異世界教へようこそ ─ Welcome to Different dimension religion─

ひより那

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第3章 王道の異世界ファンタジー

第33話 長老の手紙

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 青い空、白く厚い雲の下を僕たち4人はシャンプに向かっていた。

 思い出されるのはセッカとの会話。

○。○。○。○。

「ユピア様は、君に何か感じるものがあったんだろうな。あの人嫌いな姫が懐いたんだから」

人嫌い? 懐いた?(乾いた笑いを浮かべながら→) イジられてただけのような気もしますけど」

「そんな事はない。あの姫のことだ、ポロッと秘密を漏らしたんじゃないか。信用する人間にはつい口が軽くなってしまう……聞かなかったことにしてやってくれ」
 
 異次元収納の話し……か。

「なんで僕にこんな話しを?」
「さぁな。この先、君とまた人生が交わう時が来る気がしてな……敵としてか味方としてかは分からんが」

○。○。○。○。

 事情を知ると物事の見え方が違ってくる。セッカの後姿になんとなく見えた巨大なオーラが偉大な存在を感じさせていた。
 ユピアとラインはこの事実を知っているのだろうか。

「サクヤー、ここまでだね。私の目的が達成したらまた一緒にご飯でも食べようねー」

 手を振るユピアの笑顔が眩しい。遠くでサムズアップするサッカの姿を見た。

「さーて、長老の手紙をギルドに持っていかないとなぁ」

 すごいなここ、ジンも広かったけどそれ以上だ。それに都会っぽい町並みだし。
 並ぶ店舗、屋台、どこを切り取ってもノベラでイメージした風景、アニメで見たような景色。

 都市の入り口で別れてギルドを目指した。しかし漂ってくる良い匂いに心を惹かれ、楽しそうな大道芸に心を惹かれ、素晴らしい武具が並んだ陳列に惹かれる。

「すっごい楽しい!」
 RPGゲームで新しい街に到達した何倍も気分がいいぞ。

 欲望に引っ張られ蛇行しながらギルドのある中央広場に向かう。到着した時には既に太陽がかなり傾いていた。

 ギルドの中はかなり広く、多くの人たちが掲示板を見つめている。パーティーで真剣に依頼を探していたり、ソロで活動している人がいたり。

 そういえばミヅキと一緒に依頼をこなしたんだよなぁ。
 回想されたのは怪我をして腹を押さえるミヅキと長老に街を出るように言われた出来事。

「次の方どうぞ―」
 カウンターに3人いる受付員、左のせかせかしている女性から声がかかった。

 長老から受け取った手紙を見せようとバッグに手をつっこむと、矢継ぎ早に「依頼達成の報酬をお渡ししますのでギルドカードをご提出下さい」とせかされる。

 彼女はにこやかに僕を見上げてカードを早く出せと言わんばかりに手を上下させた。
 身分証代わりがな?、とりあえず出しておくか……ギルドカードを手渡すと、彼女はサッと受け取って何かの機械にかざして首を傾げた。

「あのー、何も依頼を受けていないようですが?」
「ええ、依頼の報告に来たわけじゃないんです」

 イレギュラーに慣れていないのか不安そうに「なんの御用ですか?」と鋭く見つめてきた。

「シャンプのギルドにこの手紙を渡すように言われました」

 手紙を受けとった彼女は舐めるように宛先を探すが何も書かれていない。

忙しいので(厳しい声で→)いたずらは止めてもらえませんか」
「マリアナくん、ちょっと待ちたまえ」
 受付の後ろにいた中年の男性が慌てて彼女から手紙を取り上げた。

「こ、これは……。ちゃんと見定めないとダメじゃないか」とマリアナに怒り出す。なんだか釈然としないマリアナは手紙を受け取ると何かに感づいたように手紙に目を向ける。

「あ、これは長老様の紋……」
 マリアナは立ち上がって大きく頭を下げる「大変失礼しました。こここ今回のご無礼に関してはご容赦くだ……ください……どうか、かっ家族、家族だけは……」

 いきなり頭を下げるマリアナに周囲の人の目線が集まる。

 どうしていいか分からなくなり「い、いや……なんで謝る必要が……」と恐縮するが耳に届かない。
 誤り倒すマリアナに男は「直ぐにギルド長の所へご案内しなさい」と命令、涙目になったマリアナに奥へ連れられた。
 
「サクヤ様、大変失礼しました。どうか、どうか私の失態は長老に内緒にしてください」
「長老ってそんなに怖い人なの?」
「お会いしたことは無いのですが、王も頭が上がらないとか、意に添わない者にはどんなに離れていても天罰を下すとか、指一本で国一つを滅ぼせるとかいろいろな噂をお聞きするので……」

 そんなに恐ろしい人だったのか、確かに危なかった僕とミヅキを一瞬で助けてくれたけど……

「そうなんだ、僕はただ長老に手紙をギルドに届けるように言われただけだから」
「ギルドに持ち込まれる手紙には必ず宛先があるんです。それが無いということはいたずらかと思っちゃって……密令の印を見落とすと厳しい懲罰がぁぁ」
 
 泣き崩れるマリアナ。

「それほどのものなんだね。もし何かあったら言ってよ。僕のせいでマリアナさんに罰を受けてほしくないし」

 マリアナは立ち止まって深くお辞儀をすると「密令の印と関われる程の人なのに……サクヤ様ってお優しいんですね」と頬を赤らめた。

 通されたのは18畳ほどの部屋。奥に立派な作業デスク、手前には対面に二人掛けソファーが置かれていた。

 ソファーの片側にはふたりが座っており、マリアナに彼らの対面側に座るように促された。

「あの……朔弥といいます。何かトラブルを起こしてしまったようで申し訳有りません。マリアナさんは何も悪くないので罰を与えないでもらえませんか」

 キョトンとする男。

「ハッハッハ、リリス長老に手紙を託される程の者が受付員を気にするとは。いや、だからこそかな。よし、マリアナの懲罰は不問としよう。マリアナくん、仕事に戻って良いぞ」

 マリアナは大きく頭を下げて「ありがとうございます。次からはきちんと注意します」と部屋を出ていった。

「良かった。でもギルド長って凄いですね。何が合ったかまで言っていないのに分かるんですか?」
「もちろんだ、ギルド長はギルド内のことならなんでも分かる。まあそういうものだと思ってくれ」

 ギルド長は手紙を開くと「君宛だ」とセレンに手渡した。
「ギルド長のホウモンだ。よろしく頼むよ、ところで君はこの手紙の内容を見たかい?」
「いえ、ギルドに渡すように言われたので」

 セレンは手紙を僕に向けた。

「えっ、何も書いてないようですが……」

「ああ、特殊な方法で書かれているからな」
「彼女はセレンくんだ。この世界で最強の剣士……剣聖と呼ばれている」
「セレンだ。リリスも色々と大変だな……要件のひとつに君に剣を教えてやって欲しいと書いてあった」
 この美しい女性が剣聖? 剣聖と言えば、カッコいいイケメン……頭に浮かぶ光輝の姿。それか渋いおじさん……雫の父が頭に浮かぶ。がお約束かと思ってた。

「セレンくん、リリス長老の紹介だ、誰か適任を紹介してやってもらえないか」
 剣を教えて? 長老がそんなことを……ミヅキを守れる男になれるように協力してくれてるんだなぁ。

『ピピピッ』
 頭から聞こえてくる鳴き声……ハナが頭の中で暴れている。

「ちょっとハナ、暴れないでくれ。今大事な話をしてるんだから」
 ハナは頭の中を駆け巡り僕の追う手を避けまくる。腕に移動したり手に移動したり好き放題。いつも大人しいのにこんなに暴れるなんて初めてだ。

「その小動物はなにかな?」
 セレンの目つきが鋭くなる。ふざけていると思われそうで焦ってしまった。
「ごめんなさい、僕の頭に住み着いてしまったんです。いつもは大人しいんですけど……」

 コンッコンッ── 扉がノックされた。

「今、客人が来ていてな、後にしてもらっていいかな」

 ドア越しに「リリス長老の遣いが来たと聞きましてな、会いに参りました」と紳士的な声。ギルド長は「その声は……失礼しました。どうぞ中にお入りください」と慌てて立ち上がった。

 扉から入ってきたのは……

「ソウケイさん!」

 森で出会ったシャンプ第1王女の執事であった。

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