異世界教へようこそ ─ Welcome to Different dimension religion─

ひより那

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第3章 王道の異世界ファンタジー

第32話 ユピアの正体

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「サクヤ、フリックバレットを使う時は加減しろよ」

 ユピアが思いっ切り撃てって言ったんじゃないかぁ。モヤモヤを振り払うように1ギラ硬貨を弾いた。

「よっしゃ、100発100中だな」

「あのね、ギラなんだから無駄遣いしちゃダメ。お金は大切にしないとバチがあたるぞ」

 確かにその通り、残高がおかしなことになっているから金銭感覚が狂ってるんだな。

「そうだね。気をつけるよ」

 首をかしげるユピア、なにやら僕の手と着弾したギラの方を見比べている。

「サクヤ、もう一回ゆっくーりあの木を狙って撃ってみろ」

 さっきと言ってることが違うぞ。まあ気が済むなら……力を抑えて1ギラを弾いた。

 ギラは音もなく枝に向かい狙い通りにヒット。枝は大きく揺れて葉を落とす。

「やっぱりだ。お前が弾いたギラの軌道が見えん」と当たった枝を指差した。
「どういうこと?」
「おかしいと思ったぞ、残像すら見えんのはありえんからな……弾いてから着弾するまで消えてるんだ」
「僕には普通に見えてるけど」
「まあ、どういうことか解らんから使う時は注意しろよ。わらわの異空間収納と同じで見えない物にアンテナをビンビン立てている者がいるからな」

 注意が必要か、でも使いようによっては戦いを補う武器になるぞ。

 新な武器を修得し、シャンプに向かうのであった。

* * *
 
 ジンと王都シャンプの中間にある町『シャワ』。物資の補給と休憩を兼ねて立ち寄っていた。

「一泊して明日シャンプに向かうぞ」

 既に日は傾き美しい夕焼けが自然豊かな景色を照らしている。ユピアの強い意向で税所に食堂に行った。小さな町なので酒場と兼ねているせいか騒がしい。

「やっぱりお店で食べるお肉は美味しいぞ。職人ごとにこだわりポイントが…… (うんちく)……」
 延々と肉について語りだすユピア、そんな蘊蓄をBGMに食事していた。

「ユピアは何のためにリュウコウに向かっているの?」
 ピタリと食べる手が止まる。

「…………おねーさん、この骨付き肉をもう一つー」

 何度聞いてもはぐらかされてしまう。そんな時は決まって無言の時が流れる。
 言わなきゃ良かった。どうも気になって聞いてしまう。そんな後悔が騒がしい店内の雑音をわずらわしく感じ始めた頃……。

「ユピア様、やっと見つけました」
 すらっとした男とずんぐりむっくり体型の男がいきなりユピアの両端に座った。

「ライン、セッカ……なんでここが分かったの」
「お嬢、いきなり居なくなったらリュウコウに助けを求めに行ったとしか思えんでしょう」
「その通りです、ラインとふたりでホイスを抜け出してきました」
「そんなことしたらお前たち……」
 ずいぶん深刻そうな話し方をするなぁと聞いていると、チラリと僕を見て雑談に変わった。

 仲良さそうに話すユピアを見ているとなんだかモヤモヤ。水の入ったコップに何度も手を伸ばしてしまう。

「おいサクヤ。こいつらはラインとセッカだ。わらわのボディーガッドだぞ」

 高い位置から感じるラインの視線が痛い。僕のことをよく思っていないようだ。

「朔弥です。ユピアとは──」
「ユピアだとー、様をつけろ様を!」
 興奮したラインがテーブルを強く叩いて立ち上がった。その顔は親の敵でも見るような表情。セッカは静かに僕を訝しんで見つめている。

「ラインうるさい、いいんだよそれで……サクヤごめんな、ラインは沸点が低いんだ……今度邪魔したらクビだぞ、分かったか」

 睨みつけるユピア、セッカは当たり前のように気にすることなく黙々と肉を食べていた。

「セ・ッ・カ・ー、よくもわらわの肉を食べたなー、それがどういうことか分かっているよなー」

 必死に取り返そうとするユピア、「勘弁してくだせい、ここまでまともなものを食べて来なかったんですー」と懇願しているが、巨大な肉がついている骨をがっちりと掴んで離さなかった。

「あ、あの……ユピアさん。そろそろ目的を教えていただいてもよろしいでしょうか」

 セッカから肉をもぎとったユピアは満足げに口を開いた。

「内緒だ。事情を話すことはできん」

 そうか……ユピアはどこかのお姫様でひとり旅をしていたんだ。
 そこでひとり目の仲間として僕を見つけ、さらにふたりが仲間となる。良くある4人パーティーとなって悪を滅ぼすのか!
 そうしたら僕のジョブは何だろう。これからジョブチェンジするのかなぁ……妄想は膨らむばかり。

「サクヤと言ったな。どうもお嬢は考えなしに行動する癖があってな、若い容姿のせいで良く絡まれるんだ。それを回避するためにお前をみつけたんだな」

 ユピアは12歳って言ってたよな。確かに中学生くらいの子が一人歩きしてたら怖いよなー。

「ユピア様はもう大丈夫だ、俺達がキチンとリュウコウに送り届ける。お前は安心して自分の旅を続けてくれ」

 あれれ、4人パーティーになるんじゃないのか……。お役御免かぁ、あれ? 昔にもパーティーに入れてもらえなかったことがあったような……凄まじいデジャブ感だ。

「ライン、そんなこと言うでない」

 やっぱりユピアは僕が居たほうが安心なのか。

「せめてシャンプまでは一緒で良かろう。方向は一緒なんだからな」
 持ち上げて落とすタイプ……やっぱりパーティーには入れてもらえないのね。

 小さな町の宿は少ない。とれた部屋も二人部屋が2つだけだった。
 当然だがユピアがひとりで一部屋使い、ラインとセッカと僕で一部屋使う。

「俺達がお金ギラを出してやるからお前は床な」とラインに言われ敷布団もなく床に寝ることになった。ギラならたくさん持っているのに……とモヤモヤしていたが言い出せない。

 短い間だったけどユピアと旅をした思い出がリフレイン、硬い寝床も相まって眠れない……。
「しょうがない、少しぶらぶらするか」

 こぼれ落ちそうな満天の星空。家々から漏れている光だけで照らされる道はとても暗い。
 夜空に目を移し沢山の星から星座を見つけるが知っている星座はない。
 広場のベンチに座って「あれはミヅキ座かな……こっちはユピア座みたいだ」なんて眺めていた。
 
「ちょっと邪魔させてもらいますよ」
「セッカ……さん?」

 真円を描く月の月光を背負って立っていた。

「あれ、寝てませんでした?」
「ユピア様の護衛ですからね、人の気配がすれば分かりますよ」

 僕の隣にどすんと座る。ずんぐりむっくりの体型だが、太っているように見えた体は近くから見ると全て筋肉、すごすぎる。

「セッカさんが来てしまったら護衛は大丈夫なんですか?」
「トイレに行くといってラインを起こしてきたので大丈夫です」

 ……と、言うことはセッカさんは僕に気づいたけどラインさんは気づかなかったってことだよな?

 セッカは両肘を両膝に乗せると夜空を見上げた。
「私はラインの部下と言うことになってますが、本当は私の方が実力も身分も上なんです。何かのときにその方が都合よくてみんなには内緒にしているんですよ」
「そうだったんですね。いろいろとあるんですねー……って身分があるって言うことは貴族とかそんなんですか?」
「ユピア様はこのバスリングの南東に位置するサクヤ王国の第3王女なんです」

 ユピアが姫か……僕の妄想にもその予想はあったしやっぱりかと言った感じ。それにあのツンデレ口調は誰にでもできることではないもんなー。

 それよりも僕と同じ名前の国……何か因縁みたいなものを感じるが、いくらラノベ脳をもってしても、単なる偶然にしか思えなかった。

 
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