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第2章 異世界教と異世界教
第22話 長老の大きな賭け
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帰ってきたシェッセルの街。所々寂れているが広大な町並みは、田舎の雰囲気を漂わせ心地よい空気感を肌に感じさせる。
「帰ってきたー」
異世界での不安と興奮を知ったこの場所は故郷だ。久しぶりに実家に帰ってきたような心地よささえある。
アスタルテの雫を持って長老の家に走った。
ゲームでクエスト達成を追体験しているような感覚に自然と足が速くなる。ゲーム画面を前に難解なクエストを達成してガッツポーズしたあの思い出が興奮を呼び起こす。
「長老、アスタルテの雫を持ってきました」
扉を激しく開けて報告、この世界に来てから一番の大声だっただろう。
「サクラさん、雫さんが異世界教に捕われてしまいました」
予想外の答えに、心臓を撃ち抜かれたようなモヤモヤが生まれ、状況の理解が追いつかない。
「え、あ、雫が異世界教に……なんで……」
月並みの言葉しか出てこない。
「雫さんが異世界にくるキッカケとなったマサンの実が特別だったことがバレたのかもしれません。ただ、本当の理由は分かりませんが……」
「マサン……禁断の果実か……」
「サクラさん、ウィルたちと共に雫さんを異世界教から救ってはもらえないでしょうか」
こんな状況でも長老は動かないのか……それほどまでに『戦わずの誓い』は重いものなのだろうか……
「長老、僕たちが行くより長老が直接行ったほうが救い出せる可能性が高いんじゃないですか」
「あのなー、何が『僕たち』だよ。俺はお前と仲間になった覚えはないぞ」
遅れて来たウィルたちの怒号が飛んだ。
「ウィルー、雫ちゃんを助けに行くつもりー?」
「当然だろっ、俺達のパーティーに入れるつもりだからな」
「ウィル殿、折角助けるなら長老からの依頼という形にしてもらえれば報酬が出るんじゃないですか」
ウィルたちが好き勝手なことを言っている。なんでも良い、雫を助けだせるなら……
「長老、僕は報酬なんていらないからウィルたちに何か出せないでしょうか」
何もできない僕が出来ることはお願いすることだけ、そんな僕を蔑むウィルの目線。
「あのなー誰がお前と一緒に行くって言ったよ。お前はパーティークビ。何の役にも立たないしかえって足手まといになるっての」
「そうね、私たち3人で行けば余裕ね。なんせあの異世界教の幹部を倒したんだから」
得意気に話すメーンにアバンチは「そうですね、3人で行った方が取り分が多いですから」と賛同した。
「そういうことだ」
ウィルは手をひらひら払う。
長老は「そんなはずは……根本的な強さの質が違うのに……」と驚きを隠せない。
「ハハハ、倒したもんは倒したんだよ。お前を見てただろ」
僕を睨むウィル。確かにウィルの技で倒したのは間違いない。黙って頷くとウィルは「そうだよな、お前、初めて俺たちの役に立ったな」
「そうね、幹部を倒したんだから経験値もウハウハ、その分パワーアップもしたでしょうから今度は楽勝かもね。……そうだ、雫を助け出したら長老からアスタルテの雫を報酬としてもらおうかしら」
「メーン殿、いくら僕たちが最強のパーティーだからって報酬が高すぎじゃないですか。まあ将来的には全ての報酬が思うがままになるのでしょうけど」
ウィルは髪をかきあげメーンは前髪を指でクルクル絡ましアバンチは拳で胸を叩く。一緒に旅をして分かった彼らの癖である。そんな彼らの挙動を見ながら長老が考え込んだ…………。
「分かりました、アスタルテの雫を報酬に出しましょう」
長老の一言にメーンとアバンチは狂喜乱舞した。
「マジですか! アスタルテの雫……これは幾らの値がつくか分からないですよ」
「本当にもらえるなんて言ってみるものねぇ。ラッキーだわ」
「本当に長老はアスタルテの雫を報酬に出すんですか……それでは長老の立場が……」
初めてみるウィルの心配そうな表情、彼がこんな態度を取るなんてよっぽどのことなのであろう。
「ウィル、いいのです。こんな状況を作り出したのは私の責任でもありますから」
「やったー、ウィル、アバンチ。準備をして早速異世界教に乗り込みましょう」
今までの冷静さを欠くほど喜んでいるメーン。アバンチは目がギラマークになっている。そんなふたりはこの場を去っていく。ウィルだけは堂々とした佇まいを見せてはいるが、寂しそうに歩いていった。
「アスタルテの雫を報酬に出しちゃったからパライソの実はお預けですね」
振り返った長老の表情は笑顔、僕にはパライソの実を食べないことがどれほど大変な状況なのかは分からない。それよりも気になるのは……
「アスタルテの雫ってそんなに貴重なものなんですか?」
「神木を成長させるための神水ですからとても貴重なんです」
「そんなに貴重なものを僕なんかに採ってこさせて奪われたらどうするんですか」
「シーラに行けば液体自体は幾らでも採れます。それをアスタルテの雫として使うには、神子の力が必要なのです。半年に1度しか使うことが出来ない能力を使って……それを神木に注ぎ込むのでアスタルテの雫として出回ることはまずないのです」
それなら大丈夫か。神木を育てるための神水だったら誰が神木に与えても結果は同じはずだ。安心したのか体中の空気が大きく息となって漏れた。
「サクラさん、安心は出来ないのです。アスタルテの雫はたった1滴を薄めるだけでハイクオリティな万能薬を何十本も作り出せるのです。問題はアスタルテの雫を譲ったなんてことが知れたら神子の任を剥奪されてしまうくらいですかね」
「そんなに大変なことを約束しちゃって良かったんですか」
「うふふ、心配してくれてありがとう。でもウィルさんたちじゃあ異世界教の幹部には敵わないでしょう。ケガしてきてもいいように強力な回復薬を用意してあげないといけませんね」
ウィルさんは琢磨くんの硬化武装を破った。どんな状況であれ傷を付けたことに変わりはない。どちらにせよ僕なりに雫を助ける手段を考えなければ。
「あ……」
○。○。○。「朔弥くん、ユランダ・メシアで待ってるよ」○。○。○。
琢磨くんの言葉。ユランダ・メシアにうまく潜入することはできないだろうか。教祖の僕ならなんとかなるはず……。
「成功しても失敗しても異世界教から抜けないとな」
それでも雫を助けたい。僕が助け出せばアスタルテの雫を守り長老が神子の座を追われることもない。
まずはシーラに向かう中で力となりそうなことを知っておかなければならない。
「長老、ウィルたちに聞いたんですが武器を胸から取り出すってどうやるんですか」
「精神武器ね。どう説明していいのかしら……ここに住んでいると『そういうもの』として教えられるの、正確にはデータとして記録してあるものを具現化させるということみたいだけど……。なんでそうなるかと聞かれたら私にも分かりません」
データとして記録? ますますゲーム的な世界に感じてしまう。
「それとウィルたちはバリアみたいなものも出していました」
「それは精神武器を媒介にして潜在的な魔法力をバリアとして表出させるの」
「魔法力? それなら防御は魔法使いの方が強いんですね」
「そうでもないの。シールドは表面的な魔力量じゃなくて潜在的な魔法力なのよ。まぁ分からなくってもいいわ。ここでは『そういうもの』なの」
『そういうもの』……最近よく聞く言葉。不思議だからこそ気になってしまう。
「サクラさん、あなたの世界とこちらでは、理が違うんです。不思議に思うかもしれませんが、ここでは当たり前のこと。もちろん究明を生業とした研究者もいますが、普通に生活している人にとっては『そういうもの』なのです」
確かに僕たちの世界もそうだ、『そういうもの』は沢山ある。ただ、そう考えると異世界教がこの世界のルールを冒しているのではないか……。
「まぁ、僕が今できることは雫を助けることだけ、この世界にとって異世界教がどんな影響を与えているのかはその後考えよう」
「サクラさんはそんなこと考えなくていいですよ。この世界の中で起こった戦いは全て受け入れなくてはなりません。それは『あのお方』が私たちに与えた試練なのかもしれません。サクラさんは自分にとって良いと思うことを成し遂げてください」
長老の言葉、僕にとって何ができるのか。まずは『ユランダ・メシア』に行って雫を助ける。そう決意して歩み始めるのだった。
「帰ってきたー」
異世界での不安と興奮を知ったこの場所は故郷だ。久しぶりに実家に帰ってきたような心地よささえある。
アスタルテの雫を持って長老の家に走った。
ゲームでクエスト達成を追体験しているような感覚に自然と足が速くなる。ゲーム画面を前に難解なクエストを達成してガッツポーズしたあの思い出が興奮を呼び起こす。
「長老、アスタルテの雫を持ってきました」
扉を激しく開けて報告、この世界に来てから一番の大声だっただろう。
「サクラさん、雫さんが異世界教に捕われてしまいました」
予想外の答えに、心臓を撃ち抜かれたようなモヤモヤが生まれ、状況の理解が追いつかない。
「え、あ、雫が異世界教に……なんで……」
月並みの言葉しか出てこない。
「雫さんが異世界にくるキッカケとなったマサンの実が特別だったことがバレたのかもしれません。ただ、本当の理由は分かりませんが……」
「マサン……禁断の果実か……」
「サクラさん、ウィルたちと共に雫さんを異世界教から救ってはもらえないでしょうか」
こんな状況でも長老は動かないのか……それほどまでに『戦わずの誓い』は重いものなのだろうか……
「長老、僕たちが行くより長老が直接行ったほうが救い出せる可能性が高いんじゃないですか」
「あのなー、何が『僕たち』だよ。俺はお前と仲間になった覚えはないぞ」
遅れて来たウィルたちの怒号が飛んだ。
「ウィルー、雫ちゃんを助けに行くつもりー?」
「当然だろっ、俺達のパーティーに入れるつもりだからな」
「ウィル殿、折角助けるなら長老からの依頼という形にしてもらえれば報酬が出るんじゃないですか」
ウィルたちが好き勝手なことを言っている。なんでも良い、雫を助けだせるなら……
「長老、僕は報酬なんていらないからウィルたちに何か出せないでしょうか」
何もできない僕が出来ることはお願いすることだけ、そんな僕を蔑むウィルの目線。
「あのなー誰がお前と一緒に行くって言ったよ。お前はパーティークビ。何の役にも立たないしかえって足手まといになるっての」
「そうね、私たち3人で行けば余裕ね。なんせあの異世界教の幹部を倒したんだから」
得意気に話すメーンにアバンチは「そうですね、3人で行った方が取り分が多いですから」と賛同した。
「そういうことだ」
ウィルは手をひらひら払う。
長老は「そんなはずは……根本的な強さの質が違うのに……」と驚きを隠せない。
「ハハハ、倒したもんは倒したんだよ。お前を見てただろ」
僕を睨むウィル。確かにウィルの技で倒したのは間違いない。黙って頷くとウィルは「そうだよな、お前、初めて俺たちの役に立ったな」
「そうね、幹部を倒したんだから経験値もウハウハ、その分パワーアップもしたでしょうから今度は楽勝かもね。……そうだ、雫を助け出したら長老からアスタルテの雫を報酬としてもらおうかしら」
「メーン殿、いくら僕たちが最強のパーティーだからって報酬が高すぎじゃないですか。まあ将来的には全ての報酬が思うがままになるのでしょうけど」
ウィルは髪をかきあげメーンは前髪を指でクルクル絡ましアバンチは拳で胸を叩く。一緒に旅をして分かった彼らの癖である。そんな彼らの挙動を見ながら長老が考え込んだ…………。
「分かりました、アスタルテの雫を報酬に出しましょう」
長老の一言にメーンとアバンチは狂喜乱舞した。
「マジですか! アスタルテの雫……これは幾らの値がつくか分からないですよ」
「本当にもらえるなんて言ってみるものねぇ。ラッキーだわ」
「本当に長老はアスタルテの雫を報酬に出すんですか……それでは長老の立場が……」
初めてみるウィルの心配そうな表情、彼がこんな態度を取るなんてよっぽどのことなのであろう。
「ウィル、いいのです。こんな状況を作り出したのは私の責任でもありますから」
「やったー、ウィル、アバンチ。準備をして早速異世界教に乗り込みましょう」
今までの冷静さを欠くほど喜んでいるメーン。アバンチは目がギラマークになっている。そんなふたりはこの場を去っていく。ウィルだけは堂々とした佇まいを見せてはいるが、寂しそうに歩いていった。
「アスタルテの雫を報酬に出しちゃったからパライソの実はお預けですね」
振り返った長老の表情は笑顔、僕にはパライソの実を食べないことがどれほど大変な状況なのかは分からない。それよりも気になるのは……
「アスタルテの雫ってそんなに貴重なものなんですか?」
「神木を成長させるための神水ですからとても貴重なんです」
「そんなに貴重なものを僕なんかに採ってこさせて奪われたらどうするんですか」
「シーラに行けば液体自体は幾らでも採れます。それをアスタルテの雫として使うには、神子の力が必要なのです。半年に1度しか使うことが出来ない能力を使って……それを神木に注ぎ込むのでアスタルテの雫として出回ることはまずないのです」
それなら大丈夫か。神木を育てるための神水だったら誰が神木に与えても結果は同じはずだ。安心したのか体中の空気が大きく息となって漏れた。
「サクラさん、安心は出来ないのです。アスタルテの雫はたった1滴を薄めるだけでハイクオリティな万能薬を何十本も作り出せるのです。問題はアスタルテの雫を譲ったなんてことが知れたら神子の任を剥奪されてしまうくらいですかね」
「そんなに大変なことを約束しちゃって良かったんですか」
「うふふ、心配してくれてありがとう。でもウィルさんたちじゃあ異世界教の幹部には敵わないでしょう。ケガしてきてもいいように強力な回復薬を用意してあげないといけませんね」
ウィルさんは琢磨くんの硬化武装を破った。どんな状況であれ傷を付けたことに変わりはない。どちらにせよ僕なりに雫を助ける手段を考えなければ。
「あ……」
○。○。○。「朔弥くん、ユランダ・メシアで待ってるよ」○。○。○。
琢磨くんの言葉。ユランダ・メシアにうまく潜入することはできないだろうか。教祖の僕ならなんとかなるはず……。
「成功しても失敗しても異世界教から抜けないとな」
それでも雫を助けたい。僕が助け出せばアスタルテの雫を守り長老が神子の座を追われることもない。
まずはシーラに向かう中で力となりそうなことを知っておかなければならない。
「長老、ウィルたちに聞いたんですが武器を胸から取り出すってどうやるんですか」
「精神武器ね。どう説明していいのかしら……ここに住んでいると『そういうもの』として教えられるの、正確にはデータとして記録してあるものを具現化させるということみたいだけど……。なんでそうなるかと聞かれたら私にも分かりません」
データとして記録? ますますゲーム的な世界に感じてしまう。
「それとウィルたちはバリアみたいなものも出していました」
「それは精神武器を媒介にして潜在的な魔法力をバリアとして表出させるの」
「魔法力? それなら防御は魔法使いの方が強いんですね」
「そうでもないの。シールドは表面的な魔力量じゃなくて潜在的な魔法力なのよ。まぁ分からなくってもいいわ。ここでは『そういうもの』なの」
『そういうもの』……最近よく聞く言葉。不思議だからこそ気になってしまう。
「サクラさん、あなたの世界とこちらでは、理が違うんです。不思議に思うかもしれませんが、ここでは当たり前のこと。もちろん究明を生業とした研究者もいますが、普通に生活している人にとっては『そういうもの』なのです」
確かに僕たちの世界もそうだ、『そういうもの』は沢山ある。ただ、そう考えると異世界教がこの世界のルールを冒しているのではないか……。
「まぁ、僕が今できることは雫を助けることだけ、この世界にとって異世界教がどんな影響を与えているのかはその後考えよう」
「サクラさんはそんなこと考えなくていいですよ。この世界の中で起こった戦いは全て受け入れなくてはなりません。それは『あのお方』が私たちに与えた試練なのかもしれません。サクラさんは自分にとって良いと思うことを成し遂げてください」
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