないだろ? 同じようなことだ」
僕に実力がないのは分かってる。分かってるんだけど……光輝や琢磨くん、憲久くん、そして異世界教徒は活躍をしてるって……教祖の僕だけが……悔しい。
「お前たち、ちょっと待ってもらおうか」
聞き覚えのある声、僕たちの前に立ち塞がったのは……
「琢磨くん!」
異世界教で一番最初に教徒となった、相田 琢磨だった。
雫が隠れて付いてこようとしたが長老に見つかって引きずられていた。
「いいサクラ。街の外は身一つでサバンナに放り込まれるのよ、それに生活の術を見つけるんだからねー、それからそれから」
長老に引っ張られながらも喋り続ける雫。
「まったく、雫ちゃんってこんなに過保護だったのね。意外だわぁ」
メーンの言葉にウィルが興奮気味に口を開く。
「このお遣いが終わればこの熱意が俺に向くと思うと嬉しくてたまんねぇぜ」
「いーいサクラ、それか……あ……る……」
遠くに聞こえる雫の言葉……。もう何と言ってるのか分からない。
「まったく雫はこんな奴のどこがいいんだか、強さも立場も顔も全部俺のほうが上じゃねぇか」
「性格じゃないのー、あんた歪んでるからねー」
「メーン殿、男の価値は|《金》ギラだ。ギラさえ持ってればなんとでもなる」
身を守ってもらいながら世界を知り、自分に出来ることを見つけろということか。そういえば四元素以外の力は使うなって前に言われたけどどうやってモンスターと戦おう。
「でもさー、アスタルテの雫の採取なんてこいつひとりでも行けるだろ。路を進めばお子ちゃまだって行けるんだぞ」
「ホントよねぇ、私たちのように優秀な人間にはもっと適した依頼があると思うんだけどぉ」
「まぁまぁ、さっさと終わらせて報酬をもらいましょう。今まで世話になった礼です」
ウィルが文句を言えばメーンが同調しアバンチが損得に結び付ける。同じような会話を幾度ともなく繰り返している。
「それにしても平和な道ですねぇ。モンスターでも出るのかと思ってました」
「そっか、世間知らずのボクちゃんは戦いを経験したいのでちゅか」
「やめなさいよウィル、そんなんだから雫に嫌われるのよ」
「それなら路を外して進みましょう。肉や素材などを稼いで換金しましょう」
アバンチは森を指さした。
「そうだな、ショートカットした方が早く終わるか……面倒だから戦いはアバンチな」
「ウィル殿、了解した。ただし出てきた素材は全部私の物ですよ」
アバンチが目を輝かせた。傍から見ればごっつい中年のオヤジが子供のように目をキラキラさせているようにしか見えない。
「私は戦うわよー、思いっきり魔法をぶっ放してストレス発散するんだから」
前髪をクルクルしながら火球を放って爆発させて目を輝かせるメーン。
森に入ると四足歩行の獣が多く集まってくる、森に入れば狼や熊のようにゴツイ獣までが垂涎の眼差しで見つめてくる。
「じゃあ行きますよ」
どこからともなく取り出した弓矢でアバンチは獣を難なく狩っていく。
不思議なことに獣を倒すと、ボフンという煙と共に獣が肉や皮へと変化した。
「なんで倒すと肉や皮に変わるんですか」
「ああ、君はこっちのことを知らないんでしたよね。そういうものなんです」
はい? そういうもの……?。アバンチの言葉にハテナしか浮かばない。
呆れたようにメーンは前髪をクルクルしながら口を開いた。
「いーい、お姉さんが教えてあげるわ。相手を倒した時に必要だなぁと思ったものに変化する。君だって通貨の出し入れが出来ることくらいは知ってるわよね。それと同じよ」
「メーンは優しいなぁ。わざわざ僕ちゃんなんかに教えてやってよー。お金のことだって知らないんじゃないのか」
ウィルは笑いながらギラを1つ取り出して指で弾く。ギラは宙で弧を描いて僕の手に収まった。
「恵んでやるよ。それを体の中に吸わせればどういうことか分かるだろ」
大笑いするウィル。
「ウィルは相変わらず冷たいねー、だから雫ちゃんに嫌われてるのよ」
「うるせえな、彼女の前ではちゃんと好青年を演じてるんだ。俺に惚れて照れてるだけにに決まってるんだ」
ウィルの言い捨てるような言葉に、『彼は雫のタイプじゃないなぁ』とクスッとしてしまった。
「それでサクラくんだったね」
「はい」
「素材は欲しいと思ったものに変わるの。だからギルドで狼の目玉の依頼を受けていれば、倒した時に目玉も出てくるんだよ」
ギルド……依頼……ラノベ脳の僕は恐怖どころかテンションが上った。
「僕も頑張れば冒険者みたいなことが出来るんですか!」
目をキラキラさせながら両手を上下に振っていた。
「ハハハ、そんな資質があるように見えないけどなー、アバンチもそう思うだろ」
「どうでしょう、どんな加護がついているか分かりませんからひょっとしますよ。ギラさえ払ってくれれば戦いを教えてあげますが」
「アバンチ止めろよな、これが終わったら雫を連れて王都に行くんだ。そーいえば長老がボクちゃんを連れてけみたいなこと言ってたな。どれ程のものかあそこのウルフレッドと戦ってみろよ。あれくらいならいけんだろ」
ウィルの顎を向けた方向に狼に似た黒い獣。涎を垂らしながら唸り声をあげている。
「ほらっ」
ウィルに思いっきり背中を押されて前に出された。
獣に敵意を向けられた経験なんてない。恐怖で足がすくむ。
僕がやられたら獣が欲しい素材に変わるのかなぁ、でも人の肉は美味しくないっていうし……。
僕の事情などお構いなしにウルフレッドが飛びかかってきた。
「よし、動きだけは見える!」
すんでで避けて戦闘態勢を取るが攻撃手段はフリックバレッドしかない。
四元素魔法以外は使うなって雫からも言われている……でも死んでしまっては元も子もない。
ウィルに渡された1ギラ硬貨を握りしめて弾く体制をとる。が、雫の言った『異端』という言葉が突き刺さりどうしても打ち込むことができない。
「ダメか……」
喉元を狙ってくるウルフレッドの爪や牙を避け続ける。
「どうしよう」
ボン──巨大な火柱と共に香ばしい匂いのする肉と焼け焦げた皮がゴロンと落ちた。
「メーン殿、だから獣に炎はダメって言ってるじゃないですか。あーせっかくの素材がこんなんなっちゃって」
「アバンチ、こんなところの素材なんかでうるさいこと言わないでよねー」
面倒そうに前髪をクルクルするメーン。アバンチは「塵も積もれば山となるのですよ」と拳で胸を強く叩いた。
「マジかよ、お前、武器を持ってないのか」
ウィルは巨大な剣を背負っている。しかしメーンやアバンチは何も持っていない……さっきまで持っていた武器はどこにしまったのだろう。
「サクラ殿、ここに武器はあるのです」
アバンチは親指を立てて胸を突いた。
「そんなことも知らないのねぇ」
メーンは胸の前で手を握るとどこからともなく現れた美しいはまり上部がくねった魔法の杖。そのまま宙をなぞると、炎球がいくも現れた。
「メーン殿、この辺の獣に炎の魔法はダメですって」
アバンチは、胸の前で右手を握ると弓、左手には矢が現れ、僕に向かって矢を放った。
矢は僕の頬に風を運んで飛んでいく……
『グギャァァァ』
断末魔の叫びと共にウルフレッドが倒れた。いつのまに背後に迫っていたんだ。
「どうやら仲間が駆けつけたようですね。面倒なので群れがこないうちにサッサと森を抜けちゃいましょう」
「そんなの全部燃やしちゃえばいいじゃなーい」
「メーン殿は本当に炎が好きですねー」
何もないところから武器を取り出すなんてカッコいい。この流れからラノベ脳が想像するカッコいい武器が僕の元に現れるはず。
「出てこい!」
胸の前で右手を握った……
「いてっ」
頭に感じた突き刺さるような痛み、走り回るような感触。なんだ一体……頭をまさぐるが何もない。
「おい、何を遊んでるんだ。お前は当たり前のことが出来ないほど才能がないのか」
ウィルの怒号が飛んだ。
ラノベだったらウィルが主人公なんだろうけどこんな性格の悪い男のパーティーは嫌だなぁ。
次こそ、次こそ。道中も胸の前で武器を取り出そうと努力してみるが、出てくるのは茶色い尖った針だけ。
一寸法師かいな。と、ツッコみたくなる。
「アバンチさん──」「──アバンチにコツを聞いても無駄だぞ。さっきも言ったがそういうものなんだ。僕ちゃんは空気を掴めないだろ? 同じようなことだ」
僕に実力がないのは分かってる。分かってるんだけど……光輝や琢磨くん、憲久くん、そして異世界教徒は活躍をしてるって……教祖の僕だけが……悔しい。
「お前たち、ちょっと待ってもらおうか」
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